にぎる。

『にぎる。』にようこそ! このブログは私が見たアニメやマンガの感想を自由気ままに書いています。

December 2019

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』
『函館異人館ホテル新たなる殺人』が展開中。
 この事件では舞台上で舞台『箱館ウォーズ』の出演者・赤座光輝綾野木ルカが舞台イベント本番中に水島颯太が撃ったモデルガン…ではなくすり替えられた拳銃で射殺され、さらにその水島も後に自殺に見せかけられ手首を切られた状態で遺体が舞台に地上から4mはある高さにワイヤーで吊るされた状態で遺体発見となっていた。

そして直近の第8話では、金田一一が部下の葉山まりん、フリーライターのいつき陽介、そしてはじめの高校時代の後輩・佐木竜二の協力により、この事件の謎を解き新たな決め台詞
「謎がすべて…解けちまった…」
が登場した。

 ―― この事件の犯人「碧血鬼」については、自分のブログの記事に最近寄せられた多くのコメントが指摘する『ある人物』で間違いないと思うけれども、
私はそれ以上に、この事件の関係者の一人である刈谷ユダのことが引っかかっていた。 ――


 それは、刈谷は綾野木と赤座が撃たれた時は城壁セットの上の高所にいて、そこから真犯人「碧血鬼」の犯行を舞台の上で見つけて「碧血鬼」の殺意に勘付いたと思ったからだ。
 また、刈谷碧血鬼が水島のニセ遺書がメールで送られた時、警察(幸村真之助警視)が遺体発見現場にたどり着くまでの時間稼ぎを狙ったかのような発言をしていたと思ったから。

 刈谷は「碧血鬼」の殺意を理解していたから、彼をかばったのだろうか…?


 【自分が刈谷が『碧血鬼』をかばっていると考えた理由】
 「碧血鬼」が綾野木と赤座を確実に撃ち殺すことができると考えられる場所は、石のセットが置いてあるほうの城壁の上で幕の合わせ目近くの幕で隠れたところでは。
そこから綾野木を銃口を上に向けて、また赤座を銃口を下に向けて射殺したのでは。
(それは幕の合わせ目の火薬のにおいから明らか)

 ところが「碧血鬼」がいるほうと反対の高い城壁セットの上にいる刈谷は「碧血鬼」が綾野木と赤座を射殺するために舞台袖に隠れていたのを上から見、かつ犯行に及んだのを上から見てしまったのでは
だが「碧血鬼」が一連の犯行に及ぶ理由を親しいゆえによく知っているからか、同調しているからか、「碧血鬼」をかばったのでは。
それが如実に表れているのは、第6話の『碧血鬼』が残したニセ遺書のシーンだと思う。
 (※刈谷、綾野木がいた城壁は高く、犯人が綾野木、赤座を射殺するため隠れていたもう一つの城壁はそれより低かった
 この高低差が、「碧血鬼」の犯行に感づいた人物がいたことのヒントでは…?)

 「まてよ…?"衣装"を纏うって…
  刑事さん、各自の衣装は"控室"に置いてあるはずだから
 デスペラードの"控室"にいるんじゃ」

 当時刈谷幸村警視にこう言っていたが、
それは水島の遺体の状態がおそらくは「迫り」を利用した時限式でつくられたもので
「碧血鬼がつくった殺害現場はまだ完成していない、早くに遺体発見現場の舞台に来られたらまずい」
と考えたからなのでは。

 ―― それにしても「碧血鬼」が水島がやったと見せかけて赤座を射殺するのは
『金田一少年の事件簿・金田一少年の決死行』で明智健悟警視(ドラマでは剣持勇警部)を刺すトリックと何となく似てるなあ…。 ――



 【『函館異人館ホテル新たなる殺人』の双子要素は?】

 ところで『金田一37歳の事件簿・京都美人華道家殺人事件』と、『金田一少年の事件簿・異人館ホテル殺人事件』には共通するキーワードがある。
 それは「双子」であり、前者の京極姉妹・後者の北見姉妹は事件の重要人物として活躍した。

