にぎる。

『にぎる。』にようこそ! このブログは私が見たアニメやマンガの感想を自由気ままに書いています。

カテゴリ:金田一37歳の事件簿 > 金田一37歳の事件簿・騒霊館殺人事件

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』『騒霊館殺人事件』が完結しようとしている。
 この事件は金田一一が部下の葉山まりん、電報堂PR社の社員・白鳥麗桜黒原太とともに古くなった洋館を再利用した騒霊館のモニターイベントの手伝いをしたが、その最中にイベント参加者の唐崎星也久門朝香、そして庭本大河がポルターガイストの仕業に見せかけて殺される事件が起きたためそれらをはじめが解決する…というものだった。
 
 この事件の背景には「月森ちはや」という白鳥の妹の行方不明があり、ちはやはくだんの星也、九門、庭本、そして星也の妻・唐崎萌音によって殺されたことが明らかになった
 萌音が言うには
 「7年前の肝試しの時、ちはやを脅かしたら階段から落ち倒れ、まだ息があったので壁に塗り込めて殺した」
ということだったが…

 最新話によれば萌音の証言が真っ赤な嘘だったことが明らかになった……!


 【月森ちはや、白鳥麗桜に宿る…?】

 前回第12話のラストでは白鳥が刃物を振り上げて萌音に襲いかかりはじめが「だめだ!間に合わない!」と思った時白鳥が自分の腕を掴み…
というよりは白鳥が刃物を持つ手が勝手に動きを止めた
 さらに白鳥の声が変わり、こんな事を言った

 「……ダメだよ…お姉ちゃん……!
 お姉ちゃんがいなくなったあたしのことすごく心配してくれてずっと探し続けてくれたの知ってるよ?
 ここに来てやっとあたしを見つけてくれた時も…
 でも…これ以上はだめ…!!

 あたしの大好きなお姉ちゃんが…お姉ちゃんじゃなくなっちゃう!!」


 そして刃物を落としてガクンと白鳥は座り込んだ。

 そして
 「…ち……はや…?」とつぶやいた後、大号泣してしまった…。

 …この光景に皆黙り込み、白鳥が何を思って"自分を止めた"のか、はじめたちは白鳥の『一人芝居』をただ唖然として見るほかなかった。

 はじめ

 「『そんな』こともあるのかもしれない…!」

 と、まりんが白鳥の『一人芝居』について聞いた時言っていた…。

 その後、白鳥と萌音の証言通り、館の中から白骨化した女性遺体が発見された…。

  ―― (;8;)<チハヤチャン…

 『金田一少年の事件簿』だったら、謎解き中に骨が出てきそう(確信)
 『学園七不思議殺人事件』の青山ちひろの時みたいに… ――



 【白鳥の上司・栗原チャールズ達郎高遠遙一の手下説は…】

 後日、黒原は電報堂部長の栗原チャールズ達郎と一緒に今回の件について関係者たちに謝罪していた。
 また、はじめとまりんが事件解決に尽力したことを感謝していた。
 
 ちなみに、白鳥が言っていたように栗原はスコットランド人ハーフだった。
 この時まりん
 「本当にスコットランド人ハーフの上司がいたんですね!」と言っていた。


 ―― それにしても栗原チャールズ達郎は、今回の事件は、
地獄の傀儡師・高遠遙一とは無関係だったか…。
 あると思ったんだけどなぁ…(´・ω・`) ――

 

 ・・・この後ルポライターの佐熊洋平に誘われてはじめまりんは、ある居酒屋で飲むことにした。

 
 【萌音の背中の手形の真相】

 7年前から月森ちはや失踪事件を追いかけていた佐熊は、はじめに事件のその後を教えていた。

 萌音が罪を認め全面自供し、月森ちはやの本当の死因を明かしていた。

 月森は唐崎夫妻・九門・庭本の4人により
「肝試しの最中に脅かそうとしたら死んでしまった」ということを隠蔽するために壁に塗り込められた…
のではなく、
 違法○ラッグを色々持ち込んでいわゆる「キメ○ク」をしていたのを見られてしまったので口封じのために階段から転落させられて壁に塗り込められ殺されたのだった。

 つまり、行為をしていたのを見られたことの隠蔽のためというよりは
合法ではない薬物の隠蔽のために、4人に月森ちはやは殺されたのだった…。

 …また、ポルターガイストについてもくだんの4人が手分けして演じたヤラセだったのだ。
 ちなみに唐崎星也と九門は工作部員(※音や声を出す役割)、唐崎萌音と庭本は陽動部員(※萌音の背中の手形騒ぎの役割)
 
 「いくら罪逃れのためとはいえとっさによくそこまでやれたもんですわ…!」
佐熊は言い、

 「ひっどーい!それってもう"計画的犯行"じゃないですか!!
同情の余地ナッシングですよ!!」
まりんは言っていた。


 ・・・はじめ佐熊に聞いた。

 「あなたはあの時白鳥さんを止めたのは"妹の霊"だったと思います?
 いや別に否定するつもりはないんですけど…なんつーか…
 今思い出してもクラクラするってゆーか…」


 はじめの発言を聞いた佐熊は、『オカルト』の語源を知ってるかどうかを聞いていた。

 彼の話によればその語源はラテン語で『隠されたもの』
 さらに彼はこう続けた。

 「目に見えず触ることすらできないがその存在は確かにある……
 この世の中はむしろ"目に見えないこと"のほうが多いんですよ。
 全部が本当でなくても全部がウソじゃない…
 本当に不思議なことがあったって別にいいじゃありませんか!ねえ!」

