現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』は『殺人二十面相』の事件が完結後はしばらくお休み。
 その代わり『金田一少年の事件簿』が30周年ということで『金田一少年の事件簿30th』とタイトルを変えて登場した。
 主人公・金田一一は多くの人が知るであろう17歳の高校生になり、
『金田一37歳の事件簿』には姿を見せていないはじめの幼馴染・七瀬美雪が登場した。
 
 『金田一少年の事件簿30th』第一の事件名は『八咫烏村殺人事件』
 剣持勇警部の大学時代の友人で和歌山県警捜査一課の刑事だった滝隆之介が亡くなる前に剣持警部に6年前に起きた若手弁護士・男鹿田一志(おがたひとし)の失踪事件をはじめと美雪に解決して欲しいという旨の手紙を遺したことから、剣持警部がはじめと美雪とともにダム建設のため廃村となる八咫烏村を訪れ八咫烏村最後の八咫烏詣に参加したが、第2話のラストで元村会議員・黒羽六郎の秘書・江鳩つむぎが何者かに呼び出され背後から斧で襲撃され、その後第3話の八咫烏村最後の八咫烏詣にて儀式の最中、八咫烏神社の五の間に風呂敷に包まれた生首で現れる……、という事件が発生した。

 さらに第4話では八咫烏村役場職員・鵜ノ木源太が手紙で『八咫烏の使者』を名乗る人物に手紙で廃屋に呼び出され、右目でボーガンを射られた上斧で止めを刺される事件が発生。
 第5話の冒頭で鵜ノ木の遺体の首が切断されたことが読者に明かされ、鵜ノ木の生首が地下倉庫で発見されたのは第6話だった。

 さらに第7話では元村会議員の黒羽六郎が額をボーガンで射られ殺され
 遺体の血を犯人『八咫烏』に抜かれ、なぜかクエン酸をかけられていた。

 黒羽は夕食で烏守定男村長が「江鳩と鵜ノ木が殺された件」について「あの2人はダム建設に反対する村の者をだまらせようと裏で色々と画策しておったのよ」と言ったことに怯え、逃げ出そうとしたところ『八咫烏』に見つかり殺された…。
(※ちなみに黒羽については八咫烏荘女将・日鷹イネの話によると黒羽が奥座敷で秘密の"会合"(意味深)をしていたという。)

 第8話では黒羽の生首は茶室で発見されたが、見つかる前に黒羽の車のシートが血まみれになっており車の上には八咫烏荘茶室にある『烏茶碗』が置いてあった。
 また茶室は障子が血まみれになっており廊下側の扉は内側から鍵がかかっており、また障子のネジ締まり錠も鍵がかかっていて密室殺人とはじめはみた。
 特にダムの建設で八咫烏村が廃村になることを利用して一連の事件の真犯人が完全犯罪を目論んでいる、ともみていた…。

 【八咫烏荘の岩は実は…】

 さて第10話では八咫烏荘の早朝、はじめが何気なく外の岩に座るとそれが「メキメキバキィ」と音を立てて壊れるハプニングが起きたシーンから始まった。

 …実はこの岩はハリボテだったのだ。

 仲居の三鴨早紀の話によると
 
 「前は本物の岩があった。
 だがが客で来た造園業者の方がたいそう気に入ったので日鷹が譲ってしまった。
 このままだと庭がぽっかり空いてさみしいので
 息子の三鴨悠人が学校で使ってない岩のハリボテを持ってきて置いておいた

 とのことだった。

 はじめはハリボテの岩を持って
 「見た目は重そうだけど軽い、よく出来てる」
 と思ったその時、

 「(待てよ……? ひょっとして…)」

 と何かに気がついたようだった。

 そこで三鴨に宿の車を借りる許可をもらい美雪に剣持警部を呼んでもらい
 第二の犠牲者・鵜ノ木の現場をもう一度見に行こうとした。

 ―― ハリボテのゴミ…?
 そういえば美雪が重そうなガラスゴミをひょいと持ち上げたことがあったなあ…。 ――

 【ごみネットとバラまかれたガラスゴミ】

 鵜ノ木の現場に向かった3人。
 ゴミはすっかりなくなっていたが裏口周辺にはゴミネットとガラスの破片が残っていた

 はじめはごみネットを見て「…なるほどね」と言った後、美雪と剣持警部にこう言った。

 「俺の考えが正しければこの裏口周辺のガラスは犯人が"ある意図"でばらまいたものだろう」

 そしてはじめは剣持警部に「例の道具」を持たせていたようでそれを使ってアリバイトリックの再現をしようとしていた。
 
 その道具とはハサミとノリとゴミ袋だった。


 【はじめ、急斜面を下る】

 はじめはカーブのところで剣持警部に車を停めるように言った。
 そしてはじめは小さい頃に崖を降りたことを思い出しながら急斜面を下ったが滑り落ちてしまった
 
 その先ではじめは何かを見つけたらしく、

 「…そうか!! やっぱり…
 オッサン、美雪、見つけたぜ!!
 ふたつ目の事件のアリバイトリックの証拠さ!」

 と言った… 


 【茶室の『二択』と『わざわざ』ぶちまけた血】


 「残るトリックはひとつ…
 引き戸と障子で作られた "和の密室"。
 この"茶室"の謎
だけだ。」

 茶室は開けっ放しになっているが
 はじめたちが黒羽の死体を発見したときは入口の引き戸は内側から施錠され、縁側の障子も2ヶ所ネジ締まり鍵がかかっていた

 このことをはじめが言うと剣持警部

 「ああそうだ!
 障子の真ん中にカギはないがこうしてがっちり組み合ってるから左右の鍵がかかってたら開けようがない!」

 と言った。

 そして「だよなー」と障子をガタガタしているとはじめは一連の事件の犠牲者である江鳩・鵜ノ木・黒羽の首の下には同じ黒い風呂敷が敷かれていたことを剣持警部に聞いた。
 剣持警部はその布について日鷹から聞いていて、これは『防水布』という名前で
蝋を内側に塗り込んだ布で昔から八咫烏村で使っていたとのことだった。

 …ここで美雪は、はじめに

 「はじめちゃん、よく平気ね!
 ただでさえ部屋中血まみれであたし気絶しそうなのに!」

 と言い

 「そう言やぁ確かに…
 ド派手に血まみれだなこの部屋。」

 と返すと美雪が

 「ほんと!なんでこんなに血をぶちまけたんだろう?

