現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』。
主人公・金田一一が部下の葉山まりんと挑む事件は、『京都美人華道家殺人事件』。
音羽ブラックPR社の仕事ではじめはまりんと共に京都の華道の赤池流家元・京極家を訪れたが、
双子姉妹の妹・京極桜子が喉を掻っ切った状態で枯山水にて倒れた状態で遺体となって見つかった…という事件。
足跡は桜子のものとみられるものが一つだけしかなく、リベンジポルノ流出を恥じての自殺とみられたが、はじめは「もう謎は解きたくない」と思いながらも桜子は自殺ではないと思う名探偵の血が騒いでいるのをまりんに勘付かれていた…。
【枯山水の後始末】
さて、第5話では桜子の遺体が運び出される時、桜子の母・京極鶴羽が書類にサインしていた。
また京極雁流の弟子・黒樹左京が、昨晩の家の外回りにある監視カメラの映像が入ったUSBメモリーを刑事・山科六郎に渡していた。
ちなみにこの映像は出入り口のみならず窓に至るまで家のぐるり全体を網羅しており、外部から不審者が出入りすればすべてわかるようにしてあるとのこと。
掛け軸や茶器やら貴重な美術品が多いから。
山科刑事が引き上げた後、雁流は左京に家の者を全員広間に集めるように言った。
そしてもうひとりの弟子・一乗寺錦に口止めの必要があるので東京の客人も念の為集めるよう言った。
皆を集めた雁流は、
「警察の調べを待たんでも桜子が自殺なことは間違いあらへん」
「理由は自業自得でばらまかれたリベンジポルノやろうがこれについては一切口外しないよう」
と言った。
はじめとまりんには
「ここで見たり聞いたりしたことは決して外部には漏らさへんように」
板前の辻森遥と仲働きの波風千紘にはリベンジポルノについて
「あんな調子で触れ回るようなマネをしたらクビではすまへんぞ、京都で働けのうしたる!
波風、お前もや!」
と言っていた。
六波羅護には桜子の密葬の手配をするように、
そして黒樹と一乗寺には枯山水の手入れをするように言ったが、
桜子の姉・薫子が
「あの庭の手入れは私に任せてもらえまへんやろか?あの子も私もお互い生きる道は違ってもあの枯山水が大好きでそれは同じでした。だからあそこで命を経ったんだと…子供の頃あの枯山水を二人で整えてた思い出と一緒に弔いの気持ちを込めて私が手入れしたいんです…」
と言っていたので、雁流が薫子の枯山水の手入れを許可した。
【不幸中の幸い】
ところで雁流はこう話していた。
「まあ不幸中の幸いは桜子が赤池流と縁を切っていたことやな!妹の桜子の不始末は隠してもいずれ伝わるやろうが、それ自体は薫子にはなんの責任もあらへん。薫子にきとる縁談の相手は鷹揚なお方やからまずまず許していただけるやろ」
けれども薫子は、縁談相手にすでに伝えてあるという。
赤池流とは関係ないにしても、薫子の口からお詫びしておこうと思ったから。
「それでまさか自殺するなんて…」と薫子は言っていた…。
ここではじめが
「差し出がましいようですが、薫子さんひとつだけ…よろしいですか?」と言い、こう聞いた。
「今仰られたこと…桜子さんに話されたんですか?」
・・・薫子はリベンジポルノの流失の件を正直に桜子に話すと、桜子は自分のが消失していることには気づいていたようだった。
縁談相手はなんとかわかってくれた事、そして流出した画像は消せないものなのかを聞いたところ
「無理やろね、そのうち目線のないのも出てくるやろし、もうウチの人生終了や」
と桜子は言い
「バイバイ お姉ちゃん」と寂しそうな顔で家を出ていったという。
ちなみに、「それは何日前のお話なのか」をはじめが薫子に聞いたところ、3日前のことだったという。
【雁流とハエ】
はじめのと薫子の会話を聞いていた雁流はこう言った。
「なんや音羽ブラックPRはん、まるで刑事みたいな物言いやな…!」
「あんた…赤池流を甘く見ないことやな…!
