にぎる。

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タグ:永倉新八

 (・8・)<ハジメチャン!

 現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』
『金田一二三誘拐殺人事件』で完結し、まだタイトルが決まっていないけれども
 

 なお、最終話の前にある『金田一少年の事件簿R』シリーズ完結記念特別対談 天樹征丸&小林直己』によれば天樹氏は、はじめについてこう述べている。

 また少年に戻るときもあるとは思うんですけどね。
 ただ長くやっていると、どうしても金田一はじめという主人公がスーパーな存在になってしまって、推理以外はダメな人間というところがボケてしまっている気がしたんです。
 だから舞台と年齢を変えて、もう一度、はじめという人間を描きたいなと思ったんですね。

 ―― 大人になっても性格は少年のときと全くと言ってよいほど変わらなさそうだし、
推理のスタンスも変わってなさそうだし、
 もし変わるとしたらメインキャラに匹敵するような大切な人を失うほどのこれまでにない難事件が起きる必要があるのでは… ――


【沖田総司を操っていたのは…】

 ―― 自分は、
ガールフレンドの夕月カンナを死に追いやったカンナの上司・山南敬助を殺害するため『沖田総司』を名乗って金田一二三を誘拐した(※実は狂言誘拐)永倉新八についてこう考えていた・・・

 「永倉は金持ちなのだろうか…?
 フミを監禁していた豪勢なアジトといい、
 たくさんのケータイ(おそらくいわゆるトバシ携帯)といい
 たくさんのバッグといい… 
 本当に一人でやったとは思えないなあ。」

 「永倉の犯行の裏には高遠遙一みたいな協力者がいて
 復讐の舞台を用意してくれたのか、ということも気になるなあ。」

第10話辺りから・・・ ――



 第13話(最終話)では、確かに地獄の傀儡師・高遠遙一が永倉のバックにいたことが明かされたが、
 はじめが注目していたのは自分の考えとは違うポイントだった。


 ・・・「高遠の存在」
 作中では
「引っかかる『何か』」あるいは「すっきりしない『イヤな感じ』」として
永倉が逮捕後時間が立つほどはじめの中でじわじわと黒い染みのように広がっていた。


 …さて、はじめは『金田一二三誘拐殺人事件』における高遠の存在をどこで感じ取ったか?
 …それは事件後永倉と面会したときの会話で明かされていた。

 永倉ははじめに
 「ただひとつ不運だったことがあるとすれば、
 金田一くんの従姉妹を誘拐しちまったことかな。
 
 それがなければ、これは見事な完全犯罪だった!」

と言っていたが、はじめにとってその言い方自分で考えた「計画犯罪」にしてはまるで「他人事」のように見えたから。
 永倉の言動を考えれば考えるほど何とも言えない「違和感」が湧き上がって来ていたのだ。

 
 「あの「計画」はあまりにも良くできすぎてた」
 「もし偶然起きた爆発事故がなかったら
 この事件は見事な完全犯罪になっていたかもしれない」
 「これまで犯罪歴もない永倉がたった一人で考えたとは思えない
 こう話すはじめは、永倉にこう言った。

 「永倉サン…正直に答えてくれませんか?
  あなたのこの「殺人計画」をプロデュースした人物の名を…!」
 
 「なんのことかな」と言う永倉に、はじめは続けた。

 「俺はその男をよく知っている!
 奴は不幸や憎しみを抱えている人に言葉巧みに近づいてその人の中の憎悪を煽り、
自分が考えた『芸術犯罪』とやらを演じさせる『操り人形』にしてしまうんだ。
 俺はこれまで何人もの人が奴の操り人形になって凶悪な犯罪に手を染めるのを何度も見てきた。
 俺は…あの男だけは絶対許せない…! あいつだけは必ず…俺の手で捕まえなきゃならないんだ。
 だからなんでもいい、奴について知ってることを知ってることを教えてくれ!!
 頼む…!永倉サン」

 …はじめの言葉に、永倉は高遠について知っていることを明かした。

 ・・・高遠はカンナの葬儀にいて、
しかもカフェでの永倉とカンナの同僚たちとの会話もたまたま聞いたという。

 さらに高遠
 「彼女を殺したも同然の上司に何もしないんですか?」
 「一発ぶん殴ってやりたい?それだけ?その程度で済むようなことなんですか?」

 そして高遠は永倉の
 「そんなわけないだろ!?できればこの手で…」という言葉のあとで言った…!

 「殺したい・・・?」

 「いいじゃありませんか。
 彼女を貶め無能な部下として死に追いやったその上司に
 ふさわしい『不名誉な死』を与える…
 私でよければ手助けしますよ?
 『完全犯罪』」による芸術的『復讐』を…」

 と・・・!


【誠】

 「永倉さん、あんたは利用されたんだよ!
あの悪魔のような『犯罪者』に。」

 はじめの言葉に対しても

 「そう言ってもね…
 結局殺人に手を染めたのは俺だよ?
 俺自身自ら選んで『人殺し』になる事を選んだ。
俺だってもう立派な『犯罪者』さ」
と言った永倉。

 はじめは言った。

 「本当にそうなのかな…?
 フミも言ってたぜ?
 あんたの人質への気遣いが半端なかったって!
 あんたは根はやっぱり優しい人間なんだ。
 『犯罪者』なんて向いてない」

 そして七瀬美雪が、今回の事件で永倉とともに現金の受け渡しを手伝った新撰組隊士と同姓同名の人たちからの寄せ書きを見せた。
 中央には「誠」とあり、それぞれこんなメッセージを書いていた。