 そしてなぜかウィンクしていた…(^_-)

 「そんなもんですかねぇ…!」とはじめは言っていた……。

 ちなみにまりんは佐熊が話そうとしているとっときの怖い話に
 目をキラキラさせながら喰い付いていた…( ゚д゚)



 【金田一ニ三(29)登場!!!】

 その翌日の土曜日の朝、はじめのアパートを訪れ、合鍵を使い入っていった人がいた。
 それははじめのいとこ・金田一ニ三だった!!!
 フミは29歳になっていた

 「起きろっつーてんだろ!はじめ!」
 そう言って、ファンタジー系ソシャゲの無料100連ガチャの広告が載った雑誌で寝ているはじめを叩き起こしていた。

 フミは探偵社に勤める傍らミステリー小説を書いていた
 その題材は、はじめの高校時代の事件で、フミなりにアレンジしたものらしい。

 「こー見えてあたしアレンジ力に自信あんのよ!」と言っていた。

 そんなフミがはじめのアパートを訪れたのは、選ばれたことを報告するためだった。

 「あたし選ばれちゃったんだ!
 ミステリーの登竜門、オソカワミステリー大賞、
あたしの書いた小説、佳作入選しちゃったー!」


 そして新事件『あやせ連続殺人事件』が始まるようだ……!


 ―― (・8・)<フミチャン!
 (・8・)<ヒサシブリー! ――


 『あやせ連続殺人事件』は、フミが書いた小説なのだろうか?
 「あやせ」という苗字あるいは名前の人が殺されていく事件なのか?
それともアガサ・クリスティの『ABC殺人事件』の要領で…?

 あるいは「かしこいかわいい◯◯◯チカ」な
ロシア系のクォーターとつながりが? J( ・`д・´)

 それはさておき、白鳥のサイコメトリー(?)で映し出されたスプレーみたいなもの(違法な例の薬)は、
月森ちはや殺しの真の動機だったか…。
 また第6話でヨーロッパ家具輸入業の中根沢児郎が言っていた『やらせ』は、
実は7年前の月森ちはや行方不明事件につながる肝試しの伏線だった
のか…。

 それにしても、
今回の事件は高遠遙一が関わっていそうで、いなかったなあ…。

 …次の『あやせ連続殺人事件』ではフミは命を犯人に狙われるのだろうか…?
 次回が気になるなあ。
 
 【ソース】
イブニング 2020.10.27 NO.21
 『金田一37歳の事件簿』
 『騒霊館殺人事件』
 File66 隠されたモノ
 講談社 (P179~P200)

 ―― 『金田一少年の事件簿』の『学園七不思議殺人事件』!? ――

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』では『騒霊館殺人事件』が連載中で、廃屋となった洋館を再利用した『壮麗館』を舞台に起きた3件のポルターガイストに見せかけた殺人事件を金田一一が解決した。
 この事件ではじめは部下の葉山まりん、電報堂PR社の社員・白鳥麗桜黒原太とともにモニターイベントの手伝いをしたが、その最中にイベント参加者の唐崎星也久門朝香、そして庭本大河が殺される事件に遭遇。
 だがはじめは庭本の遺体の様子を詳しく覚えていた人物を犯人と指摘、ケータイを妨害電波を出して人為的に圏外にする物的証拠も見つけ、この事件の犯人を観念させた

 犯人の動機は、月森ちはや
月森は7年前に起きた『帝洋大学女子大生肝試し失踪事件』で行方不明になった女子大生で、何と今回の事件の犠牲者である唐崎星也、九門朝香、庭本大河、そして唐崎萌音によりとんでもないことになっていたのだ…!


 【ルポライター・佐熊洋平が追っていた事件】

 『帝洋大学女子大生肝試し失踪事件』。

 直近の第12話で佐熊はこう口走った。
 彼は前からこの事件を追っており、モニターに応募したのも実はこの事件の取材も兼ねていたのだ。

 「今だから言いますけど…
 ここに来た時モニターの面子を見て正直びっくりしたんですわ!
 その肝試しに参加した元大学生が4人もがん首揃えてたんだから!」

 はじめはこう言った佐熊に事件のことを聞いた


 ・・・7年前、完全に廃墟になった壮麗館に大学のサークルが肝試し合宿にやってきたがポルターガイストにより恐ろしい目にあい、ほうほうの体で逃げ帰ったが実は当時大学1年の月森ちはやが行方不明になっていた。
 ちなみにオカルトマニアの間では有名な話
 「ちはやはポルターガイストに連れ去られたのではないか」と言われていた。
 
 しかも月森ちはやは、実は白鳥麗桜の実の妹だったのだ…!

