前回金田一少年の事件簿R(リターンズ)! \デン/

 金田一一七瀬美雪が剣持警部が出場する磯釣り大会「セイレーンフィッシングマスターズ」の決勝大会に一緒に参加することになったが、
その宿泊先の聖恋島で影尾風彦・潮小次郎・寒野美火が殺される事件に巻き込まれた。
 はじめは3人を殺した真犯人・セイレーンをゴマスリ製薬営業の伊豆丸険と見抜いた。
 決め手は、伊豆丸が潮殺しの後で遺体が発見された時潜水道具のメガネの痕が顔に残っていたのをTVカメラマンの海星終吾に撮られていたことだった。

 そして最近の『聖恋島殺人事件』第14話の内容は、はじめ影尾殺しのトリックを解き明かし伊豆丸が寒野殺しの時に寒野を騙って関係者たちに渡した手紙(※実際はバイトを雇って書かせたもの)にのこした決定的な証拠を指摘する、という内容だった。

 【伊豆丸のミス ― 手紙】

 伊豆丸便箋を入れた彼自身を含め合わせて11通の封筒を関係者たちに配っていたが、
指紋について重大なミスを犯してしまっていた。
 それは、伊豆丸宛ての封筒に指紋は残していたが便箋に指紋を一切残していなかったことだった。
 それははじめが剣持警部に封筒と便箋の指紋を調べてもらった結果だった。

 便箋の指紋を残していないことからわかるのは「封筒は開封したが中身は見ていなかった」
 けれどもなぜか伊豆丸は手紙の指示通り集合時間ぴったりに現れた
 そこからわかるのは
 「伊豆丸は手紙の指示の内容を封筒の中を見るまでもなく知っていた…
つまり皆を集めた張本人」

 これをはじめに指摘された伊豆丸は観念した


 【カップ&ボールと影尾殺しのトリック】

 はじめは伊豆丸を観念させる前に、影尾殺しのトリックについて
「古代エジプトからあるといわれている有名なマジック『カップ&ボール』の原理だ」
と関係者たちに説明した。

 ちなみに『カップ&ボール』は3つのカップと2つのカップを客に見せ、次のように動かすマジック。
 
 1.真ん中の空のカップを伏せる
 2.その上にボールを1個乗せる
 3.隣のカップを上にかぶせる
 4.カップの底を叩く
 5.するとカップの間に入っていた1個のボールがすり抜けて下に現れる。
 6.さらにまたカップを伏せもう一つのボールを乗せてまたカップをかぶせ底を叩く。
 7.するとボールがすり抜けて下に2個出てくる。

 このマジックのタネボールは3つあったこと。
空のカップを伏せる時に、手に隠し持っていた3つ目のボールを素早くカップに入れていた。
 そしてカップとカップの間のボールが見えないようオープンするとボールはすり抜けたかのように見える。
 2つのカップに挟まれたボールは素早く回収し、手に隠し持たれたボールは再びカップに…ということ。

 なお、影尾殺しの時は桟橋小屋、センターコテージ、レストハウスをカップに見立て、用意するボールは4つ。

 黒いボール(伊豆丸)
 青いボール(影尾)
 赤いボール(重要アイテム「X」)
 白いボール(観客(はじめたち))

 はじめはこれを使って説明していた。

 
 …センターコテージに集合する時間、午前4時。
 影尾は実はまだここに来ていなかった。
 しかも、鬼島高彦は「あの人」(おそらく影尾だろう)が失格になると
他のメンバーが抗議してスケジュールがメチャクチャになりそうだったので
つい影尾が来ていないことを黙ってしまったのだ。

 実はこれも伊豆丸が仕組んだもので、はじめは
「前の晩、影尾に『集合が10分遅れになった』とでも言ったのだろう」と考えていた。

 はじめたちがセンターコテージから右回りに桟橋小屋に向かったがドアの部屋に鍵がかかって入れなかったので
一旦センターコテージに戻り反対側の入口を目指した。
 そのとき伊豆丸は最後尾にいてトリックを仕込むタイミングを慎重に伺っていた