うちは京都政財界にも顔が利くんだってこと…!」
このとき、ハエがビタッと雁流の顔についた。
はじめとまりんは思わず吹き出しそうになり笑いをこらえていた…
( ゚д゚)ポカーン
結局黒樹の手でハエたたきでハエは殺された…。
【実は冷え切っていた姉妹関係】
結局その日は朝御飯抜きになってしまった。
そして警察からはじめが第一発見者ゆえに京極家に留まるように言われた。
そんなはじめは、波風から薫子の話について聞かれた。
桜子が家を出ていったのは3日前と薫子は言っていたが、いつそんな話をしていたのか波風は疑問に思っていた。
3日前は桜子はフラワーアレンジメントの仕事でずっと家におらず、薫子は逆にずっと家にいた記憶があったのだ。
はじめはこれにくだんの問題の話について、薫子が「出かける前」と記憶していた。
薫子は鶴羽に
「『バイバイ お姉ちゃん』と言って寂しそうな顔であの子…
桜子が出かける前にどうしてひきとめてもっと話聞いてあげなかったの!?」
と言っていたのを薫子の話から知ったから。
そして波風は薫子と桜子についてこうも言っていた。
「ウチは先代の青流先生の時代からずっと働いてましたからわかるんやけど、
あのご姉妹、そんな仲いい方ではなかったんですよ?
むしろ冷え切ってるっていうか…」
これを聞いたはじめとまりんは意外だと思った…。
波風は薫子と桜子についてこう続けた。
「京極家の双子の美人姉妹といやあこの辺りでは有名人でしてな、幼い頃からお祭りやらイベントやらひっぱりだこできれいな着物着て二人並ぶとお人形さんみたいとみな口を揃えてほめてましたわ」「でも当の本人たちは反りが合わないっていうか…物心つく頃にはすでにお互い無関心でお客様の手前あたりさわりない会話はしますけどあの姉妹が二人きりで親密な話なんてうちからするとちょーっと考えにくいんですわー」
これを聞いたまりんは
「金田一さんひょっとしてあれ作り話なんじゃ!」と言ったが、はじめに
「クライアント様をそう言っちゃダメ!」と注意されてしまった…
(´・ω・`)ショボーン
「・・・でも、なんでそんな"作り話"せなあかんのやろな…」
と、波風は言っていた…。
と、波風は言っていた…。
【第二の殺人・華道家も犠牲に…】
薫子の話は作り話なのか…?
この頃薫子は、物置で何者かに呼び出されて襲われた。
近くにあった刃物で反撃しようとしたが、もみ合いになった結果、後ろから紐で首を絞められて絞殺された。
そしてその遺体は、犯人によってどこかに運ばれた…
―― 作り話をした理由…
それは、リベンジポルノに薫子自身が加担していたからでは。 ――
薫子を犯人が始末したのは桜子と薫子だけではなく京極家に復讐するためでは。
すると雁流も狙われる流れになりそう。
今回の事件のキーワードはまりんと波風が話した「作り話」。
リベンジポルノもまた、薫子が桜子に見せかけた「作り話」だと思うなあ。
特に薫子殺しは、薫子と親密な関係にある関係者が犯人だと思うなあ。
そして最初の事件の被害者である桜子を殺害したのは、実は薫子、ってこともあるかもしれないなあ。
もし薫子が桜子殺しに関わっているとしたら遺伝子も同じだから、殺人でも自殺に見せかけることができるのでは。
特にこれは『金田一少年の事件簿』の『異人館ホテル殺人事件』にあった双子のトリックとよく似ているのでは。
『異人館ホテル』では双子の一人である真犯人が無実の双子に罪を着せるものだったが、
今回の事件の場合は真犯人と共犯関係にある薫子が双子の桜子を普通に殺害し、
一卵性の双子ゆえ違和感もなく自殺に見せかける事ができた、というものでは。
今のところ、桜子と薫子を殺害した今回の事件の真犯人を特定する決定的な証拠は出てきてないなあ。
ただ、双子が事件に関わる『異人館ホテル殺人事件』について、はじめは今回の事件のどこかのシーンで思い出すかもしれないなあ。
それを思い出すに至る人物が偶然にも登場しないかなあ…。
かつてのこの事件の関係者の親族が偶然登場…、というような展開ないかなあ。
それにしても、今回薫子が殺されたことで、
『京都美人華道家殺人事件』というサブタイトルが回収されてしまったなあ…。
【ソース】
イブニング 2019.04.23 NO.09
『金田一37歳の事件簿』
京都美人華道家殺人事件
File30 第二の事件
講談社 (P137~P158)