 永倉くん 君はまだ若い
 やり直しはきく 罪を償って生き直すことを願う
 局長 近藤勇
 
 辛い選択だったと思う
 だが、ヤケにならぬよう生き抜いてほしい
 副長 土方歳三
 
 やり方は間違っていたと思う
 けど彼女さんの愛情は本物だったと思います
 斎藤一

 永倉さんの告白に涙が止まりませんでした
 そんなに愛されてカンナさんはきっと天国で思ってると思います
 生まれ変わったら今度こそ結ばれたいって
 新見錦

 「こんな俺のために…  
 ありがとう… ありがとう…みんな…」

 涙を流す永倉だった…(´;ω;`)

 
 【cafeふくろうのマスターの正体!】

 後日、cafeふくろうではじめと美雪はフミの誘拐事件で出会ったブラック上司(山南敬助)のことについて話した。
カフェのマスターは「びっくりだったな」と話していた。

 はじめは言った。
「ブラック上司だかなんだか知らないけど俺なら一発で片付けてやんぜ。
 あんたの下で一秒たりとも働けるか、このハゲ上司

 想像図中のOLたち
 \キャー 金田一さんステキー!/
 

 ―― <もしかして>

 金 田 一 一
 豊 田 真 由 子 説 浮 上
 ↑
 違うだろー! ――

 
 でも美雪は
 「どーかしら!
 はじめちゃん意外にヘタレだからそんな上司にゴマ擦って陰で文句言ってそ…」
と言っていた…

 そして
「ハハハ、そうならないことを祈ってますよ」
と言っていたマスターの口調に違和感を感じたはじめだったが、
 いつき陽介との約束を思い出し電車に乗るために美雪とともに駅に走っていった。

 ジッチャンの名にかけて、電車に間に合うために…。


 ・・・さて、カフェふくろうのマスター
 実は高遠遙一の変装だった!!

 「グッドラック、間に合うと良いですねぇ…!
 それにしても偶然とはあるものですね。
 まさかあの事件まで金田一君が関わってくることになろうとは…
 いや…偶然じゃなくて必然かな?
 金田一君…」

 「私と君とは決して交わることのない平行線
 しかしそれはスキーのシュプールのように常に並んですぐ近くにある。
 そういう宿命だとするならまだまだ君との付き合いは長く続きそうです」
 
 「金田一君、また会いましょう
 謎に満ちた事件で…
 グッド・ラック」


 ―― 地獄の傀儡師、『マジやばくね』

 殺人事件を犯してしまった隊士に隊士たちからの寄せ書き、『マジやばくね』

 そして『金田一少年の事件簿R』最終回で
 「このハゲー!」「違うだろー!」などの暴言のインパクトから
 いわゆるMAD議員と化した豊田真由子議員ネタらしきものが飛び出した…
 『マジやばくね』

  …カンナだけに… 

 ※もちろん、カンナ違いです。 ――


 この事件…フミの誘拐事件では、高遠が隊士たちの誰かに変装し、
 高遠は使えなくなった操り人形・永倉を始末するのかと思いきや、
 高遠は直接手を下していなかったなあ。
 金銭面で永倉を援助しなかったからかな?

 それにしても
 まさかカフェふくろうのマスターが高遠だったとは…( ゚д゚)
 これは読めなかったなあ。
 コメントにもあったようにこの事件に高遠が一枚噛んでたというのは大方の予想通りだったけど…
 
 そしてこれも読めなかった。

 今話題沸騰中の豊田真由子議員ネタらしきもの
よりによって『金田一少年の事件簿R』で
しかも最終回で飛び出すとは…( ゚д゚)

 でも『イブニング』にて大人になったはじめは、
同僚の女性社員を追っかけまわしては
 「このハゲー!」と同僚や美雪に言われて
ドジする日々を過ごしてそうだなあ…( ゚д゚)

 …果たして大人になったはじめは、しがないサラリーマンか?
 それとも別の職に就いているか? 
 あるいは大学生か?
 はたまた『おそ松さん』の六つ子みたいにニートか…?

 …来年、大人になったはじめの展開が楽しみだなあ。

 <ソース>
週刊少年マガジン 2017年第45号
『金田一少年の事件簿R・金田一二三誘拐殺人事件』
『金田一少年の事件簿R』シリーズ完結記念特別対談』
講談社 (最終話)p243~p262;p241・242

まんたんウェブ
金田一少年の事件簿:“大人版”が「イブニング」で連載へ 高2の一が大人に

 現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』
何と、次回で完結するとのこと…
 …(´;ω;`)ブワッ

 けれども来年2018年1月23日に新シリーズが登場
何と金田一一が大人になって登場するとのこと。
 しかも掲載雑誌が『イブニング』に変わるとのこと。
 なお、タイトルについて天樹征丸先生は今号の週刊少年マガジンにおいて
 「タイトルでまだ悩んでます。」と目次のところで述べている。


 ―― 『おそ松くん』が『おそ松さん』になったように
 『金田一少年の事件簿』が『金田一青年の事件簿』になるのかな?

 それから25年後には『金田一壮年の事件簿』になって、
 それから25年後には『金田一中年の事件簿』になって、
 そしてそれから25年後には『金田一高年の事件簿』に…

 …流石にならないか( ゚д゚) ――


 【婚約者・夕月カンナ】

 それはさておき、
『金田一二三誘拐殺人事件』『金田一少年の事件簿R』最後の事件になるとのこと。
しかも、第12話で終わりではなくあともう一話あるという。

 第12話ではフミを誘拐し(※実は狂言誘拐)山南敬助を殺害した真犯人『沖田総司』こと永倉新八動機が明らかになっていた。

 …それは、婚約者の夕月(ゆづき)カンナいわゆるパワハラにより自殺させたことに対する復讐だった。

 永倉とカンナは中学頃からの付き合いで同じ大学を卒業した。
 そして永倉は総合商社、カンナは大手広告代理店に就職した。
 特に永倉はアフリカに配属が決まり婚約指輪のダイヤの指輪も購入していた。

