現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』
『聖恋島殺人事件』が進行中。

 剣持警部が出場するセイレーン・フィッシングマスターズという磯釣り大会決勝戦の宿泊先・聖恋島で2つの殺人事件が起きた。
 一つは、影尾風彦が集合場所の小屋で背中に銛を突き立てられて殺された状態で見つかった事件で、
 そしてもう一つは潮小次郎が特注の釣竿で釣り中になぜか海に引きずり込まれて溺死した事件だった。

 …特に第二の事件で潮は金田一一剣持警部と一緒に釣りに出かけていたが、
そのきっかけは昨晩まではちゃんとあった大量にあった備蓄食料(缶詰、乾物、お米)が全て無くなっていて魚はまるで獣が食い荒らしたみたいに散らかっていたこと。

 ―― 散らかした犯人は、影尾と潮を殺した今回の事件の真犯人『セイレーン』だろう… ――

 
 ・・・さて第6話は、はじめや七瀬美雪が聖恋島に来てからよく聞く『セイレーンの泣き声』の正体を探るために
『ある場所』を探索するエピソードになっていた。


 【入り江の爆釣とボウズの真相!】

 「今朝、入り江で魚が釣れないことはわかっていました。」

 潮が亡くなった日、コテージ管理人の老婆・霧声昼子がはじめにこう言っていた。

 実際前回第5話で潮がはじめと剣持警部と一緒に釣りに行く前に、伊豆丸険鰐瀬たかしが釣りに行ったが、
「ボウズだった(全く釣れなかった)」と語っていた。


 またこの回で、はじめは霧声に「聖恋島」が「セイレーン島」「墓標の島」と呼ばれるようになった理由を聞いており、聖恋島は人間魚雷回天の訓練所と出撃港だったことが彼女から明かされた。

 特にセイレーンの泣き声は戦争が終わった直後に聞こえるようになり、それを疑問に思った米軍の兵士が地元の人に聞いたところ
「なんだか人間の泣き声みたい…
戦いで命を落とした人たちの嘆きの声…」
という答えが返ってきて、それから米軍の人達の間で
 「あの泣き声は海の亡霊『セイレーン』の呪いの叫びだ」
 
 「あれを何度も聞くと心を侵されて変死する」
という噂が流れたため、そう呼ばれるようになったという。

 なお、約30年前以上も前の聖恋島ではリゾート計画があり、それに関わった人が地元の人達に当て字で「聖恋島」と呼ばせたというが、
肝心のリゾート計画は不景気のためうまくいかなかったようだ。

 …聖恋島の過去について語っていた霧声だったが、
 「よく聞くと一日に何度も声が変わっていて、
その歌声の変化にはちょっとした意味もある。
その意味を知る人間は私しかいない」
ということについては、第6話では教えてくれなかった
 
 「歌声の秘密は島の者以外に話さない、皆で寄り合って決めたことだから」

と霧声は語っていた…

 ただ、はじめには一つヒントを与えていた
 
 「今朝、入り江で魚が釣れないことはわかっていました。
お話できるのはこれだけです。そしてお考え下さい。
100人足らずの島民がこのような離れ小島で暮らすことができた訳を…
 …と。

 ・・・霧声が「近場で釣りをしてくる」と言って外に出かけた後、はじめが向かった先は
小説家の右竜あかねがいるコテージ。
 
 聖恋島を訪れたとき、
 「両側から張り出す岬が堤防になっててとても船が出せないひどいシケでもこの入り江の中だけは何とか船が出てるのよ。
そしてそういう時は魚が逃げ込んで大変な爆釣になる…!」
と語っていたので、
 「右竜さんは何度も聖恋島を訪れているのではないか」と気になっていたのだ。

 実際、はじめが来た時は3回目の訪問だった。

 また右竜は嵐で海が荒れたとき爆釣になったのを経験したことがあるが、2回目の時に同じような状況になったときは全然釣れなかったという。
 なおこの時は霧声が「やめた方がいい」とアドバイスしていて
その翌日のいい天気の日には霧声のアドバイス通り結構釣れていたという。
 右竜はこのことから「地元の人にしかわからない何かがあるのかもね」と言っていた…。

 …そんなはじめと右竜の会話の様子を、編集者の奥ノ木武蔵が外でじっと聞いていた……。


 ・・・はじめは桟橋で釣りを始めた…
…のではなく、浮きの流れる様子を観察した。

 桟橋の向こう側から岸に向かいゆっくりと浮きが流れてくるのを見えたことから、はじめはこう考えた。
 「霧声さんが魚を釣りに行ったのは潮の流れを見たからでは。
 入り江の入り口の方から潮が陸地に寄せるような流れの時は
たぶん魚がたくさん獲れる。」
それを聞いた七瀬美雪も霧声が釣りに出かけた理由について納得した。