―― 第7話ではじめは『金田一少年の事件簿・異人館ホテル殺人事件』に登場するある刑事について語っていたが、京都のときの事件と絡めて双子のことはなぜか語っていなかったので自分はずっとそこが引っかかっている。 ――


 …さて、『異人館ホテル新たなる殺人』「双子要素」はどこにあるのかは、
自分が思うに二挺拳銃

 拳銃とモデルガンのすり替えではなく、どちらも拳銃ですり替える必要はなかったのでは。
「碧血鬼」は普段から(事前に)水島にモデルガンと偽って二挺拳銃の片方…本物の拳銃を渡してたのでは。

 水島が持っている銃はモデルガンの弾が入っており、
「碧血鬼」が使ったのは実弾が入っていたのでは。

 赤座が死んだ時に、「碧血鬼」が水島から銃を取り上げたのは、水島が持っていた拳銃から綾野木と赤座の命を奪った実弾が放たれたという印象付けで、
拳銃からモデルガンの弾さえ撃ってしまえば本物の拳銃にすり替えられたと印象付けられる…
…作中の言葉を借りれば「(心理的)ミスディレクション」だったのでは。

 一つは事件発生前事前に水島に渡したモデルガンの弾が入った拳銃。
 もう一つは、碧血鬼が使用した綾野木と赤座殺害用の実弾が入った拳銃。


 「碧血鬼」はこの『双子』を巧みに操ったのでは。


 ―― 特に刈谷ユダは
岡倉純の事件に関する事情をよく知っている(舞台の城壁上から知った?)。
だから水島のニセ遺書が見つかった時、幸村警視らを舞台ではなく
まず先にデスペラード控室に向かわせたのでは… ――


 少なくとも自分はそう考えている。

 ただ、迫りは第8話によると2箇所あり、それを水島殺しの時どう使ったのかも気になるところだなあ。

 …2019年も残りわずか、よいお年を。


 【ソース】
 『イブニング』 2020.01.14 NO.02

 『金田一37歳の事件簿』
 『函館異人館ホテル新たなる殺人』

 File47 ミスディレクション
 講談社 (P177~P198)

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』
『函館異人館ホテル新たなる殺人』が展開中。
 この事件は20年前に金田一一が解決した『異人館ホテル殺人事件』の舞台となった異人館ホテルで舞台『箱館ウォーズ』の出演者・赤座光輝綾野木ルカが舞台イベント本番中に水島颯太が撃ったモデルガン…ではなくすり替えられた拳銃で射殺され、さらにその水島も後に自殺に見せかけられ手首を切られた状態で舞台に地上から4mはある高さにワイヤーで吊るされていた。
ちなみに「4m」は東京のリュウ小野寺殺しの真相を追って異人館ホテルにやってきた幸村真之助警視が調べた高さ。
 ちなみに前回第7話で、彼ははじめにこう言っていた。

 「ワイヤーで吊り上げられてる状態の水島氏のもとに10メートルはあろうという天井から降りてきて殺害するような離れ業は困難だし、かといって4メートルの高さの脚立は舞台はもちろん楽屋のどこにもなかった。
つまりこの状況下ではどう考えても"他殺"はありえないんです!」

 【幕】
 前回第7話では、はじめはから火薬のにおいがすることが気になっていた。
はじめの助手(※自称)…部下の葉山まりんと、佐木竜二、そしていつき陽介も幕の合わせ目がにおっていることに気がついた。
 そして直近の第8話はじめは、幕の左側が強く火薬のにおいがするが、右側はあまりにおいがついていないことに気がついた。

