現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』『函館異人館ホテル新たなる殺人』が展開中。
 この事件は20年前に金田一一が解決した『異人館ホテル殺人事件』の舞台となった異人館ホテルで
 舞台『箱館ウォーズ』の出演者・赤座光輝綾野木ルカが舞台イベント本番中に水島颯太が撃ったモデルガン……ではなく、すり替えられた拳銃で射殺された事件。

 この事件では当の水島颯太第5話ラストで後ろから今回の事件の犯人「碧血鬼」に気絶させられ、
直近の第6話で自殺に見せかけて殺された
のだった…。


 【アリバイ表を作ってみた!】
 
 「参ったな~
会社は後始末してから帰って来いって言ってるし、あの幸村って刑事には勢いでタンカ切っちゃったし、
どうすりゃいいんだ?金田一はじめ37歳…!」

 夜遅くにはじめがホテルのベットに寝転んでいると、部下の葉山まりんが部屋にやって来た。
はじめはまりんが寝ようとしている格好でしかも上司である自分のところに訪ねてきたので
「常識ってものがないの?君!」と慌てていた。
 けれどもまりんは
 「そんなことより事件のことですよ!事件!!」
 はじめは、
 「(ゴカイを呼びそうなマネばかりしてこの子は~!!)」
と思っていた。

 まりんは自慢げに「実はあたし"アリバイ表"を作ってみたんですよ!!」と言っていた。

 まりんは被害者の赤座光輝と綾野木ルカの二人を除いた関係者8名のアリバイ表を作っていたのだ。

 アリバイ表によると8名のアリバイは次の通り。

 
 <五代玄一郎(ゲンちゃん)>(デスペラードメンバー)
 ゲネプロの後、すぐイベント前半に参加。
 その後の行動ははっきりしないのでアリバイなし。

 <中神聖也>(元スカイウォーカーメンバー)
 ゲネプロ後、いつき陽介のインタビューを受け、衣装をつけたままイベント後半に参加。
 その後すぐ控室でメイクし直しスタンバイ。
 このことからまりんは「道具置き場に行って銃をすり替えるチャンスはなかった」と考えていた。

 <岡倉純(オカジュン)>(元スカイウォーカーメンバー)
 ゲネプロの後すぐ打ち合わせのため外出していたのでアリバイあり。 

 <壇はるみ>(岡倉純のマネージャー)
 岡倉純と一緒に行動していたのでアリバイあり。

 <刈谷ユダ>
 イベント前半に出てその後アリバイなし。

 <海枝博貴>(演出兼監督)
 イベントに出てなかったので全くアリバイなし。

 <最上翔太>
 イベント前半のちょっとしか出てなくてアリバイなし。

 <水島颯太>
 自分で銃をすり替えることができるのでアリバイなし。

 このことからまりん

 「アリバイが完全なのは中神さん・オカジュンさん・壇さんの3人だけ
 他の5人はみんな銃をすり替えることが可能なんですよ!!」
 
 と考えた。

 そして
 「主任!この段階だと容疑者はこの5人でキマリなんですか?」と言った。

 これに対してはじめは

 「まぁそういうことになるかなぁ…
 なんのトリックもないとしたらね

 と言っていた。

 ちなみに
 「トリックってやっぱりそうなんですか!?やっぱり!?」と興奮したまりんを落ち着かせようとした時、
まりんの谷間がはじめの目に入ってしまった…( ゚д゚)


 ―― 中神・岡倉・壇のうちの誰かが犯人だな(※確信)
アリバイトリックのカギは、綾野木が本当に水島が撃った銃で殺されたのかどうか、かな。 ――



 【いつきの調査】
 
 いつき陽介が、はじめとまりんがいる部屋に入ってきた。
 はじめは、いつきに元デスペラードメンバーのリュウ・小野寺について調べてもらっていたのだ。
 いつきは、サツ回りの社会部の記者に無理を言って聞き出していた。

 いつきが言うには、

 「小野寺アイドルというより音楽家になりたいとか言って1年前人気のデスペラードを辞めた。
 だが、音楽家の仕事がまるでだめで一時は相当食い詰めていた
 ここのところ、「ちょっと羽振りがよくなってきた」という話があり、
 何か"収入源"を手に入れたんじゃないか、と言われていた」
(※仕事以外で収入があった可能性が高い)