 高校生の時に両親が離婚しそれぞれについていくことになったが、月に何度も会いご飯を食べたり遊びに行ったりする仲の良い姉妹だったという。
ちなみに、ちはやは例のサークルのメンバーで肝試し合宿に参加したが消息を絶ってしまった…
また麗桜には
 「あたし、お姉ちゃんと一緒にいるのが一番安心する。
 やっぱりちはやの『お姉ちゃん』だからかな」
と言っていた。

 ちなみに、ちはやのオカルト好きは麗桜はついていけなかった。


 …行方不明になったちはやを探す麗桜は警察にも通報したが、警察は半ば諦めモードだったので自力で妹を探すことにした。

 ちなみに当時のネット上では佐熊のようなオカルト好きが
『ポルターガイストにさらわれた女子高生』などと大騒ぎしていた
という…

 ―― 佐熊ァ…(笑) ――


 【ミエナイチカラとサイコメトラー麗桜?】

 ちはやを探す麗桜はある日上司から
 『スコットランドより移築された本格ヨーロッパ式洋館
 壮麗館リゾート計画』
の企画書を見せられた。


 当時の壮麗館はちはやが行方不明になった事件の後、管理主が厳重に封鎖して誰も入れなくなっていたらしい。
 麗桜は見えない力に突き動かされている気がしてすぐに企画を受けた。

 …黒原と初めて壮麗館に来た時。
 思った以上に洋館はボロボロで白鳥は突然息苦しさを感じた。
 
 そして壁にふと触れると、突然ハンマーやら人影やら手やらを感じ、そして

 「(お姉ちゃん・・・)」
というちはやの声も感じた。


 しかもその壁をよく見ると、何と人の毛が壁の中から出ていた。
 そこにちはやを感じた麗桜だった…。

 ―― (;8;)<チハヤチャン… ――

 麗桜はくだんの毛をこっそり持ち帰りDNA鑑定を依頼。
 「深い血縁関係」という結果を得た


 「ちはやが埋められたあの壁にさわったときあたしにははっきりとわかった…!
 あの日ちはやの身に何が起きたのか…」
 「ちはやを死に追いやったのが同じ肝試し合宿に参加したメンバーで
 男女2人ずつの学生だってこともね…!!
 だからあたしはちはやが眠るこの壮麗館でそいつら全員始末してやろうと決めたのよ!!



 「まず人殺しの4人をここに集めるためにあたしは"壮麗館再利用プラン"を考案したの。
 通常ならここまでボロボロな建物は大々的にリノベーションするのが当たり前だけど
 あえて廃墟っぽさを売りに館に手を加えないプランも出してふたつのプランをモニターに選ばせるイベントを企画したのよ。
 もちろん例の"元学生"さんたちには特別VIP招待状を出してね!
 
 そしたら案の定…4人全員がこのイベントにやってきた
 この館がリノベーションされたら壁の中の死体が見つかってしまうかもしれない。
だからあなたたちは"館に手を加えないプラン"に投票するよう口裏を合わせてお互い知らないフリをして参加した

 そうでしょ?
 それがあんたたち4人を地獄の舞台へ引きずり出すワナだとも知らずにね!!」

 …麗桜は萌音に聞いた。

 萌音は泣きながらこう言った。
 
 「じ…事故だったの…
 あれは事故だったのよ…
 肝試しに来た新入生をおどかすつもりであたしたちこっそり先に館に入って待ち伏せしてたの。
 そしてら肝試しがはじまる前に館に来た子がいて…さっそくみんなでおどかそうとしたら…

 まさか階段から転げ落ちて死ぬなんて!思いもしなかった!!
 あの時はみんなもう怖くて怖くて必死で死体を隠そうとして…
 無我夢中だったのよ………!」


 【ちーがーうーだーろー!(※違う)】

 涙を流す萌音に麗桜は言った。

 「違うでしょ?」
 
 「あんたたちがやってたのはその程度のことじゃなかった…
 ちはやは階段から落ちたけど死んだのはそこじゃない…!
 瀕死から息を吹き返していたあの子をあんたたちは生きたまま壁に塗り込めたのよ!」

 
 「(く…苦しい…!
 助けて…!
 お姉ちゃ…!)」

 麗桜は壁の中のちはやを見つけてからこの"夢"を見るようになったという。
 夢の中でちはやと一緒に何度も殺される夢を…!

 麗桜が警察に通報しなかった理由は、いくら唐崎夫妻、九門朝香、庭本大河がしたことが事実だとしても、夢は証拠にならないから。
 今、萌音が言ったみたいにイケシャアシャアとウソを言って罪を軽くしようと悪あがきするに決まってるから。
 
 「だから自分でやるしかなかった…」
 「妹が受けた苦しみ、あんたも味わうがいい!!」


 右手に刃物を持った麗桜は、そう言って萌音に襲いかかった…!
 

 ―― 麗桜の上司の正体は、
十中八九地獄の傀儡師・高遠遙一、あるいはその手下だと思うなあ…。 ――

 それに今回の麗桜は『サイコメトラーEIJI』っぽかったなあ。
 壁に触れてちはやの気配を感じ取ってたし。

 でも、それができたのは背後に高遠がいたからとしか思えないなあ。
 特に、麗桜がちはやを殺したのが男女二人ずつだとわかっていたのは、現場である騒麗館の様子を麗桜の上司から詳しく見聞きしていたからでは?
 当時現場にいないのに犯人の性別を特定できるのはサイコメトラーでない限りは不可能では。

 次回はじめはちはや殺しを男女二人ずつと麗桜が特定できたことについてツッコミを入れてきそうな予感がするなあ。

 もしかすると壮麗館は高遠の父のルーツとして逮捕前の高遠がマークしていた場所で、
7年前の唐崎ら4人の犯罪の一部始終も実はどこかに監視カメラを仕掛けるなどして把握していたのでは?