 はじめは言った。

 「俺達は根本的な見落としをしていいたのかもしれない。
 真犯人・碧血鬼の巧みな心理的ミスディレクションにまんまと誘導されていたんだ!!」

 「心理的ミスディレクション」佐木が言うには
「最初の印象で真相とは違う方向に持っていかれちゃうこと」

 このことからはじめ
 「幸村刑事がやっていたアリバイ検証は何の意味もなくなり、根底からひっくり返る
と考えた。


 【城壁セットの滑り台】
 幕のにおいからはじめがふと思ったのは、綾野木の死について。
 佐木に、綾野木ルカが城壁の上で撃たれた映像を見せてもらっていた。
 佐木ははじめにタブレットに保存していたくだんの映像を見せてもらった。
 
 はじめは城壁の裏には滑り台があり、綾野木は撃たれた後に滑り台に倒れ込み、一気に舞台袖のマットに着地したことを知り、
 いつき「撃たれたときの血痕が残っているか」を聞き
 「22口径は弾が小さいらそう大した出血にならんだろうが、ちゃんと調べれば出てくるんじゃないか」
という答えを得、
 佐木「この城壁のセットはまだあるよな」と聞き、
「大道具置き場にあると思う」
というう答えを得た。
 

 【ついに登場!『箱館ウォーズ』の台本の中身!】
 はじめは水島の壇はるみマネージャーから『箱館ウォーズ』の台本を見せてもらった。
 それを見ると、

 「葵を演じる綾野木が伊庭を演じる水島に撃たれもがきながら倒れ舞台袖にはけ
同じ城壁の上にいたジュールを演じる刈谷ユダがはっと水島を見下ろす

という旨のト書きが書かれていた。

 涙を流しながら水島が
「この悲劇を終わらせるにはこれしかなかった…!」と銃を構える姿を唖然と見ている
榎本を演じる中神聖也、大鳥を演じる五代玄一郎。」
 「山田を演じる最上翔太の後ろから黒沢を演じる赤座が突進し、
水島に切りかかり剣闘が始まる。」
「水島、赤座を突き放し、赤座たおれかかる」

と続き…


 『伊庭、黒沢を撃つ』
(音楽・効果音)

とあった。

 その後は、

 『黒沢撃たれて昏倒』とあり、

 「最上が赤座に駆け寄る」と続いていた。


 …ちなみに壇マネージャーはこの時は、演出の海枝博貴とともに関係者席にいたと話していた。


 【謎の衣装変更】
  ところで壇マネージャーは衣装を整理中にちょっと変なことを感じていた。
 それは水島の"遺書"について。

 ゲネプロが終わった後水島
 「白い衣装は自分が主役でないのにイキった感じの死に装束みたいな衣装は違和感がある。
 主役の岡倉純が内心イラついてると思うから普通の衣装でよくないですか。」

と海枝に言って、水島自身が衣装変更をしたという、

 …要するに「水島は本番で問題の白い衣装を着る予定はなかった」

 壇マネージャーはそのことは公演直前に衣装さんを通して聞いたが、
 
 「なのにどうして遺書では"着るはずだった"と言ったのか」ということを疑問に想っていた。

 ・・・壇マネージャーから話を聞いたはじめは、佐木の言葉を借りれば
「なにか重要な発見をして頭の中がフル回転して周りが目に入らなくなった、
事件の核心に迫る大きな手がかりを見つけた」

そんな状態になっていた。


【城壁の下の方に…!】
 舞台に向かったはじめたち。
 警官は何人か残っていて、現場はだいぶ片付いていた。
 たくさんあった大道具はまりんが見回しても舞台袖にもなかった。

 佐木が言うには地下の"奈落"にしまっている、
 …ということで地下に向かった。

 ちなみに大通具は、佐木は「"せり"を使えば楽勝で運べる」ことをまりんに話していた。
 
 …「城壁の上に血痕があるかどうかを確かめに行こう」いつきは言っていたが、
はじめはいつきが言っていたこととは逆にしゃがみこんで問題の血痕を見つけたようだった。

  そしてはじめは言った。

 「犯人は水島颯太殺しにも思わぬミスディレクションを仕掛けてきたんだ。
 謎がすべて… 解けちまった…」

 

