現在『イブニング』で連載中の『金田一37歳の事件簿』
幸村真之助」という警視が登場し
新事件『函館異人館ホテル新たなる殺人』の謎に挑んでいる。
もちろん、金田一一葉山まりんの新たなコンビも。

 …ちなみに天樹征丸・さとうふみや両氏による『金田一』シリーズは1億部を突破したとのこと。

 ―― おめでとうございます!
 37歳となった金田一一の活躍、これからも楽しみにしています。 ――


 ちなみに両氏の「金田一のおもひで」は…

 天樹「オレ老眼進んでよく見えんわ」
 さとう「同じく歳には勝てん!」

 ( ゚д゚)ポカーン


 【射殺事故の犠牲者は2名】

 それはさておき。

 そもそも『函館異人館ホテル新たなる殺人』はミュージシャン・小野寺隆司の密室殺人が事件の発端。
 幸村警視が小野寺の遺体が握っていた舞台『箱館ウォーズ』のチケットを手に入れ、会場の函館異人館ホテルに向かった。
そして音羽ブラックPR社の仕事でやってきたはじめと部下のまりんと出会った。
 ちなみにはじめは、フリーライターのいつき陽介と再会し、記録映像の仕事で異人館ホテルを訪れていた不動高校のはじめの後輩・佐木竜二と行動をともにすることになった。

 『箱館ウォーズ』の初日の舞台で、加賀屋葵と土方歳三が銃で伊庭八郎に撃たれるシーンで黒沢正隆演じる「コーキィ」こと赤座光輝が伊庭を演じる水島颯太本物の拳銃で射殺される事故が起きてしまった。
 さらにこの事故が起きる前、加賀谷を演じていた女優・綾野木ルカが水島に撃たれ舞台裏に滑り落ちたが、水島は綾野木も赤座と同様本物の拳銃で心臓を撃っており彼女も即死したことが直近の第4話で判明した…。

 なお綾野木の遺体を発見したのは佐木だった。


 【なぜ水島は本物の拳銃に気づかなかったのか?】

 水島
「そ…そんな…
 俺…何も…知らないで…
 二人も撃っちまったってことか?」
 幸村
 「知らないで…ですか?」
 水島
「本当だよ!どうして俺が舞台の上で堂々と人殺ししなきゃいけないんだ!!」
 幸村
 「……まぁ現状ではあなたを容疑から完全に外すわけにはいきませんが、
今回は銃を何者かがすり替えた可能性が高そうだ。
 その場合はこの芝居の関係者の関係者の中でアリバイのない人物はもちろん、
劇場を含めたすべての人物が容疑者
ということになります。
 その気になれば楽屋に忍び込むことぐらい外部の人間も可能でしょうからね。」

 幸村警視の見解に、はじめが待ったをかけた

 「そもそも本物のピストルを2回も撃ってモデルガンと間違えたままなんてことありうるんでしょうか?
反動とかも違いそうですが…」


 幸村警視によれば、水島が赤座と綾野木を撃ち殺した時に使っていた銃はワルサーPPK22口径
 非常に反動の少ない自動拳銃ゆえ本物を撃ったことがない人間なら気づかなくても不思議はないという。

 はじめは「これまでモデルガンを撃っていたわけですよね」と水島に聞き
 「正直あんまり良く覚えてない。本番は入り込んでて本物のピストルで撃ってるつもりでいた」
という答えを得た。
 そして

 「もしそうなることを犯人が予想していたとすれば、
犯人は水島さんがクライマックスで綾野木さんと赤座さんの演じる役を射殺するという段取りを知っていた

しかも反動の少ない22口径のピストルなら一人目を撃った時点で気付かず、二人目も撃ってしまうだろうと計算していた
そういうことですよね?」
 「つまり犯人は舞台の小道具や細かい演出や段取りを知った上で計画を練りピストルを入手した…!
これだけ内部の事情をつかんでいる"犯人"が"外部の者"とは到底考えにくいんですが…」

 はじめの言葉にいつき
 「あいつガキの頃と変わってねぇな、こういうとこ!」と言い、
佐木
「ですね…!」と言った。


 【関係者のアリバイ】

 ちなみに綾野木の遺体が発見されるまで、幸村警視は関係者に色々と聞いていた。

 この時水島

 「俺じゃないっすよ!どーして俺がコーキィを殺さなきゃなんないんですか!?
そうだ…!
誰かが俺のモデルガンをも本物にすり替えたに違いない!俺にコーキィを殺させるために!!」


と言っていた。

 幸村
 「確かに水島氏が本物と知らず引き金を引いたのなら罪に問われるのはモデルガンを本物にすり替えた"何者か"でしょう」
と返した。

 …幸村は演出家の海枝博貴にモデルガンの管理について聞き
「今日一日はほとんど役者が自分で管理していた」という答えを得た。

 水島に聞くと
「僕のピストルはゲネプロで使ったあと、イベントの間は普通に小道具置き場にあったと思います」
「(ゲネプロでは本番と同様に火薬の詰められたモデルガンを撃っていたが)その時は弾は出なかった」
「誰かがすり替えたならゲネプロ後の小道具置き場しかない」


と答え、再び身につけたのはいつかを幸村が問うと

 「本番の20~30分前には着替えもメイクも終えて身につけてたかな」といい、
 五代玄一郎
 「岡倉さん(岡倉純)が帰ってきた時にはみんな衣装着てたし、銃も腰に下げてたよな!」
 と答えていた。