 離れている間はお互いメールでやり取りをしていた。

 永倉は会えない分だけ「カンナのいない人生なんて考えられなかった」
はじめたちに明かしていた。

 カンナ
 「スマホが壊れたけど買い替えに行く時間もないから
 しばらくはこの会社の携帯のアドレスに送ってね
 それにしても時差も8時間とかだし即レスできなくてゴメンね
 でも新ちゃんからのメール、毎朝すごく楽しみにしてるからさ
 大好きだよ 新ちゃん」

 永倉
 「俺もだよ
 ここはネットもほとんど使えないからSNSはダメだけど
 衛星携帯 会社からもらってるからメールは大丈夫
 夏休みには絶対にもらって帰るつもりだから待ってて」

 
 「早くカンナの声が聞きたい」と思っていた永倉。
 だが・・・

 「すごく忙しそうだね 新ちゃん
 でも大丈夫だよ あたしは平気」
 
 永倉はこのメールがカンナから来たことが引っかかり

 「カンナの方こそ頑張りすぎてないか?
 身体壊しちゃ元も子もないぞ?」

 と返信した。

  それ以来、カンナのメールの返信がぷっつり途絶えてしまった。
 それが2週間続き電話をかけてみるとカンナではなく見知らぬ男の声がした。

 「身内に不幸があった」と嘘をついて日本に帰国した永倉を待ち受けていたのは、
 本当の『不幸』だった。

  永倉はカンナの会社を訪れて受付の人にカンナを呼び出してもらったけれども
 「3日前に亡くなっている」ということを聞かされた。

  自室の風呂場で手首を切って自殺したという。
 同僚がカンナの遺体を発見したらしい。

 永倉はカンナの葬式の会場でカンナの父に会い
「まさか自殺するまで追い込まれていたとは」と聞いた。
 棺の中のカンナはやつれていたがまるで眠っているようだった。

 「カンナ…
 これ…前に言ってた「お土産」だよ
 俺 お前にプロポーズするためにすげー奮発したんだぞ?
 ……なぁ お前の手…
 どうしてこんなに冷たいんだよ……!?
 どうして… どうして…」

 婚約指輪を手にはめる永倉は泣いていた…

 
 【マジやばくね?山南敬助課長】

 葬儀を終えて会場から出た永倉はカンナの同僚の女性二人から聞かされた。
 カンナの上司・山南敬助課長(ヤマケイ)ずっと陰湿なイジメに遭っていたことを…

 山南は新人歓迎会でカンナに迫って断られたのを根に持ち
新人のカンナにメチャクチャなノルマを課し、毎日みんなの前で凄まじい叱責を浴びせていた。
 またスマホに関しては防水でないのを知ってかわざと飲み物をかけ、水をかけて洗っていた。
 しかも代わりに会社の携帯を渡していた…

 …幸い、カンナの同僚は山南に壊された携帯を修理してくれていてパスワードも預かっていたので
 永倉は同僚からカンナの携帯を受け取ることができた。
 カンナの父に渡すべきか迷ったがその前にカンナの日記を見つけた。
 そこには…

 「営業の電車の中
 絶対に無理なスケジュールどうやって回ればいいの?
 何度見ても新ちゃんからの返事がない
 今朝も新ちゃんからのメールは来なかった
 どうしたのかな
 私のメールの返事もないなんて
 何か他の人ができちゃったとかまさかだよね」
 
 「昨日も眠れなかった
 みんなの前で怒鳴り散らされて全部やり直し
 夜の12時までかかって終電で社員寮に生き地獄
 新ちゃんからのメールは今日もなし

 ・・・カンナの日記から永倉は確信した。
  山南はわざわざ早く出社し、カンナが読む前に永倉からのメールを消していた。
  孤立させ、精神的に追い込むために…
  毎日返事を欠かさず書いていたのに、カンナは読んでいなかったから

 ―― (;8;)<カンナチャン…。 ――

 カンナの父に携帯を渡し事情を話せば会社を訴えただろう。
 でも山南というクズが会社をクビになるだけ。
 そんなんじゃ俺の怒りは鎮まらない…!
 あの山南というサイテーの男にふさわしい『犯罪者の汚名』を着せて
 この世から消してやろう…

 ・・・こう思った永倉は、自分が山南と同様に新撰組の隊士と同姓同名であり、
 しかも偶然にも新撰組祭があったのでこれを利用できないものかと考えた。
 新撰組祭に誘い出すためにメルマガを装って案内を送ったり「参加すると商品がすごい」と煽っていた。
 そして実際に山南が現れた時、こう思った。

 「復讐の神様が俺に味方してる」と…。

 ただ、起こした事件について永倉は
 「ただひとつ不運だったことがあるとすれば、
金田一くんの従姉妹を誘拐しちまったことかな。
 それがなければ、これは見事な完全犯罪だった!」
と言っていた。

 そして
 「ま…やつを誘拐犯にすることはできなかったけど俺の復讐は成功した。
 それだけで俺は満足さ…
 さ…刑事さん行きましょう」
 と言い、剣持警部に連れて行かれた。

 ・・・はじめは永倉の独白をじっと聞いていた。
 この時、はじめの中には「何か」が残っていた。
 はじめの中に残る「ただ一つ」のものが…。

 

 ―― 山南敬助課長、ブッブーですわ!!
 ダイヤだけに…|c||^.-^||
(※ダイヤ違いです)

 そしてパワハラ、『マジやばくね』
(※カンナ違いです) ――


 …永倉のターゲット・山南は恋人の上司だったか…。
 それにしても永倉はアフリカ出張したり現地で結婚指輪のダイヤの指輪を手に入れるとは
 相当な金持ちだったんだなあ…。
 フミを監禁するアジトまで用意してるし…。

 自分は、こういう大掛かりなのは金銭面やトリックについて
裏で地獄の傀儡師・高遠遙一みたいな人物が手を貸していると思ったが
 実はそうではなく、単独犯だったか…。

 それにしても山南のイジメに
心を痛めていくカンナさんが可哀想…(´;ω;`)

 
 …第12話ラストでは
「『金田一二三誘拐殺人事件』は京王線井の頭線渋谷駅を終点に幕を下ろした」
とあるけれども、
はじめの中では幕はまだ降りていないようだったなあ。

 実はこの事件の裏にはもっと大きな力が働いているのだろうか…?
 黒幕が存在するのだろうか?