 ここでセンターコテージを通過することは、コテージに何もないことを確認することと同じ
 くだんのカップ&ボールでいえば、カップが空なのを見せられるのと同じだった。

 全員がセンターコテージを通り過ぎたのを見計らい、伊豆丸は行動を起こした。
 センターコテージにやってきた影尾に「10分遅れは勘違いだった」ということを伝え
影尾がセンターコテージに向かおうと後ろを向いた時に、影尾を銛で突き殺したのだ。

 ―― 影尾の死体を運ぶ必要はなかったのか… ――

 影尾を殺した伊豆丸は桟橋小屋に直行し、ライフジャケットの背中に板を仕込んでニセの銛を刺して影尾の死体を演じた。
 釣りウェアーは全員よく似ていたからフードをかぶった後ろ姿じゃパッと見区別つかず、
その上背中に刺さった銛が強烈なインパクトを与えていたので
最初に見た死体が伊豆丸が演じたものだとはじめたちはわからなかった。

 ちなみに桟橋小屋の明かりは伊豆丸が隠し持っていたリモコンで消していた。
そして重要アイテム「X」を海に投げ入れた。
 それはサイリウムだった。
 もっと言うと、風船に糸でサイリウムと浮きになるペットボトルか何かがついていたもの。
 ここでも伊豆丸はセイレーン(岸に向かっていく潮の流れ)を利用していた。
 
 …サイリウムの光が渡り廊下沿いにゆっくりと向かっていくのを見せつけていたのだ。

 ―― 思えば第3話では『変な光』が見えた時一人遅れていた人がいたが、
それは『変な光』のトリックを仕込んだ伊豆丸だったか… ――

 小道具を海に捨てた伊豆丸は、はじめたちと同じ方向に進んで合流し、
あとは皆と一緒に影尾の死体を見つけたふりをすることで
あたかも「ずっと一緒にいたか」のように見せていた。

 ・・・こうすることであたかも影尾の死体が犯人により
桟橋小屋からセンターコテージまで運ばれたかのように思わせていたのだ。

 そしてこの時カメラの照明がなくなっていたのは伊豆丸によってで、
理由は現場の状況を撮影され彼が途中でいなくなっていたことに気づかれないためだった。


 …「いや~ まいったなあ~!
君頭いいねえ~! 素人探偵くん
完敗だよ~!」

 犯行を認めた伊豆丸
「医者の風上にもおけないあのクズ共をこの手で殺したんだ…!」
動機を話し始めるのだった…

 
 ―― 伊豆丸はライフジャケットのフードを使っていた形跡が点呼を取った時にあったけど、
残念ながらそこは撮影されていなかったか…
 よって今回の事件は海星が撮影していた映像、
あるいは寒野の手紙の指紋が伊豆丸が犯人と確定するための入り口だったか…
 …「水中銃」発言も入り口っぽかったけど。 ――

 自分は今回の事件は伊豆丸以外にも犯人がいると思っていたけど、
 まさか影尾が最初はセンターコテージに来ていなかったとは…( ゚д゚)
 死体は運ばれていたと思わせるのも罠だったのか…( ゚д゚)
 これなら犯人は一人で十分だなあ…。

 それにしても伊豆丸の動機は医療事故ではなく、釣り中の事故っぽいなあ。

 前回第13話鬼島

 「前にも引きの強い魚に引き込まれて海に落ちて
ライジャケを着ていたのにそのまま溺れ死んだ人がいたんですよ。
 だから今回もああ…また事故だってすぐ思っちまったんだが」

 第9話の海星の映像の中で
 「これで三人目だ…」
 と言っていたことから伊豆丸の妻だけではなく伊豆丸の子供(大人の可能性もある)が
釣り大会の事故で亡くなってしまい、後で調べてみると影尾・潮・寒野による殺人だったと思ったからかな…?

 …次回最終話が気になるところだ。

【追記】
 今回のトリックにサイリウムとは…(・8・)
 
 アイドルといえばホノカチャン…もといレイカチャン。
 …速水玲香の再登場に期待だなあ。

(※ソース
週刊少年マガジン 2017年第1号~第18号
『金田一少年の事件簿 聖恋島殺人事件』

CASEFILE of Kindaichi Hajime: 聖恋島殺人事件 #14
講談社(2017)(第14話)p391~p410)