月森ちはや

 現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』『騒霊館殺人事件』で犯人の動機に関わるであろう人物。
 この事件でこれまでに殺されたのは、唐崎星也、久門朝香の2人。
 星也は突然飛んできた毒矢で首を射られて、久門は深夜に倒れてきたと思われる甲冑の鉾に胸を刺され命を落とした。

 この二人の接点のヒントになるのは、最新のストーリー・第6話の庭本大河と星也の妻・唐崎萌音の会話。

 萌音「庭本先輩、これってやっぱり五年前の『アレ』が関係してるんじゃない?
死んだうちの星也朝香もそう…!
 あ…あいつが騒霊になってあたしたちに復讐してるんだとしたら…」
 庭本「そんなわけないだろ!騒霊なんて…!」

 この二人の会話の後にこんな二人のつぶやきがあった。

 庭本「五年前の事件の関係者…?」
 萌音「今この中にいる中の誰かが"月森ちはや"と関わりがあるとしたら…」

 庭本が今回の事件の犯人にハンマーで対抗しようとしたら逆にそのハンマーを額に突き立てられてか殺され、翌朝遺体となって金田一一らに発見される前に…。

 …唐崎夫妻、久門、庭本は5年前の帝洋大学オカルト研究部員で、第1話にあるように今の壮麗館がある森海ヶ原キャンプ場の廃墟に肝試しのため訪れたが、ポルターガイスト現象に遭遇し逃げ帰り、そのときに月森ちはやに関するとんでもない事件を起こしたようだ。

 ちなみにこの事件の関係者の一人であるルポライターの佐熊洋平について、
前回第5話には月森ちはやを追っていたと思われる描写があった。
 ノートパソコンをしながら、週刊誌の『衝撃 行方不明の(※以下タイトル不明)』という記事を読んでいたのだ。

 ―― 十中八九、月森ちはやのことだろう… ――


 【久門殺しは完全な密室殺人!?】

 「なんてことだ…!
 ポルターガイストが今度は久門さんを…
 2階から物音がして私達が駆けつけるまでの間…」

 ソムリエの梅村修児は言った。

 一方電報堂の黒原太は佐熊がポルターガイスト現象を記録しているのを見て
 「おやめ下さい!佐熊様そういうことは…」
 と注意した。

 「遺体は写さないようにしてますから」と佐熊は言った…。

 ・・・一方はじめは、窓を見ていた。
 窓は埃が積もってて開けた形跡がなく、久門の遺体発見現場から別の部屋に移ることもできそうになかったので、はじめは葉山まりんにこう言った。

 「俺たちがこの部屋に駆けつけた時、部屋から盛大に物音がしたってことは…
 中に久門さん以外の誰かがいたことは間違いないんだ。
 つまり、これが人の手による殺人事件だとしたら、完全な"密室殺人"ってことになるんだよ。」


 まりんは、ゴクリとつばを飲み込んだ…!

  
 …「ちょっと待ってよ金田一さん、あんたまだ"殺人事件"なんていうの!?
 唐崎さんのダンナが死んだ時といい橋が燃え落ちた件といい…
どー考えてもこれポルターガイストの仕業でしょ!?」


 佐熊がこう言うと萌音

 「…やめて!
 もうやめてよ…!!
 そんな話聞きたくない…!」


 と言って走り去った。

 このとき庭本

 「あっ…!萌音ちゃん… …いや!
唐崎さん…」


 と口走った。

 画家の鹿野美雨が「殺人って…?」と言うと電報堂の白鳥麗桜

 「皆さま、ここは私たちスタッフが対処いたしますのでどうか冷静になって一旦部屋にお戻り下さい!」
と言い、続けて黒原が
 「私からもお願いいたします。どうか落ち着いて下さい!」
 と言った。

 読者モデルの花塚衣舞
 「そんなこと言ったってムリよ…!
だって久門さん部屋にいたのにこんなことに‥」と言うと
ソムリエの梅村修児
 「では皆さんが落ち着かれるようワインをお出ししますのでここは一旦サロンの方に行くというのはどうでしょう?」
と言った。

 はじめは「あ…そうですね!お願いします梅村さん」と言い、
「よろしいですか白鳥さん」と言い、「そうね」という返答を得た。

 白鳥は黒原に久門の遺体発見現場に鍵をかけ、
明後日警察を呼ぶ前には誰も触ったり立ち入らないように責任を持って管理するように命じた
…。


 【やらせ】

 梅村がシャトー・シャスプリーン1970年という『憂いを払う』という意味のワインを鹿野に振る舞っていたとき、
ヨーロッパ家具輸入業の中根沢児郎がこう言い出した。
 
 「しかし…この館に住み着くポルターガイストはいったい誰なんでしょうかね?」

 はじめが「へ?誰って…」と反応すると中根沢はこう言った。

 「もちろんこの館に長きにわたり住まう幽霊のことですよ!
 もともとこうした古い館には必ず幽霊の2~3体はいるのが当たり前で
向こうの不動産売買では幽霊の身元もちゃんと調べがついてることがあるんですよ。」

 この話を聞いた佐熊

 「なるほど!数代前の気のふれた城主かその妻か、はたまた手打ちにあった召使いの亡霊か…」と言うと
花塚が「やだ!やめて、怖い!」と言い、白鳥も佐熊の発言に対し嫌そうな顔をしていた。

 中根沢は更に話を続けた。

 「ヨーロッパにアンティークの買い付けにいくとそんな話はしょっちゅうですよ!
 むしろそーゆーのがないとハクがつかないというか…!