 …果たして『金田一少年の事件簿R』は、
『金田一二三誘拐殺人事件』のラストはどこに向かうのだろうか。

 今回の事件の場合、次回ははじめやフミが刑務所にいる永倉に何か言いそうだが
 その前に読者の度肝を抜く意外な展開が待っていそうだなあ…。
 これは来年から始まる新シリーズで大人になって登場するはじめの伏線になるのだろうか…?


 <ソース>
週刊少年マガジン 2017年第45号
『金田一少年の事件簿R・金田一二三誘拐殺人事件』
講談社 (第十二話)p409~p429

まんたんウェブ
金田一少年の事件簿:“大人版”が「イブニング」で連載へ 高2の一が大人に

  現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)・金田一二三誘拐殺人事件』真犯人『沖田総司』金田一一のいとこ・金田一二三を誘拐、3つの携帯を利用して自らのアリバイを確保。真の目的である山南敬助を渋谷駅近くで殺害することを達成したが、トリックを前回第10話ではじめに見抜かれた。

 …『沖田総司』こと永倉新八がトリックに使っていた携帯は次の3つ。

 (携帯X
 山南を操るためのメッセージを届けるために犯人が持たせた。
 (携帯Y
 警察に回収されることを見越して用意した山南の偽連絡用。
 これは犯人にとって都合の良いメッセージだけが記録されている。
 (携帯Z
 はじめに尾行がバレていることを伝えた。
 死体となった山南から警察が回収し、そのメールの送信記録で山南共犯者説の根拠となった。

 …第11話ではまず、
3つの携帯を山南に対しどのように使ったかが具体的に明かされた。

 
 【山南を動かす3つの携帯XY&Z!】

 身代金の運び屋をすることになった近藤勇・土方歳三・永倉新八・新見錦・斎藤一、そして山南敬助はメールを受け取っていたが
それは沖田総司のアジトから自動配信されたものだった。
 沖田が3つの携帯を使い出したのは渋谷駅に着く頃からで、山南に次のようにメールを送っていた。

 1.携帯X
 「渋谷駅で降車専用ホーム側ではなく反対側のドアから降りて西口改札へ行け」
というメッセージを送る。

 2.山南が降りたらすぐに別の携帯Zから携帯Y
 「沖田総司
 帽子をかぶり長髪を後ろで縛った少年は尾行だ
 渋谷駅中央改札に立たせておけ
 各駅停車が出るまでに動いたら人質を殺す」
というメッセージを送る。

 すると山南ははじめにメッセージを見せ
はじめが中央改札に向かい山南は西口に階段を降りた。

 3.携帯X
 「沖田総司
 西口改札内にあるコインロッカーに現金のみを入れ空の鞄を持って西口改札を出て次の場所へ向かえ」
というメッセージを送る。

 山南はロッカーに現金を入れて指示された駅の外に向かった。
 だが、沖田に山南は殺された。
 はじめの言葉を借りれば
 「まさかそこで自分が殺されるなんて夢にも思わずに」…。

 4.殺害現場にて山南が持っていた携帯Xを回収し、トリックに関わるメッセージを省いた携帯Yとはじめに中央改札へ行けと支持した携帯Zを残した。
 その結果「Y」「Z」2台の携帯が発見されたこと、現金だけがコインロッカーに入っていたことで警察もはじめも「山南共犯説」に一気に傾いてしまった。


 【着替え】

 永倉はこのはじめの推理に対しこう言った。

 「あのさ、根本的な問題を無視してない?
 一体どうやったら電車で吉祥寺に向かいながら渋谷で人を殺せるんだって話…!
 それとも渋谷で降りて山南さんを追っかけて殺したとでも言うのかい?
 なら君は中央改札で立って見てたんだろ?
 俺があの電車を乗り降りするところを!?」

 はじめは「見ていない」と答え、永倉の反論に対し土方
 「金田一君の目を盗んでうまく電車を降りれたとしても各停が出たのは6分後の16時53分。
 一旦改札出て人を殺して戻ってくるなんて到底無理だ。」
と言っていた。

 これに対しはじめはこう答えた。
 
 「16時53分発の吉祥寺行き各停に永倉は乗っていなかった」

 「永倉は永福町から各停に乗っていた」

 実は永倉は、はじめが中央改札に向かうタイミングで降車ホーム側に降りていた
 このままでは…新撰組のコスプレをしたままで改札を出たら誰でも人目に付いてしまうが
永倉は西口に出る降車専用階段で、電車から降りる人がいなくなったタイミングで着替えた。
 手持ちのバッグの札束に見立てた新聞紙の下に隠していたレインコートを取り出して着、
はちまきを取りシューズカバーを着けて新撰組の格好をほとんど隠していたのだ。

 また永倉はICカードを2枚持っていた。
 一枚は警察に回収されるもの。そしてもう一枚は降車専用の改札をくぐるためのもの。
 このときカバンは次の電車が来るまで人が全く通らない死角になる降車専用階段に残していた

 そしてそもそも身代金の運び屋全員にコスプレをさせたのは目立つ格好を逆に利用するため。
 そうすることで警察はそれを目印に使う。
 逆に言えば目印の隊士姿を隠してしまえば人混みに紛れ簡単に姿をくらますことができるし、
万が一駅員や警察官とすれ違っても気づかれる心配はないからだ。

