最近放送・配信されたアニメ『SHIROBAKO』第12話は、
制作進行の宮森あおいが『えくそだすっ!』最終話の原画マン探しに追われるエピソードの続き。
前回の最後のところであおいは、「ナベP」こと渡辺隼の麻雀仲間の尾ノ上将人が菅野光明という『新世代アバンギャルド』(※略称:『アバ』)のアニメーターを務めたことがある人物を紹介してくれたので早速向かっていた。
菅野は『アバ』の演出を木下誠一監督にやってもらったことがあるというのを明かし、
木下監督について「相変わらず無茶しているなあ」と言っていた。
…さて、本題の馬のシーンについて菅野は
「馬のシーンは馬ではなく戦闘機で全てなぎ払うようにして」
そして
「宮森さん、これをわしが描く意味は何だろう?」
「どうして私に頼んで来たの?誰でもよかった?」
とあおいに質問していた。
あおいは
「考えたら…いや、考えたらすごく失礼なお願いをしていた」と菅野に謝った。
菅野は
「切羽詰まっているのは分かった。
けどアニメーターも人間だから『この仕事はお前にしかできない』って言われたいんだよね…。
馬の大群に紛れて大脱走は無茶すぎて笑ったけど、今は馬を描いたことがあるアニメーターはそうそういないだろう。
アニメーターは派手なアクションより、動きの基本を学ばにゃいかんと思う。」
「馬は社内では引き受ける人はいない」と言ったあおい。
それに対し菅野は、
「ムサニ(武蔵野アニメーション)だよね?」とあおいに聞き、
「ムサニに描ける人がいる」と言っていた。
・・・馬を描けるムサニの人。
それは杉江茂だった。
杉江は他社の仕事をしているが、
「杉江さんは基本があるから描ける」と菅野は言った。
さらに杉江について菅野は
「杉江さんは『山はりねずみアンデスチャッキー』のオープニングを一人ですべて描き、
「チャッキーが山道を駆け下りて転んでまた走りだすのを俯瞰で回りこみでワンカット、
最後に森じゅうの動物が山を駆け下り草原を埋め尽くして走る…」
…この一連のシーンを3日で描き、それは『杉江三日伝説』と呼ばれている…」
と言っていた。
このことから菅野は
「なぜ杉江さんに頼まないか不思議だ」とあおいに言っていた。
・・・菅野の話から、あおいは
「原画マンは杉江さんにお願いしたらどうか」と木下監督やナベPに言っていた。
そして、あおい自身も杉江に頼むことに。
・・・あおいが杉江の家を訪れたところ杉江の奥さんがいて、奥さんも『アンデスチャッキー』の動画を描いていたことを明かした。
そして杉江は、原画マンを引き受けることにした。
…杉江はそれぞれのカットについてどれくらい時間がかかるかを説明した。
また、「ラフ原画でよければ時間が短縮できる」ということを明かすと、小笠原綸子や井口祐未が第二原画を買って出ていた。
安原絵麻もそれにたずさわることに。
…杉江が『えくそだすっ!』最終話の原画マンとなってから、絵麻はこう言っていた。
「杉江さん、『楽しい』って言ってた。
『自分にもまだやれることがあるんだ』って。」
「自分もあんなふうに描けたらいいな。」
ちなみに杉江は会議室を借り、週1回作画のワークショップを開くようになったという。
みんなに言われたからだという。
…また、杉江があおいと話をした時には、杉江はこう言っていた。
「ありがとう、宮森さん。
宮森さんが仕事を振ってくれなければぼくはムサニのお荷物で終わるところだった。
いまどきの絵が描けないと言って孤高の職人を気取ってたんだねえ。
自分にもまだやれることがあるんだとわかって、とても嬉しいんだよ。」
あおいは『チャッキー』のことが小さい頃から好きで、幼稚園の頃山はりねずみみたいにサボテンを食べてお腹を壊したことがあることや、実家に絵本を今でも持っていることを杉江に明かしていた。
杉江は
「宮森さんが『アンデスチャッキー』をみて笑顔になってくれるとは、こんなに嬉しいことはないよ」と言っていた。
…ちなみにその日の夜、あおいは『アンデスチャッキー』のオープニングを車の中で歌っていた。
・・・ついに『えくそだすっ!』最終話の納品当日。
最後の修正を終え、無事V編を終え、納品も終えることができた。
…打ち上げに向かうあおいたちムサニのスタッフたち。
けれども杉江は11時には布団に入る習慣ということで打ち上げには参加しなかった。
…後からやってきたナベPが、完成した『えくそだすっ!』最終話の「白箱」を持ってきた。
高梨太郎が店の人にデッキを貸してもらいみんなで見ることに。
そして、最終話開始のカウントダウンが始まった…。
―― 制作進行は自分の会社の人のことをよく知る必要があるのか… ――
今回あおいは馬を描けるスタッフが杉江だということを菅野に言われるまで気が付かなかったが
杉江はあおいが子供の頃から好きだった『山はりねずみアンデスチャッキー』のオープニングを手がけ、
しかも伝説もあるという大物だったことは、あおいをさぞびっくりさせたのでは。
特に今回は、あおいが自分を使ってくれたことに杉江が感謝しているシーンは名シーンだったなあ。
…さて、物語はまだまだ続き、来年は新入社員も続々入ってくる模様。
そして上山高校アニメーション同好会だったあおいや絵麻たちがこれからどうなっていくかも気になるところだ…。
…それにしてもケーキ屋になった本田豊が観てみたいなあ…。
ただ、ケーキについても
「万策尽きたー!」とか言っていそう…。
(※参考
TVアニメ「SHIROBAKO」公式サイト
ストーリー
#12 えくそだす・クリスマス