 だから…『やらせ』も結構あるんですよね。」

 「例えばグラスがひとりでに落ちて割れるとか、テーブルや椅子がガタガタ動くとか…
たいていは暗がりの見通しが悪い部屋で起きてるので細くて丈夫なテグス糸なんか使えばわりと簡単にできてしまうものなんですよ!」


 はじめは「トリックか…」と思った。

 また、まりんは中根沢に聞いた。
 「でも火が勝手につくなんてのは絶対無理じゃないですか?」

 中根沢はまりんに

 「それも方法がないわけじゃないんです。
たとえば水を使ったり…」

 と言った。
 
 
 【謎の笑い声と逃げ腰な白鳥】

 そのとき白鳥が言った。

 「金田一さん!シッ!」

 「今…話し声がした‥
 あのドアの向こう側の誰かが話してた!
 ここにいないのは庭本さん、唐崎萌音さん、あとうちの黒原だけ…
 でも彼は2階の『あの』部屋を封鎖してるとこだし…」

 はじめは「行ってみましょう!」と言い、まりんもついていった。

 声がするという部屋のドアに耳をそばだてると「クスクス フフフ」という笑い声がした。
 はじめに「開けてみて」と言った白鳥はすすすすと逃げ腰になっていた…

 「お、おれですか?」
と言ったはじめだった…( ゚д゚)

 けれどもはじめがドアを開けると声がやんだ…( ゚д゚)

 
 「もう!なんなのよこのお化け屋敷!
 こんなんじゃリゾート計画なんてムリ!」

 白鳥がこう言ったのではじめは
 「白鳥さん、今日はもう寝ましょう!!
皆さんこれ以上は限界です!」
と言った。

 「黒原が戻ったら皆さん部屋に戻ってもらって…」

 一方その頃庭本
 「まずいぞ…
 これがもし…」
 と思っているとノックの音がしたのでハンマーを片手にドアに近づくと、萌音の声がした。

 萌音と会話する庭本だったが、
二人の会話を血眼で覗いていた人がいた……((((;゚Д゚))))


 【鍵のない部屋と打ち付けられたドア】

 翌朝。ろくに眠れなかったはじめが歯を磨いていると、まりんが
 「おっはよーございまーす主任!!
 そろそろ皆さん起こしてきてもいいですか?」
と、突然ドアを開け脅かしたので、はじめは歯磨き粉を飲んでしまった…

 ( ゚д゚)ポカーン

 はじめはまりんに
 「いや君ね、ここ部屋によっては鍵とかないんだよ?
 スタッフの部屋は基本鍵なし!
 君のところもかかってるようでかかってないから!」と言ったが、

 「え、ひょっとして覗いちゃいました?」と、
まりんは「ププ~」と吹き出しそうな顔をしていた…( ゚д゚)

 …朝食中、鹿野が白鳥に庭本が朝食に来ていないがどうしたのかを聞いていた。
 白鳥は
 「最初にお声がけした時返事がなかったようなので今ウチの黒原と金田一さんと葉山さんで呼びに行ってます。」
 と言った。

 …はじめは部屋を開けて起こそうと庭本の部屋のマスターキーの場所を聞いていたが黒原は
 
 「いえ、ここは鍵のない部屋ですよ。
 鍵のかかる部屋は女性の方に当ててますので…」


 と答えた。
 
 ところが、ドアノブは回るが開かなかった

 「まさか何かあったんじゃ…!」というまりんの発言を受けて、
はじめは黒原と一緒にドアに体当りしてドアを開け、庭本の遺体を見つけた

 ドアはなぜか内側から板と釘で打ち付けられていた…!

 
 ―― 『やらせ』…
 いわゆる壮麗館の『サクラ』は関係者の中にどれくらいいるのだろうか…? ――


 ドアの話し声に関しては、白鳥と黒原の二人の『やらせ』によるものっぽいなあ。


 今回は中根沢が古い館についてなぜかやけにペラペラしゃべっていたなあ。
 意外と月森ちはやについて佐熊以上に詳しかったりして。

 ただ、火が勝手につくこと…吊り橋の火災は中根沢が言うように水を使ったトリックっぽいし、
久門殺しのトリックも中根沢がだいたい答え言ってそう
だなあ。

 「知りすぎて、逆に犯人に殺されたりして……」
と思わずにはいられないなあ。

 中根沢は実は電報堂の『サクラ』の一人…かな?
だとしたら、はじめにポルターガイストのタネ明かしをした意図は…?

 次回以降が気になるなあ。

 そして庭本殺しについては、暖炉のある部屋が犯行現場だったことから、暖炉を利用した形跡があるかどうかも気になるなあ。


 【ソース】
イブニング 2020.07.14 NO.14
 『金田一37歳の事件簿』
 『騒霊館殺人事件』
 File59 終わらぬ厄災
 講談社 (P121~P142)