 それにしても壁に遺体を塗り込めるのは『金田一少年の事件簿・学園七不思議殺人事件』の青山ちひろ行方不明事件を彷彿とさせるなあ…。
 
 次回、ちはやの骸骨が出てきそうな予感しかしない…((((;゚Д゚))))

 …(´;ω;`)ブワッ

 【ソース】
   『イブニング』 2020.10.13 NO.20
  『金田一37歳の事件簿』
   『騒霊館殺人事件』
  File65 嘆きの壁
   講談社 (P87~P108)

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』『騒霊館殺人事件』が展開されており、現在解答編に入っている。

 この事件は廃屋となった洋館を再利用した『壮麗館』のリゾートホテル計画のモニターイベントを金田一一と部下の葉山まりんが電報堂PR社の社員・白鳥麗桜黒原太とともに手伝ったが、イベント参加者の唐崎星也久門朝香、そして庭本大河が殺される事件に遭遇した…というもの。

 はじめは一連の事件が騒霊(ポルターガイスト)の仕業ではなく『"生きてる人間"の仕業』と考え、ついには真犯人を突き止めた。
犯人は、「館の中の凶器になりそうなものを片付けよう」という話になった時にこんな発言をした人だった。

 「久門さんは甲冑の持ってた鉾が刺さって亡くなったわけだし、庭本さんも部屋の中に置かれた金槌のくぎ抜きで頭を割られて…」


 【庭本大河の遺体についての犯人の迂闊な発言】

 犯人は、庭本の遺体発見当時リビングにいたはず。
ちなみに庭本の死に様を目の当たりにしたのは、はじめ、黒原、鹿野美雨、佐熊洋平の4人だけで、他は全員リビングにいたはず。

 まりん
「主任から『金槌で頭を殴られ殺された』と聞いたけど
『金槌のくぎ抜きの方で頭を割られた』なんてそんなことわかりませんでしたよ!」
と言ったように、また現場にいた鹿野美雨
「部屋の外から恐る恐る見ただけだから庭本さんらしき人が倒れてるくらいしか(わからなかった)」
と言っていたが、現場に行きもしなかった『ある人物』は庭本の死に様をはっきりと言えたのだ。

 なぜなら、『ある人物』が庭本に直接手を下したから…。

 『ある人物』
それは白鳥だった…!


 【人為的に圏外】

 「ああ!そうそう、思い出した。
 たしか庭本さんのことは私、黒原から聞いたのよ!ねえそうでしょ?」

 「言ったっ!!あんたが忘れてるだけよ!」
 
「…ほら!人は自分が言ったことだってすぐ忘れちゃうし、言い間違いもする。
金田一さんの話もいちいちごもっともで説得力あるけど…
『言ったかもしれない』程度の発言で人を殺人犯呼ばわりするのはやめてほしいわね!!」

 白鳥は黒原を困惑させながらはじめに反論した。

 だがはじめはもっと決定的な証拠を掴んでいた。
 
 「ある意味、君のおかげでね!」

 と、まりんに言っていた。

 「この館を訪れた初日にもあなたは『奇妙な発言』をしてるんですよ」と白鳥に言うはじめは

 白鳥「爪が汚いので切ってもらえますか?」と自分に言ったことが奇妙と思っていた。
そして、
 「その時起きた『ある出来事』から『ある"物的証拠"』の存在が浮かび上がってきた」
と言っていた。

 『ある出来事』。
それは、はじめがダイニングを抜けキッチンでまりんから爪切りを借りて爪を切っているときに七瀬美雪からライソの着信があったこと。

 最初は何も思わなかったが、その後リビングで佐熊のスマホが入らないという出来事があり、それについて黒原「ここはまだエリア外」と言っていた。
 またまりん「壮麗館は圏外のはず」と言っていた。

 …はじめのライソは入り、なぜ佐熊のスマホは電波が届かず、今のはじめのスマホはしっかり圏外なのか…

 これについてはじめは

 「理由は一つしかない。
 本当はこのエリアはぎりぎり電波が届いてるのに人為的に"圏外"にしてるんですよ!」

 と言った。

 関係者たちは「そんなことできるの!?」とツッコんでいたが、それに対してはこう答えていた。

 「僕らイベント屋はわりと使うことがあるんですが、
クラシックコンサートなどのイベントでうっかり携帯を鳴らさないよう
妨害電波を出して圏外にする装置がある
んですよ。」

 
 …「白鳥持ち運びができる小型の電波妨害装置を持ち込み、連続殺人を成し遂げるために外部と連絡を取れないようにした。」
 「電波妨害装置はどの部屋にも妨害電波が届く、館の真ん中に位置するリビングのどこかにある。」

 はじめは、こう推理した。

 そしてリビングにて妨害電波装置探しが始まった。


 【不自然な着信…装置の在り処】

 ちなみに電波妨害装置には弱点があった
 それは電源
 この館には電気が通らず、発電機も年中動いているわけではないから電源としてバッテリーを持ち込まなければならなかった。
 しかも館は地元の業者も出入りしてるはずだから装置も数日前から入れっぱなしだったはず。

 くだんの白鳥のはじめに対する「爪が汚いので切ってもらえますか?」発言には一刻も早く新しいバッテリーに交換しようという意図があり、うろちょろしているはじめにはこの場を去ってほしかったのだった。

