現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』
『聖恋島殺人事件』が進行中。

 剣持警部が出場するセイレーン・フィッシングマスターズという磯釣り大会決勝戦の宿泊先・聖恋島で連続殺人事件が起きたので主人公・金田一一が幼馴染の七瀬美雪剣持警部とともにこの事件の謎を解く…

そんなストーリーが展開されている。

 これまで医師・影尾風彦が集合場所の小屋で背中に銛を突き立てられて殺された状態で見つかり、
 特に前回第4話では潮小次郎が特注の釣竿ではじめと剣持警部と釣り中になぜか海に引きずり込まれて溺死する事件が起きた。

 …特に第二の事件で潮がはじめと剣持警部と一緒に釣りに出かけたのは
昨晩まではちゃんとあった大量にあった備蓄食料(缶詰、乾物、お米)が全て無くなっていて魚はまるで獣が食い荒らしたみたいになっていたことがきっかけ。
 
 ―― 特に潮が釣りをする気になったのは、
おそらく食料が荒らされなくなっていたことを知り
先に釣りに出かけていた伊豆丸険と鰐瀬たかしが「ボウズだった(全く釣れなかった)」と聞いて、寒野美火にカッコイイところを見せようとしたからだろう…
。 ――


【潮の死の不審な点!】

 さて第5話では、潮の死因は剣持警部が調べたところ溺死だということがわかった。
ただ、潮にはサメに噛まれたような目立った外傷はなかった。

 このことについて小説家の右竜あかね
「サメが(潮さんを)引きずり込んだんじゃないとしたら、一体何が海に引きずり込んだのかな?」
と言っていたが、コテージ管理人の霧声昼子
「セイレーンの歌声がその人を海に引きずり込んだのだ」と言った。

 なお霧声が言った「セイレーンの歌声云々」については、
聖恋島の海で亡くなった釣り人たちに対して聖恋島の住人たちがこう言っていたとのこと。

 
 ・・・一方はじめは、
「潮の死について、
セイレーンの仕業でもなく魚が引きずり込んだわけでもない」
と考えていた。

 その根拠潮が釣竿から手を離さなかったから
 普通は釣竿の引きで海に落ちそうになったら、竿から手を離すものだから。

 「なんか妙なんだよ… 今回の『事故』は…!
まるできっちり計って狙った『事故』みたいな気がして…」

 はじめはこう思っていた…。

 一方鬼島高彦や凪田空也ら大会関係者やテレビ局関係者、そして伊豆丸ら大会出場者の男性たち
スコップや銛やらを持ってセイレーンを狩ろうと考えていた。
 「聖恋島には我々以外に何かが居る」と考えていたので…。
特に凪田
 「こいつぁ、すげードキュメンタリーになるぞ」と思っていた。

 …なお、右竜と編集者の奥ノ木武蔵は彼らにはついていかなかった。
特に奥ノ木
 「僕はセイレーンより、人間のほうがよっぽど怖い」と思っていた。

 そしてはじめは、霧声に聖恋島のことを聞いた…。


【聖恋島と人間魚雷「回天」!】

 はじめは霧声に聞いた。

 「メッチャ日本の田舎の島なのになぜ「セイレーン島」と呼ばれているのか?」

 「島に着いた時にあなたはこの島を『墓標の島』と言っていたが、それはどういう意味なのか?」

 …聖恋島出身の霧声の話によれば、聖恋島はもともとそういう名前ではなかったという。
(※なお霧声は聖恋島が別の名前で何と呼ばれてたかは知らなかった)

 聖恋島は、彼女が生まれたときから小さな海軍基地があり漁業と海軍基地で回っていたが
先の戦争で戦況が悪くなったので基地は特攻兵器人間魚雷「回天」の訓練所と出撃港になった…すなわち『特攻の島』になったことを明かした。

 「『墓標の島』というのは、
名前すら残らず若くして散った軍人たちのためのもの…」

 こう語る霧声は当時、賄いなどで基地に出入りしていた。
 霧声何人もの若い軍人たちが出撃していくのを見ていた…。


【セイレーンの泣き声…】

 霧声が『墓標の島』『人間魚雷回天』の話をしている時に、
泣き声みたいな声はじめと美雪は聞いた

 聖恋島に響くこの声
戦争が終わった直後、日本軍に代わって米軍が聖恋島に駐屯を始めた頃に鳴り始め
大きな台風がやって来たある嵐の夜に風の音とは明らかに違う人間の泣き声のような響きが始まったという。
 当時の米軍の兵士が地元の人にこの音について聞いたところ
「なんだか人間の泣き声みたい…
戦いで命を落とした人たちの嘆きの声…」
という答えが返ってきて、それから米軍の人達の間で

 「あの泣き声は海の亡霊『セイレーン』の呪いの叫びだ」

 「あれを何度も聞くと心を侵されて変死する」

という噂が流れた。

 そして聖恋島を「セイレーン・アイランド」と呼ぶようになったという。

 …なお島の名前を当て字で呼ばせたのはリゾート会社
ほとんどわずかになっていた島民を言いくるめそれで通したらしい。
 
 …なおこれは、30年以上も前の話
景気が悪くなりリゾート計画は頓挫し、島民は更に減り、今から20年前には聖恋島に住む人は霧声一人になったという。

 特にセイレーンの声は一人暮らしである霧声にとっては始めは不気味に聞こえていたが
今は一人暮らしの彼女に話しかけるたったひとりの「友人」となっていた…。

 
 ・・・霧声ははじめと美雪にセイレーンの声の響きが変わったことを教えた
 そして
 「よく聞くと一日に何度も声が変わっていて、
その歌声の変化にはちょっとした意味もある。
その意味を知る人間は私しかいない」と…。

 セイレーンの歌声の意味を知りたいと食いついたはじめ霧声はその意味を教えようとした
というところで、「次回に続く」となっていた…。


 ―― 『セイレーン』の声の変化…
 …おそらくは彼女の『泣き声』で今の時刻が大体分かるようになっていたりして… ――

 霧声にとってはセイレーンの泣き声が時計代わりになっているのでは…?
 特に、「サイレン」の語源は「セイレーン」から来てるらしいし…。

 影尾と潮の事件ではセイレーン(音の聞こえ方)は関係なさそうだけど、
これから起こるであろう第三の事件の関係者のアリバイの証明に重要な役割を果たしそうな予感がするなあ。

 そしてセイレーンの声について
 
 「昔、人間魚雷回天が訓練中にどこかの岩場に挟まって抜け出せなくなった。
パイロット(兵隊)はそこで命を落としたか乗り捨てたかは不明だが
機体は誰にも気づかれず何十年も放置された状態になっていた。
 だから今になっても機体が風あるいは波と重なり合って例の音が出続けている…」

 …そんな背景があるように、自分は思う。


 ・・・本題の事件について。

 自分が思うに、潮の特注の釣竿に何が仕掛けられていたのかがポイントになりそう
だなあ。
 
 犯人自ら手を汚さずに潮を海に引きずり込む仕掛けは何だったのか?
 そして、潮が釣竿を手離せなかった仕掛けは何だったのか…? 

(※ソース
週刊少年マガジン 2017年第1号~第7号
『金田一少年の事件簿 聖恋島殺人事件』

CASEFILE of Kindaichi Hajime: 聖恋島殺人事件 #5
講談社(2017)(第5話)p233~p252)