 と言ったのではじめが「今なんて言った?」

 と繰り返させた。

 はじめは
 
 「そうだ!なんでなんだ!?
 胴体はここにないし、この首は殺害現場である駐車場で切断されてこの部屋に運び込まれたんだ。
 なのにこの場で首をぶった切られたかのように血が飛び散っている。
 つまり犯人はなんらかの方法で被害者の血を容器に集めこの部屋に持ち込んでわざわざぶちまけたってことになる。
 なんのためにそんな手間を?」

 と剣持警部に聞いた。

 「確かにな。
 コケオドシにしちゃリスクもあるし手間もかかりすぎる

 と剣持警部が言っていたのを聞いたはじめは、血のついたネジ締まり錠に手を近づいたときに手を止め、剣持警部に聞いた。

 「なあオッサン。
 なんでこっちの障子のネジ締まり錠を開けたの?

 剣持警部は
 「血だらけだったから

 と答えたが、はじめは

 「そうか…そりゃそうだよな。
 誰だって血だらけの障子なんか触りたくないし、二択ならこっちの鍵を開けようと思うよな。」

 と言った。

 美雪と剣持警部にははじめが何を言いたいのかわからなかったが、

 はじめには3つの殺人事件のトリックがすべて答えが見えた。


 【大黒柱を逆さに見ると…?】

 はじめは関係者達を全員大広間に集めて今回の事件の解答編をしようとしていたが、
 その前にはじめは八咫烏荘に初日に来た時悠人が言っていた大黒柱がふと気になった

 美雪
 「よく見るとこの柱の木目、八咫烏の形してるみたい…!
 すごいな、こんな大黒柱が何百年も前からあったなんて……」


 するとはじめが突然前屈し、くだんの大黒柱を逆さに見た

 
 ―― はじめ「トキメカナイヨー!」
 某N学園ナントカ同好会のT咲Uかな? (※違う)
 大黒柱を見る時、逆立ちしてほしかったなあ。(※違う) ――

 …それはさておき、はじめは

 「……これ……
 大黒柱なんかじゃないぞ……!?」


 と言った後、驚く美雪と剣持警部を屋根裏部屋のはじめが泊まっている部屋に連れて行った

 
 屋根裏部屋の畳をどけるとはじめと美雪と剣持警部は『あるもの』を見つけた

 はじめは

 「…オッサンの親友の見立ては間違ってなかったみてーだな!」と言った。

 そして

 「一見不可能犯罪に見えた三つの殺人。
 そして6年前の謎に包まれた失踪事件……

 ここから導き出された"真実"と連続殺人犯"八咫烏"の正体。
 それらすべてがひとつに繋がった!

 謎はすべて解けた!

 と…!


 ―― 大黒柱、逆さまにしたら八咫烏とは別の何かが見えるのかな、と思ったが
どう見ても鳥にしか見えないなあ…。

 ただ、今回の岩がまさかのハリボテのシーンから、大黒柱が実はハリボテなのでは? ――

 鵜ノ木殺しのガラスゴミもはじめのハサミとノリと袋を使ったハリボテっぽいなあ。
 だとすると、江鳩殺しではどんなハリボテが仕掛けられていたのか気になるなあ。

 大黒柱がハリボテだとすると、そのハリボテを暴くと隠し通路が出てきそうな気がするなあ。
 はじめが泊まっている屋根裏部屋とつながるルートがあったりして
 
 …6年前の男鹿田一志弁護士は、黒羽たちの襲撃から逃げるために大黒柱と屋根裏部屋をつなぐ隠し通路を使うのに利用したのかな。
 でも運悪く捕まってしまって始末されたのでは…?
 犯人『八咫烏』は男鹿田弁護士を逃がせなかったことを今も後悔していたりして…。
 
 もしかすると、
 第二の事件のガラスごみの山は実はハリボテで、
 地面にまかれた割れたガラスの破片で割る仕組みになってるのかも

 とにかく今回の事件は『岩のハリボテ』の件から「ハリボテ」がキーワードになっているのかな。
 あと、悠人は高校では演劇部だったりして。


  【追記 (5/26)】
 第10話ではこの記事のコメントで指摘していた人がいたけど
 はじめが借りた八咫烏荘の車の助手席に長い糸みたいなものがくっついていたなあ。
(※はじめが「よし オッサン 車出してくれ」と言ったシーンとその次のコマで確認できる)

 もしかして、これをガラスごみ(ハリボテ)と結びつけると…?

 【ソース】
 『イブニング』2022 06.14 12号
 『金田一少年の事件簿30th』
 File10 現場検証 
 講談社 (p7~p28)


 (※追記(5/27))
 「私のブログの記事に最近所謂荒らし・なりすましが発生していた」という報告を受けました。
 今後自分が看過できないものが起きた場合はそれ相応の対処をさせていただきます。