 …人気のない場所で待ち合わせをしていた山南を殺害後、
永倉は2枚目のICカードで渋谷駅に入り降車専用階段でシューズカバーを外しカバンを回収。
コート姿のまま乗車階段を登りはじめが乗っていた急行吉祥寺行きに乗った。
 そして永福町に着いたら素早くコートを脱いではちまきを頭に乗せて各停に乗り換えた。


 【『乗っていた』のは…】

 永倉はなおもしらを切った。
 剣持警部に連絡用の携帯のGPS履歴を確認させた。

 「GPSによると永倉は各駅停車に乗ったまま吉祥寺に…」と彼が言っていたので
 「機械は嘘をつかない、それこそが各停に乗ってた動かぬ証拠だ」と永倉は自信満々だった。

 けれどもはじめはそのトリックも見抜いていた。

 「吉祥寺に向かっていたのはあんたの『携帯』さ!」

 …永倉はボロボロの時刻表に携帯を隠していたのだ!
 しかも携帯が入るスペースがくり抜かれていたのだ!!

 永倉は女子高生に笑われているのがイヤという感じで時刻表のある棚の前に行き、
はじめが顔をそらした瞬間に時刻表を回収した。
 はじめは、永倉が自分ををやたらチラ見していたので気になっていたのだ。
 ちなみにその時刻表からは永倉の指紋がちゃんと採れた。

 
 【沖田総司、墓穴を掘る】

 しらを切り続ける永倉
 だが事情聴取のとき
「電車に乗っている時に火事を見た…各停の窓からすごい煙が上がっていたのを見た」
と言ったことをはじめが確認した時「間違いない」と言ったことで墓穴を掘ってしまった。

 ・・この火事は井の頭線池ノ上駅の近くで起きたタンクローリー爆発事故
タンクローリーが爆発した時間は新聞記事によると5時2分頃
 各駅停車は池ノ上を過ぎて下北沢に到着していた時間。

 この火事を電車内で見るためにははじめと一緒の急行に乗る必要がある・・

 ・・・これをはじめに指摘された永倉は、ついに観念した。

 「最愛の人の命をゴミのように踏みにじったから」
というのが永倉が山南を殺した動機だという…。


 ―― まさか、時刻表が携帯が入るようにあからさまにくり抜かれていたとは…
 
 ( ゚д゚)ポカーン ――

 永倉が犯人ということについて自分は「火事を目撃した」と証言した段階でわかったけど
永倉はアジトや携帯など山南殺害にかなり予算を費やしていることから永倉は金持ちなのかもと思う。
 「『地獄の傀儡師』こと高遠遙一かそれに準ずる誰かが手を貸している」というのも考えたけど、
単純に金持ちなのかも。

 次回、フミは永倉の独白にどんな事を言うのかが気になるなあ。


 【追記】
 今週の『週刊少年マガジン』第44号では
『ラブライブ!サンシャイン!!』の黒澤ダイヤ役でおなじみの「ありしゃ」こと小宮有紗さんが
『炎炎ノ消防隊』のコスプレをしていたなあ。
 
 そういえば今回の『金田一少年の事件簿R・金田一二三誘拐殺人事件』では
タカラッシュ!というリアル宝探しゲームとコラボしていて
『ラブライブ!サンシャイン!!』も来年3月から
「孤島の水族館からの脱出」と題してあわしまマリンパークとリアル脱出ゲームのSCRAPとコラボしているなあ。

 もし将来『金田一二三誘拐殺人事件』がドラマ化あるいはアニメ化されるならば
こういったリアル脱出ゲーム(リアル宝探しゲーム)とコラボしそうだなあ。

 そして小宮さんはドラマでもアニメでも行けそうな気がするなあ。
特に『金田一少年の事件簿』のドラマでは七瀬美雪役か速水玲香役で…

 <ソース>
週刊少年マガジン 2017年第44号
『金田一少年の事件簿R・金田一二三誘拐殺人事件』
講談社 (第十一話)p413~p432
『特別企画!! 3変化!小宮有紗さんの『炎炎ノ消防隊』コスプレグラビア!』
P10・11

金田一少年の事件簿R~呪いの手紙の秘密

リアル脱出ゲーム×ラブライブ!サンシャイン!! 「孤島の水族館からの脱出」

 現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』
金田一一のいとこ・金田一二三『沖田総司』を名乗る者に誘拐されるという
『金田一二三誘拐殺人事件』が展開されている。
 だが、殺されたのはフミではなく身代金の運び屋を沖田総司の指示によりやらされていた山南敬助
…といっても、高幡不動の高幡不動駅の新撰組まつりの子供コスプレ隊と同時開催された同姓同名コンテストに参加していた人物。
 ちなみに山南の他に身代金の運び屋をしていたのは
近藤勇土方歳三永倉新八新見錦斎藤一

 …そして肝心の誘拐されたフミは、何と無事だった。
 このことからはじめはフミの誘拐事件がカモフラージュだったことを突き止め、
くだんの身代金の運び屋をしていた5人の中に誘拐犯『沖田総司』がいると考えた。
 ちなみに第8話ではじめは剣持警部と七瀬美雪と明智警視と一緒に焼き芋を食べていた時
焼き芋を包んでいた新聞記事の「ある記事」を偶然見て確信した。


 そして第9話では
「美雪が持ってきたレインコート
(※その日は雨が振りそうだから電車内でつけててもおかしくない)、

「酔っぱらいのおっさんの忘れ物
(※若いカップルが忘れ物を汚いと思って手を付けなかったこと
という点からはじめは『謎はすべて解けた』に至った。
 

【the last parson】

 近藤「この誘拐の目的は金じゃなく山南さんを殺すためだなんて…」
 土方「おまけに犯人が俺らの中にいるだと!?お前正気か!?」
 永倉「そもそも俺らは新撰組隊士と同姓同名ってだけでお互い知り合いでもなんでもないんですよ?」
 新見「苦労して一日中走り回されてそれで犯人扱いなんてちょっとひどすぎない?」
 斎藤「大体あの時居場所がはっきりしていた俺らに山南さんを殺すなんてムリでしょ。」