 ―― 白鳥「(#^ω^)イラァ…」 ――

 
 …また、はじめに美雪からの不自然なライソ着信が来た理由
それは、一瞬館の電源が落ちたからだった。

 バッテリー交換をする時にはどうしても一瞬電源が落ちてしまうので、
白鳥が電源をつけ直したらはじめがライソにためていたメッセージがスマホに着信したのだ。

 ・・・そして、はじめは止まったままの柱時計の中に妨害電波装置があったのを見つけた


 【まぎれもない物的証拠】

 はじめは妨害電波装置に白鳥の指紋があることをまぎれもない物的証拠とみて、こう白鳥に言った

 「そもそも見つからない前提で置いているこんなものを扱う時まで指紋に気を遣うとは思えない。
 ましてバッテリーを大急ぎで交換したあの時に指紋に気を遣う余裕なんてなかったはず…
 これこそあなたがこの連続殺人に関与したまぎれもない物的証拠ですよ!!」

  はじめの言葉に、ついに白鳥は観念した。
 
 「は~やられちゃった!
 ただの下請けの冴えない男と思ってた奴に…
 ここまでやられちゃうとはね…!」


 そう言った白鳥に黒原は聞いた。
 「あなたみたいな優秀な方が…こんな…殺人だなんて…」

 すると白鳥は返した。

 「…………そうね。
 月森ちはや
 この名を聞けば大体わかっていただけるんじゃないかしら?唐崎萌音さん。
 あなたたちが昔ここで何をしたのか…!」

  萌音は、『ギク』となっていた…((((;゚Д゚))))


 ―― 装置の指紋って、案外気にも留めないものなんだなぁ…。 ――

 そういえば『名探偵コナン』の昔のある事件ではリモコンの電池に残っていた指紋を迂闊にも見落としていた犯人がいたなあ。
 
 …いよいよ「月森ちはや」の謎が次回から明かされるけれども、今回の事件も地獄の傀儡師・高遠遙一あるいはその仲間が背後にいそうな気がするなあ。
 自分は前回の感想で『金田一少年の事件簿』の『金田一少年の決死行』を引き合いに出したけど、電報堂は高遠、あるいはその手下が作った会社っぽいなぁ…。
すると黒原の関与も捨てきれないなぁ…。

 そしてルポライター・佐熊の動きも気になるなあ。
 彼は、月森ちはやの親族だったりして…

 更にいえば、『函館異人館ホテル新たなる殺人』の刈谷ユダのような、犯人の(事件の)監視役もいそうな気がするなあ。
 今回の事件でそれっぽいのは、読モの花塚衣舞、かな…?

 …次回以降は、白鳥以外の関係者の動きがむしろ気になるなあ。

 【ソース】
   『イブニング』 2020.09.22 NO.19
  『金田一37歳の事件簿』
   『騒霊館殺人事件』
  File64 動かぬ証拠
   講談社 (P201~P222)

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』『騒霊館殺人事件』が展開されており、現在解答編に入っている。

 この事件は廃屋となった洋館を再利用した『壮麗館』のリゾートホテル計画のモニターイベントを金田一一と部下の葉山まりんが電報堂PR社の社員・白鳥麗桜黒原太とともに手伝ったが、イベント参加者の唐崎星也久門朝香、そして庭本大河が殺される事件に遭遇した…というもの。

 はじめは一連の事件が騒霊(ポルターガイスト)の仕業ではなく『"生きてる人間"の仕業』と考えていた。
 これまでにはじめは、最初の犠牲者・星也が毒矢で射殺された事件のトリックを暴き犯人を次の4人に絞った。

 ☆ 画家・鹿野美雨
 ☆ 読者モデル・花塚衣舞
 ☆ 電報堂・白鳥麗桜
 ☆ 電報堂・黒原太

 ちなみにはじめがここに至るまでに、
黒原と白鳥がまるではじめを試すかのようなセリフがあった。


 黒原
 「トリックって言うのは簡単だけど
どうせなら一つでいいから『それ』を説明してもらえませんか」

 (※第7話より)

 白鳥
 「今から1時間だけ時間をあげます。
 全員がここに集まってる間に現場の写真を撮るなりしてください。
 それから凶器になりそうな道具を片付ける作業に入ります。」

 (※第8話より)


 …そして二人の発言の真意が、直近の第10話で明かされた…!


 【"困難の分割"のミス】

 「第2の事件、久門朝香殺しの時は九門の部屋に駆けつけた時は中では激しい物音がして誰かが暴れている感じで騒々しいポルターガイスト音をはじめも聞いたはず。」
 「その時は白鳥黒原佐熊洋平もいて、音が止んだ直後に中根沢児郎も現れた…。
 少なくともあの時ドアの外に集まった人間に犯行は不可能、いや、集まってなかった人間にも無理…。」
 「なんせ「窓からの出入りは簡単にはできない密室殺人」と言っていたのははじめである」

 関係者たちはそう言っていたが、はじめはこう言った

 「確かにあの時はそう思いました。
 でもあの時起きた状況にミステリーのことわざを一つ当てはめて考えると不可能を可能にできるんじゃないかと思いなおしたんです。」

 それは"困難の分割"。

 「"音"と"物"を"分割"して準備し、同時に見せつけることであたかも事件が"今"起きたかのように思わせた」のだ。

 凄まじい『物音』と荒らされた『物』の状況は、
同時にできたのではなく実は『物』の状況が先にできていたのだ。
 つまり、九門は音が鳴る前からすでに殺されていた

 …犯人は、事前に九門殺害現場の部屋と同じデザインの皿や花瓶を粉々に割ったものをこっそり館に持ち込み、九門殺害後に元から部屋にあった皿や花瓶はかばんに回収。
 割ったカケラを一つ一つ置き、音を立てないよう部屋をめちゃくちゃにした。
 九門のルームキーで鍵をかけて廊下に出て、ギャラリーになりそうな人がいるのを確認後、スマホを操作して無線でつながったスピーカーから大音量を出した。
 後は駆けつけたギャラリーたちに紛れて九門の部屋に入り、持ち出したルームキーをさっと部屋に戻した。