 ――幸村警視が言っていた『4mの高さの脚立』は
綾野木と刈谷が立っていた城壁セットなのでは。
 その城壁の上から下まで万遍なく使って綾野木殺しと水島殺しが行われたのでは。
 城壁セットは幕の近くにあり、その幕から火薬のにおいがするということは、
少なくともそのごく近く…例えば幕の合わせ目のあたりで実は発砲があったからなのでは。――

 今回の事件は、綾野木は水島に撃たれて死んだのではなく、
台本通り伊庭役の水島が黒沢役の赤座を撃つタイミング(※『伊庭、黒沢を撃つ』)で
舞台袖にいた犯人に上からの発砲で撃ち殺されたのでは。

 そういえば、第6話例の水島のメール(遺書?)が来た時幸村警視「舞台に行ってみよう」と言っていたけど、彼がそれを言う前に、刈谷は「衣装を纏う」という一節から
 「各自の衣装は控室においてあるはずだからデスペラードの控室にいるんじゃ」
 と言って幸村警視を誘導していたなあ。

 …これは水島の遺体発見状況を確実に完成させるためのいわゆる時間稼ぎ、かな?

 それが第8話の終わりのほうではじめが言っていた
 「思わぬミスディレクション」とやらなのでは…?

  水島が残した(?)遺書とやらは、客観的に舞台に水島がいることを示すと自分は思うのだが…。

 
 …もし今回の事件の犯人「碧血鬼」が自分が考えている人だとしたら、年の離れた親しい家族や親戚のような気がするなあ。

 そして今回の事件では、『金田一少年の事件簿』の『異人館ホテル殺人事件』にあった「双子」要素が出てくるか、気になるなあ。
 前の事件の『京都美人華道家殺人事件』みたいに…

 【ソース】
 『イブニング』 2020.01.14 NO.02

 『金田一37歳の事件簿』
 『函館異人館ホテル新たなる殺人』

 File47 ミスディレクション
 講談社 (P177~P198)

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』
『函館異人館ホテル新たなる殺人』が展開中。
 この事件は20年前に金田一一が解決した『異人館ホテル殺人事件』の舞台となった異人館ホテルで舞台『箱館ウォーズ』の出演者・赤座光輝綾野木ルカが舞台イベント本番中に水島颯太が撃ったモデルガン…ではなくすり替えられた拳銃で射殺され、さらにその水島も自殺に見せかけられ舞台の高所に手首を切られた状態で殺されていた…、というもの。
 ちなみにこの事件ではリュウ小野寺という元アイドルグループ「デスペラード」のメンバーのミュージシャンが東京で殺されており、それを密室殺人と推理した幸村真之助警視も異人館ホテルに捜査にやって来た。
 小野寺の遺体が握っていた『箱館ウォーズ』のチケットを見つけたので。

 またはじめは、幸村警視にこの事件の犯人ではないかと疑われてしまった
 はじめはもう謎は解きたくないけれども、幸村警視の捜査を手伝うことにしたのだ…。


 【幸村警視の推理】

 五代玄一郎
 「ウ…ウソだろ?
 じゃ…さっきソータから届いたこのメールは遺書…!?」
 刈谷ユダ
 「で…でもまてよ?このメール…
 この『惨劇の幕を自ら下ろすことにしました』って文面…
 "自ら"って言葉が"惨劇"にかかってるとしたら、
  その"惨劇"を起こしたのは"自分"だって意味なんじゃ…」
 壇はるみ
 「それじゃあ…」
 海枝博貴
 「水島くんが自分で二人を殺したと言ってるみたいじゃないか!」


 舞台で水島の遺体を発見した関係者達に対して幸村警視
 
 「誰かが銃をすり替えたにせよ自分がやったことだったにせよ、
赤座さんと綾野木さんの命を奪った銃弾は彼の手によって発射されたものだ。
その責任を取るという意味なのかもしれませんね!」


