現在週刊少年マガジンで連載中の『金田一少年の事件簿R・白蛇蔵殺人事件』は
白蛇酒造の白神家次男・白神蓮月(実はモグリの医者を殺した逃亡犯・鬼門影臣)と白神家長男・白神左紺を殺害した事件の真犯人を金田一一が見つけたところ、「鷺森弦」を名乗っていた白神家三男・白神黄介であることが第9話までにわかっていた。
第10話は本物の白神蓮月がどうなったかについてなどが白神黄介の口から語られていた。
【罪を着せられた黄介】
結論から言うと、蓮月は左紺に殺された。
左紺は蓮月と黄介とは母親が違っていたが昔はそれなりに普通に仲良くやっていたので黄介はそれほど気にしていなかったが、
ある日白神酒造の後継者争いで父・白神音松と対立した。
左紺は経営学を大学で学んだが、音松は酒造りの才のある蓮月に後を継がせたのだ。
左紺は「父が妻の鞠乃の事が大事だから自分を切り捨てようとした」と非難したが父に殴られたことに腹を立てて、5年前「行」という白神家に伝わる伝統行事で白蛇神社に放火し、蓮月を焼き殺したのだ。
(※ちなみに「行」とは蔵を継ぐ者が白蛇神社に三日三晩籠って神聖な白蛇蔵の湧き水だけを飲んで座禅をして過ごす行事。)
…左紺は、夜中にガソリンタンクを持って白蛇神社に向かおうとするところを連月に代わって夜の見回りに向かおうとした黄介に見られたため殴って気絶させ黄介も一緒に殺そうとしていた。
黄介に罪を着せるために「黄介が蓮月を殺した」という旨のメールを残していた。
…ちなみに蓮月は生前、「行」の前日に蔵で左紺と言い争っていた。
また蓮月は黄介に「左紺とは俺らとは血を分けた兄弟なんだしもっと仲良くしないと」と言われた時にこう言っていた。
「兄弟かな…?『あの日…(父に殴られた時)以来』左紺が俺をみる目つきは
まるで親の敵でも見るかのようだ。お前も気をつけたほうがいいぞ、あいつひょっとしたら本気で…」
蓮月の懸念通り、左紺は黄介を巻き込んで白蛇神社にて蓮月に対して放火殺人をした…。
【黄介を救った鬼門】
…だが、黄介は全身にヤケドを負いながらも生きていた。
山二つ向こうの県境の林道で通り掛かった登山者に助けられた。
顔のひどい火傷で人相がわからず一酸化中毒とショックで記憶を失っていたが退院後も頭からすっぽりとかぶる頭巾で火傷の痕を隠して日雇いのアルバイトをしながら生活していたという。
その姿は、今回の事件で白蛇酒造にやってきた蓮月の姿そっくりだった。
この頃黄介は蓮月殺しの濡れ衣を着せられて警察に指名手配されていたが頭巾をかぶっていた風貌で見つからずにいた。
…そんな黄介が整形手術を受けて鷺森弦の姿になるきっかけになったのは、鬼門影臣と彼が紹介したモグリの医者だった。
黄介は過去の記憶がなく不気味な風貌ゆえに裏社会の人間たち…暴力団とつながる犯罪集団の人たちと付き合うようになっていてそこそこの立場になっていたようだ。
ちなみに「鷺森弦」という名前はホームレスの名前でカネで戸籍を買ったらしい。
ある日飲み屋で鬼門と知り合いになった黄介は鬼門が飲んでいた日本酒の名前が「白蛇」であったこと、
飲み屋の店主が白蛇酒造の次期社長が左紺であることを教えてくれたことで記憶が戻った。
黄介「これは「白蛇」じゃない! こんなものはニセモノだ!!」
さらに鬼門が「白蛇酒造」と聞いて5年前の事件…白蛇神社全焼事件の記事を見つけた。
さらに鬼門が「白蛇酒造」と聞いて5年前の事件…白蛇神社全焼事件の記事を見つけた。
鬼門は鷺森が指名手配中の黄介であることも勘付いていた。
黄介は「俺は蓮月兄さんを殺してない!はめられたんだよ!!左紺の奴に!!」と話した。
「蔵は蓮月が継ぐべきだった、父の判断は正しかった」「左紺みたいな『嫉妬』と『驕り』の毒で汚れた男では蔵は駄目になる…だから決めた。蔵にはびこる毒蛇は俺がこの手で排除する!」
これをきっかけに鬼門が紹介するモグリの整形外科医のところに行き、整形手術を受けた。
こうして黄介は、鷺森弦は、
「白蛇」…うちの蔵に巣食う「毒蛇」を噛み殺すために生まれ変わったのだ…。
「白蛇」…うちの蔵に巣食う「毒蛇」を噛み殺すために生まれ変わったのだ…。
―― 残る謎は、
『鬼門の火傷の痕は誰によってつけられたか?』と
『モグリの医者を殺したのは鬼門だが、
それは鬼門の意思か?それとも鷺森(黄介)の指示か?』
…かな? ――
鬼門の火傷の痕は第4話で
「火事で焼かれたものではなく裏社会のヤクザの制裁みたいに拷問みたいなやり方だった」と剣持警部が明かしていたが、
黄介がそれを利用したのは間違いない。
そして蓮月を演じる鬼門を口封じのために殺したのも十中八九そうなのでは…。
ただ、
偶然にも鬼門はヤクザとの抗争で拷問されて…あるいは偶然の事故で顔に火傷を負ったから利用したのか、
それとも黄介が鬼門を拷問して顔に火傷を負わせた上「蓮月役をやれ」などと脅していたのかがわからないなあ。
…どんな理由にせよ、鬼門は黄介に裏切られているのは間違いないなあ。
そして黄介に新たな顔を与えたモグリの医者も…。
・・・そして次回黄介は裏切りの果てに何を見て、
どんな言葉をはじめたちに投げかけられるのかが気になるなあ…。
(※ソース
週刊少年マガジン 第29号~第40号
『金田一少年の事件簿R・白蛇蔵殺人事件』
講談社(2016)
CASEFILE of Kindaichi Hajime:白蛇蔵殺人事件 #10
p141~p160(40号))