現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』は
『タワマンマダム殺人事件』が展開されている。
『タワマンマダム殺人事件』が展開されている。
主人公・金田一一が青年時代に活躍した『金田一少年の事件簿』を通して初のケースとなる3人以上の複数犯で、しかも倒叙ミステリー…最初から犯人がわかっているというパターン。
この事件は、はじめが隣人・森下桃香のケータリングの手伝いを頼まれて高級タワーマンションにやってきて、そこにはじめの同僚の葉山まりんが合流したが、パーティー主催者の「ヒナさん」こと美咲雛が、同じ高級タワーマンションマンションに住む姉小路牧子(マキさん)・九条美音子(ネコさん)・園森紗英(さーちゃん)のアラフォーマダムトリオに監禁された上、飛び降り自殺と見せかけて殺された…という事件に巻き込まれた。
ちなみにはじめは、この事件で不動高校のミステリー研究部の先輩だった今は刑事の真壁誠と再会した。
特にはじめはこの事件について、ヒナさんの遺体に落ちていたハイヒールからマダムトリオが犯人だと最初からにらんでいた…。
【ネコさんの動機】
前回第9話でくだんのマダムトリオはヒナさん殺しの犯人であることを認めた。
そして第10話ではパーティールームに戻り3人それぞれがヒナさんを殺すに至った動機を語った。
3人の共通点は、ヒナさんに酷い目に遭わされてヒナさんを心底憎んでいたことだった。
・・・まずネコさんの動機。
ヒナさんはたくさんの男と付き合っていて、特にネコさんの夫は身の丈を超えてヒナさんに貢ぎまくり、20年ローンでやっと手に入れたタワマンまで抵当に入れてしまったという。
ネコさんは借金取り立ての電話から浮気について夫を問いただしたところ、ウソかホントかわからないがヒナさんが投資で空けた穴を補填していたという。
「もう少し持ちこたえれば必ず取り返してその金を返せる」という戯言を信じて。
借金の証拠も残っていなかったので、マンションを手放すことになり一家離散状態になっていたという。
死にたい気持ちでさーちゃんとマキさんに相談していた。
この相談から「マダムトリオは共通してヒナさんに酷い目に遭わされ憎んでいた」ということに気がついたという。
【さーちゃんの動機】
クラミジアという性病に感染し卵管閉塞を起こし不妊になっていたが、その感染源がヒナさんであることを知ったから。
その事に気づいたのは、結婚の時に夫と性感染症の検査をして二人とも陰性だったが、ある夜夫のスマホを見ると「ヒナ」という人物と浮気していたようで、「ヒナ」がクラミジアに感染していたことに気がついたから。
さーちゃんはヒナさんとこれまで通り"お友達"として何事もなくいつも通りのお付き合いをしていたが、頭の中では何度も何度も雛さんを殺していたという。
また、タワマンでの生活を守るためにすべての不都合にフタをしてやり過ごし心はいつもガサガサで虚しさでいっぱいだったが、そんな人生に光を当ててくれたのは、ヨガインストラクターの竹腰悠也先生だったという。
けれどもタワマンの隣の展望台でヒナさんと竹腰先生が浮気していたのを見てしまった時…つまりヒナさんが竹腰先生に手を出していたのを見てしまった時、3人に本気の殺意が湧き上がったという。
はじめとまりんと桃香と真壁刑事が竹腰先生をチラッと見つめると、竹腰先生は「しおしお~」っとしおれてしまった…。
―― 竹腰先生…(´・ω・`)シオーン ――
―― 竹腰先生…(´・ω・`)シオーン ――
【マキさんの動機】
マキさんははじめに
「ヒナさん殺害計画をそそのかしたのは自分である、主犯は自分である」と明かした。
マキさんの動機は、一人息子・翔を不登校にしヒキコモリにしたヒナさんに対する復讐だった。
ちなみにヒナさんの息子は惣。
マキさんとヒナさんには同い年の息子がいて名門小学校を受験したが補欠合格だった。
二人で残念会を開いた時に、ヒナさんが酔っていたマキさんに代わって「営業電話」に出た。
その後、ヒナさんの息子が補欠合格した。
けれどもタワマンでの事件から半年前、翔の不登校に相談に乗ってもらうため区の教育相談機関の講演会にマキさんが行った時、ヒナさんがマキさんを騙って翔が別の学校に行くために補欠合格後の進学を辞退したことにしていたことを知ってしまった。
つまり残念会の「営業電話」は惣を合格させて翔が合格を辞退するためのものだったのだ…。
マキさんは引きこもっている息子を見るたびこう考えるという。
「あの時あたしがあんな女と飲んだくれてなくて、ちゃんと学校からの電話を取れてたら…少なくともあの子はあんなひどいイジメに遭うこともなく名門の中学生として毎日フツーに学校に行けてたはず…あのときあたしがもっとしっかりしていたらあの子はこんなことには…!!」
・・・「言葉がないっす…!」
はじめがこう言うとマキさんは
「とにかく主犯は私よ!!それを忘れないで!」
と言ったが、さーちゃんとネコさんは
「ダメだよ!そんなの!みんなでやったことじゃない!!」とマキさんに寄り添い泣いていた。
真壁刑事は、「もう手錠はいりませんな」と言っていた…
【お 前 が 言 う な】
事件があったタワマンを後にするはじめたち。
はじめはこう言っていた。
「タワマンか…
憧れのお城みたいに見えるけど、やっぱ人間が抱えてるものは…そー変わるもんじゃないんだな…」
「砂の城ですね…」と竹腰先生が続けて言ったが、まりんに
「それ…あなたが言わないでくれる?」と突っ込まれてしまい
「すいません…すいません…」とまたしおしおと縮こまるのだった…。
―― 竹腰先生…(´;ω;`)ブワッ ――
一方、はじめと真壁刑事は、署で事情聴取を終えた後で赤提灯で飲むことにした。
また真壁刑事は七瀬美雪とのその後を聞いていたが、
「いや…その話はやめましょうよ!ね!」とはじめは言っていた…。
―― タワマンマダムたちは自棄を起こすのではないかと思ったが、
今回は大人しくヒナさん殺しの動機を語っていたなあ。
もし自棄を起こすとしたら、高遠が手下を使って介入していた場合だったかな。 ――
今回は『金田一少年の事件簿』シリーズ初の複数犯で真相当てクイズがあっても良かったかなと思ったけれども、
犯人当てクイズは次の事件『京都美人華道家殺人事件』に持ち越しか…。
今回の事件は、ヨガとネコさんの柔軟性が重要で、柔軟な思考が大事だったか。
柔軟だけに…。
…さて、次の事件でははじめは誰と再会するのだろうか。
自分の予想ではフリーライターのいつき陽介か『金田一少年の殺人』に登場した都築瑞穂かな。
【ソース】
イブニング 2019.02.12 NO.04
『金田一37歳の事件簿』
タワマンマダム殺人事件
File25 タワマンの闇
講談社 (P253~P277)