 と言った。

 そしてワイヤーを上下させる仕掛けの場所を海枝監督に聞いた。

 その仕掛けは舞台袖にあり、自分で操作することもできそうでワイヤーには長さがあり上がる時はゆっくりなので、自分でボタンを押しに行ってから上がることもできるという。

 幸村警視遺体の血の飛び散り方について、
 「吊り上げられた状態で手首を切った」
 「そうなると自殺以外の選択肢はなさそうだ」
 「二人を殺した真犯人が自ら命を絶つことで事件の幕を下ろしたということですか…」

 と推理した。
 
 だがはじめ

 「(絶対違う…!!
 これは殺人だ…!!
自殺に見せかけた不可能犯罪だ!
 でもあのネジの足りんエリート刑事はガチで"自殺"って思ってんぞ?
 くっそ~!ここは俺がやるしかないのか!?
 もう謎は解きたくないのに~!!)」


 と思っていた…。

 【はじめ、『異人館ホテル殺人事件』について言及!】

 幸村警視の推理を聞いたはじめ水島の控室(デスペラード控室)に向かった。
 葉山まりんいつき陽介、そして佐木竜二もはじめについていった。

 はじめしっかりと確認しておきたかったことがあった。
 はじめは水島が自殺したとはこれっぽっちも思っていなかった。
 佐木には証拠の映像をちゃんと押さえてほしかったのだ。

 そんなはじめは、20年前の事件『金田一少年の事件簿』の事件『異人館ホテル殺人事件』について言及した。

 「この事件では遺書を残して密室で遺体になって見つかった人がいて、それを担当刑事が自殺と決めつけたけど、実際はその刑事が犯人だった」
と、まりんに行ったのだ。

 ちなみに遺体で見つかったのは文月花蓮で、本名は北見花江
 また犯人の刑事は花蓮の双子の姉だった…。

 ―― 双子という意味では『京都美人華道家殺人事件』の京極桜子・京極薫子姉妹と似てるなあ…。 ――

 それはさておき、水島の控室にはまだ湯気がある温かい珈琲がポットの上までパンパンに入っていてどう見ても一人で飲む量ではなく、使っていないカップとソーサーが二組あった。
 このことからはじめは

 「珈琲ポットはホテルのルームサービスで持ってきてもらったもので、水島は"誰か"と落ち合うつもりだった。

 その"誰か"こそ、この事件の真犯人"碧血鬼"
 すり替えた本物の銃で水島に赤座光輝と綾野木ルカを射殺させ、その水島も自殺に見せかけて殺し、そして多分リュウ小野寺を東京で殺した」

と推理した。


 【空中密室と大きな"見落とし"】

 はじめが推理を展開している時に、幸村警視が現れた。
 はじめが推理を話す前に幸村警視は言った。

 「今、鑑識を呼び戻して現場を急ぎで調べた所、舞台の床に飛び散っていた血は明らかに4m以上の高さから滴り落ちたものだとわかった。
 水島はステージ衣装に着替えたあと自分の体にワイヤーアクションの装置を装着してから遺書のメールを身近な人々に送り自動で吊り上がるウインチのボタンを押しに行き、自動的に設定した高さまで吊り上がって止まると覚悟を決めた後手首を掻き切って自殺した…
それ以外に考えにくい。
 ワイヤーで吊り上げられている状態の水島のもとに10mはあろうかという天井から降りてきて殺害するような離れ業は困難。
 かといって4mもの高さの脚立は舞台はもちろん楽屋のどこにもなかった。
 つまりこの状況下ではどう考えても"他殺"はありえない!」

 でもはじめ
 
 「なるほどですねえ~」と、
ふんふんと頷きながらあっさり流していた。


 さらに幸村警視は話を続けた。
 
 「動機解明はこれからだが、水島は何らかの理由で小野寺を殺し、赤座、綾野木まで手にかけた。
 つまり拳銃をすり替えたのはほかでもない水島本人。
 トップランクのスターの彼がそんなことをするはずがないという"思い込み"はこの自殺によって覆された。
 なぜなら彼は最初から自殺する前提でこの計画殺人を実行したのだから」