 はじめは更にこう続けた。
 「逆に言うなら、午前中に伊豆丸や鰐瀬が漁に出た時は逆方向の流れだったのかもしれない。
 理由はわからないけど、島の唯一の釣り場であるこの入り江では
こういう流れの時に魚がドドっと入り江に入ってきて右竜さんのいう爆釣状態になるってことなんじゃないかな?
 まして悪天候の時は魚が入り江に逃げ込んでくるからそれに拍車が掛かるのかもしれない

 …このときセイレーンの泣き声が聞こえた。
それは今朝聞いた声に近い響きだった。
すると浮きが逆に沖に向かってゆっくりと進み始め潮の流れが変わった。
  はじめは、セイレーンの声について確信した。
 「あのセイレーンの声は、潮の流れを教えてくれるんだ!
そしてその潮の流れが入り江に大量の魚を招き入れてくれる。
 それを島民の霧声さんは知ってて、魚が釣れるかどうか判断してたんだ!」

 【潜入!セイレーンの住処!!】

 一方その頃、剣持警部は鬼島高彦や凪田空也ら大会関係者やテレビ局関係者、そして伊豆丸ら大会出場者の男たちがセイレーンを狩ろうとしていたので彼らと一緒についていった。
 けれども剣持警部以外の男たちは、ある場所で一目散に引返した。
 
 …それは、凪田が偶然見つけた洞窟。
凪田、鬼島はこの洞窟は初めて見たという。

 その洞窟からセイレーンの泣き声と思われる声がしたのを聞くやいなや、
悲鳴を上げてダッシュで逃げ帰ったのだ…。

( ゚д゚)ポカーン

 ・・・その話を聞いたはじめは、洞窟を見に剣持警部と美雪と一緒に向かった。

 この時のはじめはこう考えていた。
 「海の怪物『セイレーン』なんているわけない。
でもその名前を語る奴…影尾を銛で突き殺し、潮を海に引きずり込んで溺死させた人物…
悪魔の知恵を持つ殺人犯『セイレーン』がいる…!

 …はじめは洞窟から『セイレーン』の声がするのを確認した。
そして剣持警部にロープを頼んで洞窟の下に降りた。
 けれども、足を滑らせて下に落ちた。
 けれども海水が洞窟の中に入り込んでいたので無事だった。

 そしてはじめは懐中電灯で辺りを照らすと、そこに広がる『ある光景』に驚いた…

 そして「次回に続く」となっていた…。


 ―― 果たして、人間魚雷回天の機体が
洞窟の中にあったのだろうか…? ――

 前回のブログで自分は
 「セイレーンの泣き声の出処は岩場かな…?」というようなことを書いたが、
はじめが驚くほどのものだからただの機体1体だけではなく
人間魚雷回天の秘密ドックのような大規模なものが
はじめの目の前に広がっていたのだろうか?


 …ところで潮の溺死については、潮だけに潮の流れが関係しているのだろうか…?
だとすると剣持警部も海に引きずり込まれる可能性があるから、
潮が使っていた特注の釣竿の浮きにこそ、海に沈む仕掛けがありそうな予感がするなあ。

 そして「実は真犯人は釣具メーカー関係者」というのがありそうに思うなあ…。

 
 …それにしても剣持警部が出場しているセイレーン・フィッシングマスターズは
全員が釣りが得意ではなさそうだなあ。
 剣持警部と一緒のチームのはじめと美雪が全くの釣り素人であるように…

 すると小説家チームは「右竜はとても上手で、奥ノ木が全くの素人」なんてこともあるだろうし、
 医療関係者チームでは「亡くなった潮以外、実はそんなに釣りは上手ではないか全くできない」なんてこともありそうだなあ。

 自分が思うに今回の事件の真犯人『セイレーン』
「実は釣りが上手いことを隠している、釣具に詳しい人物」だなあ。
 怪しいのは、医療関係者チームの中の誰かだなあ…。


【追記】

 最近のブログ記事に寄せられたコメントについて。

 まず「潮さんの遺体に手袋がない」という指摘がありました。
これは、特注の浮きと合わせてヒントになりそうですね。
 ただ、手袋は遺体が流れ着いた時に犯人が回収したのか、それともまだ潮が溺れた現場に残っているのかは気になるところですね。

 また「セイレーンの声の正体は米軍が工事を行った際にできた穴かなにかに風が当たってできた音」というコメントもありましたが、
その答えは次回第7話で明らかになりそうですね。

 そして「『聖恋島』の名付け親であるリゾート会社が地獄の傀儡師・高遠遙一の探すルーツと関係があるのでは」というコメントについても、仮にあるとしたら意外な展開になりそうですね。

(※ソース
週刊少年マガジン 2017年第1号~第8号
『金田一少年の事件簿 聖恋島殺人事件』

CASEFILE of Kindaichi Hajime: 聖恋島殺人事件 #6
講談社(2017) (第6話)p429~p448)