 …というもの。

 はじめが"困難の分割"に気がついたきっかけ
散らばっていたある皿のカケラ

 元は一枚の皿であったカケラの一枚だけがどういうわけかひっくり返っていたのをはじめは見つけていたのだ。
 はじめはそれを見たとき
 「もしこのチグハグなカケラの散らばりが実は人の手で大急ぎで並べられた結果だとしたら、
 この"ポルターガイスト現象"は作業の分割により作るのが可能だったのでは」

という考えに思い至った。

 このとき佐熊
 「それじゃ犯人は更に絞られることに…!?」
と言った。

 はじめは彼の言葉を受けて
 「犯人は最初の弓矢事件で部屋の外にいて、なおかつ九門さんの部屋に駆けつけた人物になるんです」
 と言った。

 そしてはじめが指摘した人物は、
 白鳥と黒原だった…!

 
 【釘で打ち付けられた扉からの脱出】

 黒原
 「ちょ…!何を言い出すと思ったら…
じゃあ聞くが三人目の庭元さんの時の完全な密室はどう説明するんだ!?」
 白鳥
「確かにあの事件では内側から板がクギでドアに打ち付けられていたんでしょ?
 私は皆さんとリビングにいて見てないけど…」
 黒原
 「間違いないですよ。開かないから私と金田一さんで体当りしてドアを破ったんです。
 窓にも内側からロックが掛かっていたし完全な密室でした。
 もしこれが人間の手による殺人事件だとするならいったい犯人はどうやって外に抜け出したっていうんですか?」

 黒原と白鳥の反論はじめはこう答えた。

 「犯人が出た時はドアはまだ開け閉めできたんです」


 …はじめが推理する庭本殺害トリックは次の通り。

 1.庭本を殺害
 2.予め用意していた別のハンマーでなるべく音を立てないよう内側から一端釘を扉で打ちつけていく
 3.釘抜きを使い打ち付けた釘を引き抜く。
 4.ドアが自由に開け閉めできる状態で再び軽く板を打ち付ける(※内側の仕込み完了)
 5.貼り付けた板が落ちぬようにそっと廊下に出る
 6.ドアを締める時に目立たない位置に即効性の強力な接着剤を流してドアを固定
 
 7.開かなくなった扉の前ではじめと一緒に扉に体当たり。
 8.するとゆるく打ち付けてあった板が弾け飛び、あたかもドアに板が打ち付けられていたかのような状況が残る

 はじめは「まったくよく考えられた密室トリックですよ」と言っていた。
 
 …佐熊は言った。

 「確かにあの現場には不自然に板や大工道具が置かれていた。
 それも全部トリックの下準備だったってことか……!
 割れた皿や花瓶やひとりでに落ちるグラス。蝋燭に仕込んであった自動発火の仕掛け。
 これらがすべて金田一サンの言う通りのトリックなら……!
 それができるのはイベント主催物のあんた方2人だけなんじゃないの?
 白鳥さん!黒原さん!」


 ―― それにしても今回は
佐熊がいつき陽介みたいに活躍してるなあ…(・(ェ)・) ――



 【はじめの中根沢児郎との『やらせ』の話に大ヒントが!?】

 はじめの推理に

 「冗談じゃないわ!!何であたしがそんな……!」
 「僕だってそうですよ!単に仕事でここに来ただけなのにとんでもない濡れ衣だ!
 殺人犯だなんて……!いったい何の根拠があって我々を容疑者だと決めつけるんですか?」

 と反論する白鳥と黒原。
 
 はじめは二人に言った。

 「お2人のうちの1人に小さな疑念を抱いたのは中根沢さんのちょっとした会話がきっかけでした。
 ヨーロッパの古い館のアンティークにまつわる怪奇現象の話の中で、やらせとかで勝手に火がつく方法のこと言ってたじゃないですか。」

 中根沢は「火をつける方法ははじめが自力で調べたのと同じ」と言った。

 きっかけは、そのはじめと中根沢の会話を突然遮った人がいたことだった。

 それは第6話

 「金田一さん!シッ!」
 「今、話し声がした…」


と言っていた、白鳥だった。

 はじめは
 「話を遮ったのはトリックを知られるのを避ける咄嗟の行動」とみて、
 「恐らくこの館のいたる所に九門の部屋と同様に小型の無線スピーカーが仕込んであり白鳥はこの時その一つを作動させていたのでは」
 「他にもこの館にはポルターガイスト演出のための色んな仕掛けが残っているに違いない」
 「中根沢の発言にかこつけて『危険なものを片付けよう』と言い出したのは、恐らくまだいくつか残っているその仕掛けをこっそり回収するため」

とみて、
 「そうでしょう?」と聞いた。

 
 …白鳥に……!

 そして
「あなたこそこの連続殺人事件の真犯人『ポルターガイスト』だ」と言った…!