 こう口々に言う今回の事件の関係者たち。
 一見すると殺人容疑者からもっとも遠く見えるし、
新撰組のコスプレという目立つ格好で電車を乗り継げば否が応でも目につくし
予想外の行動もできるものでもない。

 …けれどもはじめは5人の関係者たちが『もっとも犯人から遠い存在』だからこそ
この中に真犯人『沖田総司』がいると考えた。


 ・・・「この誘拐事件は身代金目当てと考えるには不自然な点が多すぎる。
その一つが身代金を「親」ではなく「警察」に求めてきたことだ。
単純に金がほしいなら「警察には言うな」と言って大金を用意できそうな「親」を脅迫するだろ?
 まあ「お金」目的というより「愉快犯」に近いのかな」

 はじめの発言について明智警視がこう付け足した。

 「確かに大胆不敵な警察への挑発行為。
緻密な計画で大勢の人間を翻弄するあたりはまさに「愉快犯」なのでしょうか。
それにしてもやはりちぐはぐ感は否めませんね。」
 「人質を客人のように丁寧にもてなすかと思えば身代金受け渡し人はあっさり殺してしまう…
 犯罪心理プロファイリングの観点から見てもこの殺人の行動には明らかに矛盾があります。」

 これについてはじめは、「逆から見ればすっきりする」と言った。そして

 「犯人がまったくの「外部の人間」ならこんなまどろっこしい手を使う必要はないが、
もし「内部の人間」が犯人だとすれば…?
 この一見愉快犯のように見える奇妙な身代金引き渡し作戦
自身もともに行動することで確かなアリバイを確保しつつ確実にターゲットの山南敬助を殺す「殺人劇の舞台」だったとしたら…

 そう考えたらバラバラだったパズルのピースがぴたりと一つの形になったんだ。」

 ここで斎藤が、身代金を運んでいる時に沖田総司が自分たちを見張っていたメールについて明智警視に聞いた。
 明智警視は
 「犯人は簡単なパソコンのプログラムで時間が来ると自動送信されるように仕込んでおいた」
 「あらかじめ考えたとおりに運び屋を行動させるには最初に立てたプラン通りメールを送信するだけ」
 「日本では電車の発着は極めて正確な時間に行われる」
と返した。


 ・・・「そもそも「誘拐事件」そのものは失敗に終わる。
最終的に吉祥寺駅の井の頭線改札前の広場に全員が揃えば御の字くらいに考えてたんだろうな」

 そう言ったはじめは、「そうだろう?」真犯人・沖田総司に聞いた…!



【next day】 

 「永倉新八!」

 はじめが聞いたのは永倉だった。

 …はじめはフミが誘拐された事件当日の永倉の行動を推理した。

 1.犯行の準備を整えて新撰組祭りに行き同姓同名コンテストに参加申し込み。

 2.会場内で手頃な子供を探して(※今回の場合はフミ)
かりそめの誘拐事件の被害者として拉致。

 3.スーツケースにフミを隠し、
沖田総司のお面とかつらを付けてはじめの前をゆうゆうとすり抜けて駐車場へ。

 4.立ちふさがるはじめを避け、猛スピードで立ち去った。
 
 5.車を乗り換え祭り会場近くのアジトに行きそこに一時的にフミと車を隠した。

 6.ダックボイスを用いて「新撰組隊士と同姓同名の6人に全てを運ばせろ」と脅迫電話をかけた。


 …はじめは山南について永倉が命を狙っていることから「結構性格悪そうな奴」と考えた。
あのタイプの男はフツーの状態なら絶対進んで「人助け」なんてしないだろう」とも。
 ただ、山南が身代金の運び屋を剣持警部にお願いされた時はフツーとは違っていて
小さな子供を助けるという武勇伝と新撰組の義侠心が相まって引き受けざるを得ない心境になったのでは。
新撰組隊士の服装が山南の心理に影響を及ぼした。
と考えた。

 
 …そして「山南をそうさせたのは、永倉である」とも…。

 ・・・また犯行を翌日に設定したのには
「雨が降るのを待っていた。
「犯行を行うのには雨が最も重要かつ必要な条件だった」
とはじめは推理した…。


【bag & labyrinth】

 はじめは更に推理を続けた。

 ・・・山南殺害当日、運良く東京の京王線沿いは今にも雨が降り出しそうな天気になった。
 ここで約束通り京王稲田堤駅に集められた隊士たちは『沖田総司』の指示通り刑事たちをどんどんまいた。
 見張り役が減るだろうと予測される新宿駅のトイレで全員複雑な方法でカバンの交換をさせた。
 こうすることで尾行者や隊士たち自身も身代金が入ったバッグを誰が持っているかわからなくなった。
 
 けれども実はこの時身代金が入ったカバンは山南敬助の手に渡っていた。
 都営線に乗り換えたり戻ったりしているうち隊士たちは少しずつバラけていき、
最終的には当初の狙い通り山南と永倉は二人で井の頭線に乗り、渋谷駅に到着した。

 はじめはその時は必死で二人を尾行してなんとか渋谷駅までついていったつもりだったが
「それは犯人の計画通り…
 つまり隊士たちの行動を利用し尾行者を特定。
次第に数を減らしていって最小限の尾行を渋谷で残すのが狙いだったのでは。
 最後は尾行者に正体がバレていることを伝えて自分のアリバイの『証言者』としてホームに留まらせた。
と考えた。

 ・・・「あの時君は見てたじゃないか。
俺が乗った折り返しの各停がそのまま吉祥寺に向かうとこ…
降りずにずっとあの電車に乗ってた俺がどうして
渋谷で外に出ちまった山南さんを殺せたわけ?」