 このことからまりん
 「それ、動機になにか関係ありますね!きっと!」と言った。
 「カネの動くところに犯罪あり」だから。

 それを受けていつき

 「誰かを脅迫してカネをせびってた可能性だってある。
 もしそうなら犯人はその脅迫されてた人物かもしれん!」


と言っていた。

 はじめ
 「その小野寺殺しの犯人は拳銃をすり替えて
 赤座や綾野木を殺した犯人と同一人物なんですかね
…」

 いつき
 「ま、幸村はきっとそう思ってるだろうな。
 なにせ小野寺殺しを追ってここに来たらまた二つも死体が転がり出たんだ。」

 まりん
 「そうなるとがぜん怪しくなるのが水島颯太ですね!
 だって殺された二人はずっと同じグループだったんでしょ?
 残る一人綾野木ルカ水島颯太の元カノだし!」

 はじめは、まりんが言うまでその有名な芸能ゴシップを知らなかった。

 いつきは
 「そう言われてるけど、本当に彼女だったのかはわからんよ
 ただ何らかの関係があったのは確かだろう。火のないところに煙は立たんからね。」
と言ったが、はじめは
 「でもピストルをすり替えて舞台の上でド派手に撃ち殺したりするかなぁ。
トップクラスのアイドル俳優なのにたとえ事故だとしてもそんなことしたらイメージダウンは免れないよ。

と言った。

 「だよな…!
 まして彼は岡倉の次世代のスターって言われてるからね!」

 いつきがこう返した時、はじめは思った。

 「まだなんかある気がする…
 俺たちの知らない"何か"が…!」


 【はじめが控室で見たもの】
 
 突然、佐木竜二が「先輩いますか!?」と何度もドアをノックしていた。
 開けると、「大変なんです!すぐ来て下さい!」と慌てた様子
壇マネージャーが言うには

 「そちらの帝国映像の佐木さんから水島と五代のインタビューを申し込まれたのですが水島が捕まらなくて…

 五代が言うには

 「俺からも電話とか駆けたんだけど全然出ないし、部屋のベル鳴らしても出てこないんです。」

さらに壇マネージャーは自分のスマホに水島からのメールが来たことをはじめに伝えた。

 そのメールには…

 「あのまま舞台が続けば着るはずだった最後の衣装を纏いこの惨劇の幕を自ら下ろすことにしました」

とあった。
 壇マネージャーの発言を受けて、
五代は「俺達のところにもだ!」、
中神は「これ見て慌てて来たんだよ」と言っていた。

 …幸村真之助警視がマスターキーを借りてやって来た。
これで水島の部屋の鍵を開けたが誰もいなかった。

 刈谷
 「まてよ…?"衣装"を纏うって…
 刑事さん、各自の衣装は"控室"に置いてあるはずだからデスペラードの"控室"にいるんじゃ

と言ったので、幸村警視らは控室に向かった。
 
 …控室にも水島の姿はなかった

 幸村警視は水島が着替えた跡を見つけた。
そして壇マネージャーなくなっている衣装について尋ねた。

 「そういえばあの服が…」と壇マネージャーは返した。

  一方はじめは、
 使ってないカップとコーヒーポットを見つけ、ポットの中のコーヒーもそのままになっているのを見つけた


 …「役者が衣装をつけたら立つ場所は一つだ!」

 という幸村警視の一声で、舞台に向かったはじめたちだった…。


 【遺体発見】

 舞台は真っ暗で何も見えなかったが、海枝監督に照明をつけてもらった。

 そして浮かび上がった光景は、
 左手首を刃物で切られた状態でワイヤーで天井に吊るされた水島の遺体だった…。
 幸村警視は手首からの大量出血を見つけた。

 はじめ水島の遺体を見て、
 
 「(自殺…?
 いや…違う!
 これは…殺人だ!)」


と思った…。


 ――岡倉と壇マネージャーが偽のアポイントに巻き込まれたとき壇マネージャーがテレビ局に電話をし、 水島の偽の遺書のときも壇マネージャーがそれを伝えていたなあ。 ――

 今回の事件は幸村警視と壇マネージャーの、なくなった衣装についての何気ない会話のやり取りのシーンがカギになるかな。
 特に水島は、控室にあったと思われる果物ナイフで手首をザックリやられたように見えるなあ。

 今後のストーリーで、例えば控室近くの部屋でどうしても果物ナイフを使わなければならなくなるシーンが出てきて、誰かが果物ナイフを取りに行くがそこでもし控室とは別の部屋に取りに行ったならばその人が真犯人『碧血鬼』の可能性が一気に高くなるかな。

 …その人こそ「水島の手首を切る凶器として控室の果物ナイフを使い、それは警察に回収されたのでそこにはないことを知っている人物」といえるだろうし…。

 それにしてもはじめ達の知らない"何か"とは何だろうか…?


 【ソース】
 イブニング 2019.12.10 NO.24
 『金田一37歳の事件簿』
 『函館異人館ホテル新たなる殺人』

 File45 碧血鬼、みたび
 講談社 (P179~P200))