現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』
『函館異人館ホテル新たなる殺人』が展開中。
 この事件では舞台上で舞台『箱館ウォーズ』の出演者・赤座光輝綾野木ルカが舞台イベント本番中に水島颯太が撃ったモデルガン…ではなくすり替えられた拳銃で射殺され、さらにその水島も後に自殺に見せかけられ手首を切られた状態で遺体が舞台に地上から4mはある高さにワイヤーで吊るされた状態で遺体発見となっていた。

そして直近の第8話では、金田一一が部下の葉山まりん、フリーライターのいつき陽介、そしてはじめの高校時代の後輩・佐木竜二の協力により、この事件の謎を解き新たな決め台詞
「謎がすべて…解けちまった…」
が登場した。

 ―― この事件の犯人「碧血鬼」については、自分のブログの記事に最近寄せられた多くのコメントが指摘する『ある人物』で間違いないと思うけれども、
私はそれ以上に、この事件の関係者の一人である刈谷ユダのことが引っかかっていた。 ――


 それは、刈谷は綾野木と赤座が撃たれた時は城壁セットの上の高所にいて、そこから真犯人「碧血鬼」の犯行を舞台の上で見つけて「碧血鬼」の殺意に勘付いたと思ったからだ。
 また、刈谷碧血鬼が水島のニセ遺書がメールで送られた時、警察(幸村真之助警視)が遺体発見現場にたどり着くまでの時間稼ぎを狙ったかのような発言をしていたと思ったから。

 刈谷は「碧血鬼」の殺意を理解していたから、彼をかばったのだろうか…?


 【自分が刈谷が『碧血鬼』をかばっていると考えた理由】
 「碧血鬼」が綾野木と赤座を確実に撃ち殺すことができると考えられる場所は、石のセットが置いてあるほうの城壁の上で幕の合わせ目近くの幕で隠れたところでは。
そこから綾野木を銃口を上に向けて、また赤座を銃口を下に向けて射殺したのでは。
(それは幕の合わせ目の火薬のにおいから明らか)

 ところが「碧血鬼」がいるほうと反対の高い城壁セットの上にいる刈谷は「碧血鬼」が綾野木と赤座を射殺するために舞台袖に隠れていたのを上から見、かつ犯行に及んだのを上から見てしまったのでは
だが「碧血鬼」が一連の犯行に及ぶ理由を親しいゆえによく知っているからか、同調しているからか、「碧血鬼」をかばったのでは。
それが如実に表れているのは、第6話の『碧血鬼』が残したニセ遺書のシーンだと思う。
 (※刈谷、綾野木がいた城壁は高く、犯人が綾野木、赤座を射殺するため隠れていたもう一つの城壁はそれより低かった
 この高低差が、「碧血鬼」の犯行に感づいた人物がいたことのヒントでは…?)

 「まてよ…?"衣装"を纏うって…
  刑事さん、各自の衣装は"控室"に置いてあるはずだから
 デスペラードの"控室"にいるんじゃ」

 当時刈谷幸村警視にこう言っていたが、
それは水島の遺体の状態がおそらくは「迫り」を利用した時限式でつくられたもので
「碧血鬼がつくった殺害現場はまだ完成していない、早くに遺体発見現場の舞台に来られたらまずい」
と考えたからなのでは。

 ―― それにしても「碧血鬼」が水島がやったと見せかけて赤座を射殺するのは
『金田一少年の事件簿・金田一少年の決死行』で明智健悟警視(ドラマでは剣持勇警部)を刺すトリックと何となく似てるなあ…。 ――



 【『函館異人館ホテル新たなる殺人』の双子要素は?】

 ところで『金田一37歳の事件簿・京都美人華道家殺人事件』と、『金田一少年の事件簿・異人館ホテル殺人事件』には共通するキーワードがある。
 それは「双子」であり、前者の京極姉妹・後者の北見姉妹は事件の重要人物として活躍した。

―― 第7話ではじめは『金田一少年の事件簿・異人館ホテル殺人事件』に登場するある刑事について語っていたが、京都のときの事件と絡めて双子のことはなぜか語っていなかったので自分はずっとそこが引っかかっている。 ――


 …さて、『異人館ホテル新たなる殺人』「双子要素」はどこにあるのかは、
自分が思うに二挺拳銃

 拳銃とモデルガンのすり替えではなく、どちらも拳銃ですり替える必要はなかったのでは。
「碧血鬼」は普段から(事前に)水島にモデルガンと偽って二挺拳銃の片方…本物の拳銃を渡してたのでは。

 水島が持っている銃はモデルガンの弾が入っており、
「碧血鬼」が使ったのは実弾が入っていたのでは。

 赤座が死んだ時に、「碧血鬼」が水島から銃を取り上げたのは、水島が持っていた拳銃から綾野木と赤座の命を奪った実弾が放たれたという印象付けで、
拳銃からモデルガンの弾さえ撃ってしまえば本物の拳銃にすり替えられたと印象付けられる…
…作中の言葉を借りれば「(心理的)ミスディレクション」だったのでは。

 一つは事件発生前事前に水島に渡したモデルガンの弾が入った拳銃。
 もう一つは、碧血鬼が使用した綾野木と赤座殺害用の実弾が入った拳銃。


 「碧血鬼」はこの『双子』を巧みに操ったのでは。


 ―― 特に刈谷ユダは
岡倉純の事件に関する事情をよく知っている(舞台の城壁上から知った?)。
だから水島のニセ遺書が見つかった時、幸村警視らを舞台ではなく
まず先にデスペラード控室に向かわせたのでは… ――


 少なくとも自分はそう考えている。

 ただ、迫りは第8話によると2箇所あり、それを水島殺しの時どう使ったのかも気になるところだなあ。

 …2019年も残りわずか、よいお年を。


 【ソース】
 『イブニング』 2020.01.14 NO.02

 『金田一37歳の事件簿』
 『函館異人館ホテル新たなる殺人』

 File47 ミスディレクション
 講談社 (P177~P198)