 永倉の反論にはじめは答えた。

「京王井の頭線渋谷駅という
都会の迷宮(ラビリンス)の特殊な構造を利用すればね…」 

 …井の頭線渋谷駅には降車専用ホームとそのための専用階段があった。

 はじめ「山南が事件当時降車専用ホームのドアが先に開いたのに降りずその後に開いた反対側のメインホームドアが開いてから電車を降りていた」ということに注目した。
 そして「この行動は犯人の指示通りの行動だった」と推理した。

【XY&Z】

 剣持警部は「山南のスマホにはそんなメッセージはなかった」と反論したが、
はじめは「それはそのスマホが本当は山南がずっと持ち歩いていたものじゃなかったから」と答えた。

 「自分たちは6人の隊士たちが持っていたのは
沖田総司がロッカーに残した「6つの連絡用携帯」だけだと思っていたが
実はこの犯行には手品のタネのようにいくつもの『隠し携帯』が存在していた。」
はじめは推理したのだ。

 はじめが言うに隠し携帯については…

 (携帯X)
 山南を操るためのメッセージを届けるために犯人が持たせた。

 (携帯Y)
 警察に回収されることを見越して用意した山南の偽連絡用
 これは犯人にとって都合の良いメッセージだけが記録されている。

 (携帯Z)
 はじめに尾行がバレていることを伝えた。
 死体となった山南から警察が回収し、そのメールの送信記録で山南共犯者説の根拠となった。


 ・・・そして永倉に対し、

 「犯人はこの3つの隠し携帯と井の頭線渋谷駅の特殊性そして計画通り降り出した雨を利用し
綱渡りのような芸当を演じて山南を誘拐犯の片割れという汚名を着せた上殺害した」

と言った…

 
 ―― 永倉は金持ちなのだろうか…?
フミを監禁していた豪勢なアジトといい、
たくさんのケータイ(おそらくいわゆるトバシ携帯)といい
たくさんのバッグといい…

 本当に一人でやったとは思えないなあ。 ――

 動機は永倉の(あるいは彼の親族)の会社が山南につぶされたことなのだろうか…?

 それに、永倉の犯行の裏には高遠遙一みたいな協力者がいて
復讐の舞台を用意してくれたのか、ということも気になるなあ。

 …さて次号は『金田一少年の事件簿R』はお休み
その次の週刊少年マガジン第44号(11話)ではトリックに使ったレインコートや
永倉を観念させる火事の件が登場すると思われるが、
 今回の事件は永倉単独犯にしてはかなり金をかけているのが自分にとっては妙に引っかかるなあ。

 …それにしても携帯XY&Z用意して
山南を「逝くZ!」とばかりに殺るとは…( ゚д゚)
…ポケモンかな? ←違う

 永倉が用意した携帯は、3つより多いかも…( ゚д゚)
 
<ソース>
週刊少年マガジン 2017年第42号
『金田一少年の事件簿R・金田一二三誘拐殺人事件』
講談社 (第十話)p437~p456

 現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』
金田一一のいとこ・金田一二三『沖田総司』を名乗る者に誘拐されるという
金田一二三誘拐殺人事件』が展開されている。
 だが、殺されたのはフミではなく身代金の運び屋を沖田総司の指示によりやらされていた山南敬助
…といっても、高幡不動の高幡不動駅の新撰組まつりの子供コスプレ隊と同時開催された同姓同名コンテストに参加していた人物。
 ちなみに山南の他に身代金の運び屋をしていたのは
近藤勇土方歳三永倉新八新見錦斎藤一

 …そして肝心の誘拐されたフミは、何と無事だった。
 このことからはじめフミの誘拐事件がカモフラージュだったことを突き止め、
くだんの身代金の運び屋をしていた5人の中に誘拐犯『沖田総司』がいると考えた。

 
 ちなみに前回第8話はじめは剣持警部と七瀬美雪と明智警視と一緒に焼き芋を食べていた時
焼き芋を包んでいた新聞記事の「ある記事」を偶然見て確信した。

 それは焼き芋を食べた日の前日に世田谷区で起きたタンクローリー爆発事故と思われる。

 このことは直近の第9話ではじめは明智警視にこう話していた。

 「犯人にとって想定外のことが一つだけ起きたんだよ。
 実はそれも「ヤツ」が犯人だということを示す状況証拠になった。」


 【沖田総司はどうやってメッセージを送っていたか?】

 「フミを誘拐した『沖田総司』は
隊士たち皆と一緒に行動しながらどこかで見張っていたかのようにメールを打っていた…
 でもそんなに打ってたらさすがに怪しまれる」

 剣持警部がこんなふうに話していたのを聞いてはじめ

 「でも自分にもメールが届いたのをチェックするふりをして
 そのタイミングで送ることもできるし…」

と言った。

 それを聞いた明智警視

 「タイマーによる自動送信という方法もありますよ」

 「どこかアジトのような場所に隠したパソコンに
 あらかじめ設定した時間通りにメールを送信させることは技術的には簡単。
 身元の分からない携帯などを使いインターネットに接続して送れば
 送信場所を探知することも実質上不可能に近い。

と言った。

 また沖田総司が電車を利用した理由について明智警視は、

 「都内の電車の発着時刻はかなり正確で
時刻表通りに送信時間を設定しておけば
まるで見張っているかのようなタイミングでメールが届く
 タイミング良く届くメールがあたかも見張りがいるように錯覚させ
金を運ぶ隊士たちや尾行の警察官たちの行動を制限させた。
 妙なことをすれば人質の命が危ないと思わせることに成功した。
 実に完璧なトリックだ…」