  …次に幸村はその銃が小道具置き場にあった時間帯のアリバイを関係者たちに聞いていた。

 五代
 「ゲネプロが終わってすぐに着替えてデスペラードとしてファンサービスのイベントに出ていた。
楽屋に立ち寄る時間はまったくなかったというわけではないが、俺がコーキィを殺すなんてありえない」

と言っていた。

 岡倉はゲネプロが終わった直後から本番直前までマネージャーの壇はるみと一緒に函館近くのホテルに行っていたことを伝えた。
 壇マネージャーにこのことを確認していた。
  壇マネージャーは「楽屋で銃をすり替えるようなことは絶対できません」と言っていた。

 役者の中神聖也
 「イベントに出ていたがその前にいつきからインタビューを受けていた」と伝えた。
 いつきはこのことを幸村警視に伝えていた。

 そして幸村にその後のことを聞かれると

 「インタビューのおかげで着替えるもなく衣装のままイベントに出た」
 「そのため道具置き場とかのある楽屋裏には戻らずそのまま控室に行ってメイクした」


と答えていた。

 刈谷ユダは、イベントに出ていたことと、楽屋に戻れたことを伝えた。
(100%アリバイがあるわけではないが)

 最上翔太
 「僕はイベントには最初のちょこっとしか出てなかった。
 出番が終わったら一人で控室にいて、トイレに行ったり二階のカフェに行ったりはしたがほとんど一人だった」

ということを幸村警視に伝えこう付け加えた。

 「でも僕は撃ち殺された赤座クンとはこの舞台で初めて会ったんですよ?
それまで仕事はもちろんプライベートでも接点は全くなかった
殺す動機なんてあるわけない!」

 そして海枝に聞いた所

 「私はイベントにも出てませんしあっちこっち行ったり来たりしてたんでアリバイは当然ないです。」と答えていた。

 海枝は
 「舞台を壊された私もある意味被害者ですよ!
 今回の舞台は大好評で満席だったのに…!
チケットの払い戻しやら経費のことを考えるともう頭が…」
と、舞台のことを気にしていたが
 「アリバイはない…と!」
とメモをとる幸村警視にイラッとしていた…( ゚д゚)

 
 ・・・綾野木に話を聞こうとした時綾野木の姿がなかった。
そこに佐木が現れ舞台裏で綾野木が死んでいるのを見つけたことを伝えた。


 【幸村警視の仮説】

 ところで幸村警視はじめにこんな質問をした。

 「あなたは事前にこの舞台のシナリオを読んでいましたか?」

 「ざっくりと…」と返したはじめに

 「それではあなたのアリバイは?」と聞いた。

 するとまりん
 「刑事さん!金田一主任を疑ってるならとんだおカド違いですよ!?」
と、「ばっ」と飛び出して言った。

 「ゲネプロのあと金田一主任は自分と一緒で、
舞台裏の小道具置き場には一歩も近づいていない」と。

 
 ・・・幸村警視ははじめに

 「あなたはもう一つの可能性を見逃していますよ?
 無差別殺人の可能性ですよ!
 特定の誰かを狙うのではなく、この『箱館ウォーズ』という舞台そのものを消すため…
あるいはそちらの水島さんを陥れるためにモデルガンを本物とすり替えたのかもしれない


 だとすれば外部犯行説も捨てきれない。
 警察というのはそうやってあらゆる可能性を想定して捜査を進めるものなんです。」

 と言った。そして

 「じゃ我々は一旦ここで失礼しますが、皆さんは許可なくホテルから出ないように。
全員がまだ重要参考人であることをお忘れなく。」

 と言って去っていった。

 「(なるほどですね…)」とはじめは思っていた…。


 …幸村警視が去ったあと、いつきが口走った。

 「碧血鬼…
 舞台を潰すつもりでっていうなら、そいつは現代の"碧血鬼"だな!
 そう思わねぇか?金田一…」

 
 この時犯人は思っていた。
 
 「理想的な展開だ!
 だが碧血鬼の呪いはまだ終わっていない…
第二幕はこれからだ!」


 と…。


 ―― 北海道を舞台とした『金田一少年の事件簿』の殺人事件といえば、
地獄の傀儡師・高遠遙一が絡んだ『魔術列車殺人事件』を思い出すなあ。
特に、今回の赤座と綾野木射殺事件は、衆人環視の中水島が堂々と二人を撃ち殺したように思うなあ。――


 何が言いたいかと言うと、『箱館ウォーズ』という舞台で殺人マジックを行った
まさに『劇場型犯罪』ではないか
、ということ。

 ちなみにくだんの『魔術列車殺人事件』ではマジシャンについて確か作中でこんな事を言っていたなあ。

 「人は隠そうとしているものに自然と目が行くが
逆に目の前に堂々と出されると意外と意識しない」



 …水島はワルサーPPK22口径について知らないフリをしていて実は相当詳しいのでは。
特に今回の事件は高遠遙一の「ゼウスのしもべ」絡みなのでは。

 これからは、赤座と綾野木、そして最初の犠牲者である小野寺との意外な接点に自分は注目したい。
 
(※ソース
 イブニング 2019.11.12 NO.22
 『金田一37歳の事件簿』
 『函館異人館ホテル新たなる殺人』

 File43 劇中死 
 講談社 (P3~P28))