 【応援団長(+チアガール)葉山まりん】

 白鳥ははじめに

 「それって名誉毀損よ。
 ましてあなたは我が社の下請けでしょ?
 わかってる?自分の立場…!」


と言った。

 社圧がズンとのしかかるはじめだったがまりんが言った。

 「金田一主任!!パワハラ女に負けちゃダメです!!
 ファイトオー主任!!」


 ちなみにこの時まりんは応援団長の姿をしていた。

 はじめ「そんな脅しには屈しませんよ」
 白鳥「ほぅ?なら覚悟は出来てるのね?
 はじめ「覚悟するのはあなたの方だ!!

 はじめは、更にこう言った。

 「あなたの行動や発言にはいくつもの矛盾点や不自然さがある!!
 それを今から一つ一つ解き明かしてご覧にいれましょう!白鳥麗桜さん!」


 …ちなみにこのときのまりんチアガール姿になり
 「ヤターッ!カッコイイ!主任!!」と言っていた…。


 ―― 白鳥麗桜は『巌窟王』、あるいは『狩谷純』かな? ――

 そういえば『金田一少年の事件簿』の『金田一少年の決死行』の犯人は、確かホテルのオーナーを名乗ってたなあ。
 しかもそのバックには地獄の傀儡師・高遠遙一がいたというし…

 …白鳥の本名は「月森ちはや」で、昔吊り橋が壊されたことで廃墟から出られなくなったところを偶然にも高遠・あるいは高遠の仲間に助けられたのでは?

 一方ルポライターの佐熊はずっと月森ちはや行方不明事件を追って今に至ってるかもしれないなあ。

 それにしても、インターネットが使えるということは警察をすでにはじめは呼んでいたりして…。
 次回以降、騒麗館からはじめたちがどう脱出するか気になるなあ。

 【ソース】
  『イブニング』 2020.09.08 NO.18
  『金田一37歳の事件簿』
  『騒霊館殺人事件』
  File63 困難の分割
   講談社 (P169~P190)

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』『騒霊館殺人事件』が展開されており、
この事件について主人公・金田一一の「謎がすべて解けちまった…!」発言が前回第8話に登場した。

 この事件は廃屋となった洋館を再利用した『壮麗館』のリゾートホテル計画のモニターイベントを金田一一と部下の葉山まりんが電報堂PR社の社員・白鳥麗桜黒原太とともに手伝ったが、唐崎星也久門朝香、そして庭本大河が殺される事件に遭遇した。
 はじめは一連の事件が騒霊(ポルターガイスト)の仕業ではなく『"生きてる人間"の仕業』と考えた。
 はじめは、犯人の証拠隠滅を防ぐためにか白鳥の片付け作業を止めたが
白鳥から1時間の時間を与えられ、その時間で現場の写真を撮るなりすることになった
その後、凶器になりそうな道具を片付ける作業に入るようだ…。

 ―― 本当に、白鳥は証拠隠滅を図ろうとしたのか…? ――

 【やっぱり】
 直近の第9話では約束の1時間を過ぎて
検証を終えたはじめとまりんが白鳥と黒原のところに戻ってきた。
 
 白鳥は、今片付けをしようとしていたが、はじめ

 「今片付けをするのはやめてもらえませんか?」
 「"証拠保全"のためです」

 その証拠は、騒霊館で起きた3人の死が、生きた人間による巧妙な計画殺人という証拠……!
屋敷に外から潜り込んだのではなく、『犯人はこの中にいる』ということ……!


 はっとする8人の関係者達
特に唐崎萌音はこう口走った。

 「そ…それじゃ星也たちを殺したのは『やっぱり』この中の誰かってこと?」

 ソムリエの梅村修児「やっぱり?」と聞くと、萌音は「はっ」とした…( ゚д゚)

 ・・・はじめは関係者たちに話をした。

 「前にも言いましたが僕が最初にポルターガイストの存在に疑問を持ったのは橋が燃え落ちた時に嗅いだガソリンの匂いでした。
 それをきっかけに自動発火装置の件を調べていくうちに、リチウムと氷や水を使った自動発火のトリックが見えてきた

 はじめの話に黒原がツッコんだ。

 「その件はもうわかりましたよ、金田一さん。
 でもそれは単なる可能性の話でしょ?」

 黒原に次いで女性客達も続いた。

 鹿野美雨
 「そうよ。他にもポルターガイストの仕業としか思えないことがたくさん起こってるし…」
 花塚衣舞
 「ですよね!鹿野さん!
 そもそも最初のダイニングでの事件だって、キャビネットの上に飾られていた矢がいきなり勝手に飛んで唐崎さんに刺さったんでしょ?
 周りに人もいなかったし、勝手に矢が飛んでいくのを見た人もいたわけで…」
 唐崎萌音
「そ…そうだわ!あたし確かに見た!
矢が生き物みたいに飛んで星也に…」

 はじめは彼女たちの話を聞いてこう言った。
 「あれはトリックです。
 蝋燭が勝手に点いたりグラスが勝手に落ちたりしてみんなが"騒霊"の存在を意識してるときだったから効果は絶大でした。」