と言った。

 ・・・けれどもはじめは先に述べたように
『ひとつだけの想定外のことがあった』から
「完璧なトリックとばかりは言えない」と考えた。

 そして沖田総司のアリバイを崩すため
殺された山南敬助が最後に降りた京王井の頭線渋谷駅を再検証することにした。


 【酔っぱらいのオッサンの忘れ物。】

 渋谷駅にやって来たはじめと美雪井の頭線渋谷駅の構内図を見ていた。
 「渋谷は狭いところにいろんな路線があちこち乗り入れているのですごく複雑な構造になってる」美雪は言っていた。

 ・・・まずは、16時47分着の渋谷駅着の吉祥寺寄りの車両を確認。
 事件当時山南敬助が降り、永倉新八がそのまま各停の電車に残った
 特にはじめに山南は沖田総司からのメールを見せて渋谷駅西口に降りていった。
 はじめはメールの内容から、6分間永倉が乗っている各停の電車が折り返して吉祥寺に向かう列車が発車する16時53分まで動けなかった。
 その6分をはじめは「すげー長く感じた『6分』だったよ」と振り返っていた。

 ・・・次にはじめは隣のホームに到着していた17時ちょうど発の急行吉祥寺行きに乗り込もうとしたときに西口の出口を見つけ、
降りてみるとそこは降車専用階段山南が身代金三千万を隠したコインロッカーがあった
 このときはじめは
 「なるほど…そういうことか…!」と何かに気づいた。

  そしてはじめは急行に乗り、永福町駅で降りて向かい側ホームの各駅停車吉祥寺行きに乗り換えた。

 …この列車に乗る時、雨が本降りになった。
 けれども美雪がはじめの分のレインコートも持ってきていた。
 レインコートを電車内で着たはじめはこう思った。

 「変じゃないか?」

 けれども美雪は、

 「雨降りの予報はみんな知ってるからコート着てる人もいるし変じゃないとは思うよ」と言った。


 ・・・残る謎はあと一つ。
 携帯の謎。

 警察がいくら調べてもそこに矛盾は見つからなかった。
 犯人はわかっていたはずだ。
 警察は必ず携帯の履歴を調べる。
 そして全員の行動をつぶさに追跡する。
 矛盾が見つからなかったのは
 犯人がそれを承知でむしろ逆に利用しようと考えたからに違いないんだ。
 一体どうやって…

 こう考えていたはじめは、酔っぱらいのおっさんが
久我山駅の所で( ゚д゚)ハッ!と目を覚まして電車を降りたのを見た。

 このおっさんは棚の上に忘れ物をしていてこれを見ていた若いカップルがこう話していた。

 女性「ねーねー、あれ忘れ物じゃない?  
 男性「ほんとだ!さっきの酒くせーおっさんの!」
 女性「どーするぅ~~~っ?」
 男性「ほっとけよ!あんなキタナイ荷物。誰も手を出しゃしねーよ。

 この会話を聞いたはじめはこう言った。

 「そっか…そういうことか?
 ようやくわかったぜ美雪、このトリックの全貌が!
 謎はすべて解けた。」


 【謎解きはフミと一緒に】

 関係者たちを井の頭線渋谷駅に集めたはじめ。
 剣持警部明智警視も現れ、フミも立ち合うことになった。

 美雪はフミに

 「はじめちゃん謎を解くことについてはすごくしっかりしてるから安心して聞いてね!」
と言ったけれども、そんなのはわかっていた。
 
 「あいついつもはバカばっかやってるノーテンキなやつだけど
 いざとなったときの頭の回転の良さと閃きは凄まじいもん。
 それはいとこのあたしがよく知ってるって。」

 ―― 美雪「(・8・)<フミチャン…」←違う ――

 誘拐犯・沖田総司は、
近藤勇・土方歳三・永倉新八・新見錦・斎藤一のうちの誰か。
 5人は謎解きには私服姿で現れていた
 ちなみに土方と新見は仕事をしていて、斉藤は大学生だった。

 身代金の運び屋をしていた5人は山南が身代金を独り占めしようとして殺されたのではなかったとはじめに聞かされて驚いていた。

 そしてはじめは言った。
 
 「そもそも今回の事件は身代金目当ての誘拐事件ではなく、
山南敬助に強い憎しみを抱いたある人物が身代金狙いの誘拐を隠れ蓑に綿密に計画した山南敬助殺害計画だった。
 フミはその「隠れ蓑」にたまたま選ばれたにすぎなかった
 フミを誘拐し身代金を6人の一見無関係な人間に運ばせる中で
 最初からターゲットだった山南に誘拐犯の罪まで着せて殺害した真犯人…『沖田総司』はこの中にいる!


 ―― 『おっさんの忘れ物』…
 山南殺しについては
永福町から吉祥寺駅に向かう各停に乗る時に
はじめが見つけた汚らしい『時刻表』
…もしかすると、これに相当するのかも…? ――

 今回のはじめの再検証から、
はじめが考える沖田総司の正体は永倉新八なんだろうなあ…。
 
 永倉は実は16時53分発の各停には乗っておらず、
それが発車する前にレインコートを着て他の客に紛れて降りちゃったのでは…?
 そして山南を追って殺害、何らかの方法で各停に戻ったのでは…?

 永倉のアリバイの確保は汚らしい時刻表の影にありそうだなあ。
 つまりそこに携帯を忍ばせておけば後で警察が調べても
 「永倉は『ずっとたらたら終点の吉祥寺まで乗ってました』」
…ってことになり、アリバイが確保できたのかな?

 けれども
「(17時2分頃に起きた)タンクローリー爆発事故による火事を電車の車内から見た」
という証言の矛盾からアリバイが崩れるのでは…。
 はじめは次回以降、もう一度火事について永倉に聞きそうだなあ。

 …それにしても雨はトリック実行において想定外ではなかったんだなあ。
 そして次回以降、『沖田総司』が山南敬助を殺すに至った動機は何かが気になるなあ。

 <ソース>
週刊少年マガジン 2017年第41号
『金田一少年の事件簿R・金田一二三誘拐殺人事件』
講談社 (第九話)p443~p462

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