 「どうです?金田一さん。
私の推理したこのストーリーは矛盾もなく実に整っているとは思いませんか?
これ以外の答えを導き出すにはいくつもの不可能なハードルを超えなくてはなりませんよ?」


 ・・・幸村の発言を受けてはじめは言った。

 「整いすぎてる…そうは思いませんか?」

 「私にはそのお芝居めいたストーリーが犯人が緻密な計画のもとに用意した台本のように見えてしまうんです。」

 そして、水島の死については、

 「"空中密室"
 …といったところでしょうか?」

 と言った。

 …幸村警視が言うように水島の遺体発見現場は、
まさに空中の密室で密閉された部屋以上に接近が難しいゆえ、まさに不可能犯罪ということになる。
 あくまで自殺でないと言い張るのなら…。

 だがはじめは

 「この事件には大きな"見落とし"がある気がする。
 私はそれを突き止めたいと思っているだけ。


 幸村警視にとっては自分は"過去の人"かもしれないけれども、
"金田一耕助"…
かつて名探偵といわれたジッチャンの名にかけて…ね!」

と、幸村警視に言った。


 【幕の合わせ目は火薬のにおい】

 「面白い。
 我々は今夜中に現場検証を終えて残ってた関係者は明朝お帰りいただくつもりだ。
 現場を調べたいなら警察のじゃまにならない程度に調べるがいい。
 あなたの気が済むまでね。
 せいぜい頑張ってください、名探偵のお孫さん。」


 幸村警視はこう言って控室を去った。

 いつき佐木は、
はじめ「ジッチャンの名にかけて」発言が飛び出したことを喜んでいたが
はじめには幸村警視が言ったように残された時間はそれほどなく、真犯人に逃げられる前になんとしても犯人のトリックを突き止めなければならなかった。

 ちなみにそのときこんなやり取りが…

 いつき
 「アナログだが推理メモはバッチリ取ってやるぜ!」
 佐木
 「映像記録ならおまかせください!」
 まりん
 「あたしも!名探偵の助手として!!」
 はじめ
 「…君は部下でしょ?」

 ( ゚д゚)ポカーン

 
 ・・・それはさておきはじめたちは水島の遺体が発見された舞台に向かった。
 
 こっそり舞台袖を通っていたはじめは火薬の匂いに気がついて立ち止まった。
 モデルガンの匂いでは、と佐木は言った。

 まりんは、くんくんとにおいを嗅ぎ、幕の合わせ目が非常に匂っていることをはじめに言った

 しばらく考えたはじめは、

 「そうか…
 考えもしなかった…
 俺たちは根本的な"見落とし"をしていたのかもしれない。
 真犯人…『碧血鬼』の巧みな"心理的ミスディレクション"にまんまと誘導されていたんだ!!


と言った…。


 ―― 綾野木は舞台上で水島に撃ち殺されたのではなく、
水島が赤座を撃った拳銃と同型の拳銃で綾野木の遺体発見現場で『碧血鬼』に撃ち殺されたのでは。 ――

 そういえば20年前の『異人館ホテル殺人事件』では「双子」が鍵になっていたが、
 今回の『函館異人館ホテル新たなる殺人』の「双子」は拳銃なのでは。

 舞台の異様な火薬の匂いは、「綾野木の殺害現場が舞台の上」という印象づけ、かな。

 それにしてもデスペラードの小野寺・赤座・水島は、綾野木と合わせて何をしでかしたのだろうか…。
 次回でそれが明らかになる…かな?

 そして水島の手首を切った控室にあったとみられる刃物についても、
今後のストーリーで例えば果物を食べるシーンがあると信じたい。
 刃物が水島の控室にないことを知っている犯人が刃物を取りに行く時に他の部屋に刃物を取りに行ったなら、確定かな。

 【ソース】

 『イブニング』 2020.01.01 NO.01

 『金田一37歳の事件簿』
 『函館異人館ホテル新たなる殺人』

 File46 空中密室
 講談社 (P89~P111)

↑このページのトップヘ