 …はじめがこう話している間、まりんは何かをするために部屋を出ていった… 


 【勝手に割れるグラスの謎の真相】

 「そーそー、それもあった。
 あのカウンターのグラス!」
 グラスが立て続けに落ちて割れたの俺ら見たよな、黒原サン!」

 ルポライターの佐熊洋平がこう言うと、黒原も
 「ええ!たしかに!見ました」
と返していた。

 はじめが言うには
 「誰もいないカウンターバーでグラスがいきなり落ちて割れたのはトリック
 「色々なやり方があると思うけど、状況から見て多分これも氷を使ったトリックなんじゃないかな。」
 「おそらくそのグラスには横倒しにした状態で水を凍らせ斜めに氷が作ってあったんです。
 そしてグラスを氷が貼り付いている側を重心にカウンターギリギリのところに置いておく。
やがて時間とともに氷が溶け出すと、徐々に重心がずれバランスを失ったグラスは…


 「カウンターバーに入ってきた時のわずかな振動がダメ押しとなって落ちたのかもしれない」

 黒原と佐熊の目の前で割れたグラスの件について、はじめはこう考えていた。
そして更にこう言った。

 「グラスが勝手に落ち、廊下の蝋燭が勝手に灯る…
そんな中で矢が勝手に飛べばここにいる誰もが何もかも騒霊の仕業だと思ってしまう。
 ここがトリックを仕込むのに実に好都合な場所だってことも忘れてね!」

 …そしてはじめは
 「薄暗い蝋燭の明かりならば目だなない仕掛けは薄闇に紛れて誰も気がつく者はいない。」
 「一番のポイント隙間だらけのこの古い館そのもの!
 ドアなんてピタっと閉まる部屋なんて一つもないし場所によっては壁だってボロボロのまま。」
と言い、第一の事件の舞台となる隣のダイニングに向かった。

  
 【金田一一、背中に矢を射られる!?】

 第一の事件の種明かしを始めたはじめは、
「星也のグラスには利尿剤が入っていた可能性もある」と言っていた。

 そんなはじめはドアの扉の取っ手に手をかけようとした瞬間、
 なんと何者かに背中を矢で射られてしまった
うずくまるはじめを見て萌音は悲鳴を上げていたが……

 …その矢には硬い消しゴムが刺さっていた。
 ちなみにはじめはいわゆる『テヘペロ』をしていた…。

 ( ゚д゚)ポカーン

 矢を飛ばしたのは、まりんだった。
 糸(丈夫で細いテグス)を引っ掛けた矢を扉の向こう側から引っ張って当てていたのだ。

 キャビネットの上の矢にはあらかじめ極細のテグスが引っ掛けられていてそれを人が踏まないように這わせて扉の隙間に通していた。
 輪になったテグスの先にはぶつかって音やキズがつかないように砂袋のような重りがつけてあり、犯人は扉の向こうから星也が来るのを待っていた。
 ちなみに矢は首に刺さったのはたまたま。体のどこかを傷つけてくれればあっという間に命を落とす猛毒の矢だった。

 …またはじめは
 「犯人は輪っかの輪の一本を切りテグスを回収、証拠は何一つ残らない…と考えていたが
そうするときに一つ誤算があった」

と推理した。
 それは、重りを砂袋にすることで他に傷がつかないようにするつもりだったが、荘麗館は古く壁がもろくなっていたので壁に当たると壁の一部がパラパラと落ちてしまっていたことだ。

 ちなみにまりんが重りを投げた方向は、全然違う方向とのこと。

 【容疑者は4人のうち…】

 くだんの星也殺しは「室内にいてはできない」
 それゆえ佐熊は
 「犯人、コレかなり絞られてくるんじゃない?」
と言っていたが、そのとおりだとはじめは言っていた。
 
 今回の事件の容疑者について、はじめは、まず容疑者から外れるのは第1の事件当時ダイニングにいた

 ・金田一一
 ・葉山まりん
 ・梅村修児
 ・唐崎萌音
 ・中根沢児郎
 ・佐熊洋平
 ・庭本大河

 の7人であり、容疑者は第2の犠牲者・九門朝香を除けば

 画家・鹿野美雨
 読者モデル・花塚衣舞
 電報堂・白鳥麗桜
 電報堂・黒原太

 の4人の中に犯人がいる
、と考えた。
 
 花塚は
 「初対面のあたしたちが何であの人たちを…」と言うとはじめは

 「本当に『そう』でしょうかね」と言い、

 「僕にはどうもここに集まってた何人かがもともと『知り合い』だったんじゃないかと思えてならないんです。

 そして『それが』今回の計画殺人の真の"動機"にかかわっている…!」

 と言っていた。


 …いっぽう、黒い人(真犯人)はこう考えていた。

 「(くっ…この男…どこまで掴んでるんだ…!?
 いや落ち着け! 第二・第三のトリックがまだある…!
 こいつにすべてがわかるはずない!
 ポルターガイストの正体が見破られるわけが…)」


 ―― 今回はじめは『知り合い』発言をしていたなあ。
 特に萌音が今回「やっぱり」発言をしてしまったことから第4のターゲットは萌音だったのだろうなあ。 ――


 またはじめの「謎がすべて解けちまった発言」直前にインターネットがつながることが判明したっぽいので、ルポライターの佐熊が追っている『月森ちはや』の件も案外簡単に見つかりそうな予感がするなあ。
 ところで肝試しには脅かす側と脅かされる側がいるが、今回の犠牲者である星也・九門・庭本は、大学生時代は一体どちらだったのか気になるなあ。
 
 【ソース】
   『イブニング』 2020.08.25 NO.17
  『金田一37歳の事件簿』
   『騒霊館殺人事件』
  File62 犯人の誤算
   講談社 (P141~P162)

↑このページのトップヘ